従来「メディア」といえば、
「マスメディア」いわゆるマス4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)のことを指していました。
しかし、インターネットが発達し、IT化、ユビキタス社会化が進む中で、
いわゆる「メディア」は「広く告知」するだけの「マスメディア」ではなくなりました。
東京・汐留に 「アド・ミュージアム東京」という電通・吉田秀雄氏の記念事業財団が運営する博物館があります。
アド・ミュージアム東京
このサイトで、「広告図書館」のプルダウンメニューから「日本の広告統計」を選ぶと過去50年間の広告費が見られます。
で、この中からメディア別広告費というのを年代別に見ていくと、
面白いことがわかりました。
1984年まで、「DM・屋外・その他」としてまとめられていたのが、
翌年1985年から「SP広告」と名を変えています。
そしてなんと、シェア上ではテレビと拮抗しているんです。
この中では最新の2002年の統計でも、テレビを上回っています。
そんなSP広告ですが、これだけのシェアがあるのに、
あまり一般に認知度の高いメディアではありません。
SPとは「セールスプロモーション」の意。
つまり、「販売促進」ですね。
例えば、DM(ダイレクトメール)、屋外広告(看板)、チラシ、パンフレット、POPなど。
いわゆる消費者にとってはものすごく身近な媒体を扱った
マーケティング・コミュニケーションのことです。
身近であるがゆえに、マス4媒体に比べると地味で、
メディアという認識が薄いのでは、と思います。
また、「SP広告」という言葉はよく考えると、ずいぶん不思議な言葉です。
「SP= Sales Promotion 販売促進」と「AD= Advetisement 広告」
この二つの単語は全く別のことを意図してるんですね。
「広告」とは、とにかく広く一般に知れ渡らせることが目的です。
それについて、効果や反響がどうということはそれほど重要なことではなかったはずなんです。
対して、「販売促進」とは、購買欲を刺激し、販売を助けること。
つまり、効果や反響が返ってくるように仕向けることが目的なんです。
ならば、「SP広告」とは、「マスメディアを使って販売促進すること」と解釈したほうが適切なんですね。
この言葉は、完全に日本でできた言葉であるということができます。
しかし、それ自体が「メディア」として括られ、テレビと拮抗している状況を考えると、
やはり納得がいかない部分が多いんです。
それだけのシェアを持つメディアをこんな括り方にしておいていいのか、と。
また、1996年からはインターネット広告も登場しています。
これも、マス4媒体より、比較的消費者の購買行動に近いメディアになってきていることを考えると、
SP広告的な色合いが強いものです。
そのインターネット広告費も、最近の統計では2009年にも雑誌広告を抜くとされている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0507/21/news059.html
今SP広告メディアが強いのは、セグメンテーションやターゲティング、
つまり、対象を絞るということが、クライアントから多分に要求されているからなんですね。
そういう状況にあって、旧来のSP広告メディアである看板、チラシ、DMが
大きくシェアを獲得しながら、あまり媒体として認知されてないというのは、
とんでもない機会損失なんです。
であるからこそ、「SP広告」に変わるいい言葉はないか…、
とそんなことを考えてたらこちらのサイトを発見しました。
ニッチメディアドットコム
「ニッチメディア」そう、マスに対するニッチ。
メディアという言葉を、現在の「イコール、マスメディア」という観念から解放した、
これは一つの発明だと思います。
このサイトで挙げている「ニッチメディア」は、
フリーペーパー、DM、屋外広告、サンプリング、同封・同梱、通販、会員誌・会報誌、書店広告…。
まさにSP広告そのままのメディアです。
(また、「ニッチマーケティング」として、富裕層・高額所得者マーケティング、
シニアマーケティングというものが挙がっています。これらについてはまた言及できればと思います。)
言葉と言うのは不思議で、それが意味をつくるのではなくて、それを使う人が意味を作っていきます。
メディアという言葉は、いつのまにかマスを表すものになっていました。
広告という言葉は、今では「メディアに載せること」と同じ意味になってしまっていました。
なぜなら、言葉というのがコミュニケーションツールであるからです。
実に面白いと思います。
同じく、メディアもコミュニケーションツールです。
誰かの伝えたいこと、何かの情報を送り届けるものです。
インターネットを含む「ニッチメディア」がこれからの「広告ビジネス」を変えていくと思います、
「メディア」を変えていくと思います。
これからは「ニッチメディア」が「広告ビジネス」の主戦場です。