ザスタのクマさん -2ページ目

ザスタのクマさん

あらゆるアート、デザイン、 特に写真が大好きなクマこと熊谷の作品集。

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8月2日はおやつの日

🍡 おやつの日の由来

八月二日、おやつの日。
「おやつ」は、江戸の人々が
一日二度の食事のあいだ、八つ時、
いまの午後二時から三時ごろに口を
なぐさめた間の名残だという。

室町の末、時を告げる鐘が八度鳴る
その刻を、人は合図のように待っていた。
腹の虫は正直で、遠くの寺の鐘に
先んじて鳴き出すこともあったろう。

日本おやつ協会は、この古い呼び名に、
もう一度あかりをともし、八月二日を選んだ。
八と二を並べれば「おやつ」と読めるという
口あたりのよい理屈に、争いごとのない時間を
増やしたいという願いが、砂糖のように静かに溶けている。



🌿 スタジオの夏和菓子

スタジオの白い光のなか、若草色の
和紙が一枚、背景色として置かれている。

墨で縞を引かれた皮のつややかな
脹らみの球体その隣の、半月と4/1の
切り口には紅と翡翠色の層が重なり、
大きな黒ごまが種のように点じられている。

餡を包んだ皮は、指の腹にしっとりと
吸い付き、持ち上げれば、夏の湿り気を
そのまま移したようにたわむ。







スタジオの空調はきびきびと
音を立てているが、甘さの前では、
どこかよそよそしい。

ストロボが閃くたび、緑の縞は
水面のようにきらりと光り、

誰かの「おいしそうですね」と
いう小さな声が、商品の上にデイフュザーとして
広く貼ったトレペよりも柔らかく空気を和らげる。

💧 庭園と水羊羹

また別の日、外には本物の夏があった。
和風の庭園では、苔の上を風が横切り、
池の水をわずかにさざめかせている。

縁側に近い低い卓の上に、丸い硝子の器に
水羊羹が沈んでいる。光を受けた表面は、
薄い雲を閉じ込めた水面のように、かすかに揺れ、
指先を近づければ、冷たさが見える気がする。

黒にも茶にも言い切れない、その半透明の色合いは、
日陰と日向のあいだにとどまる午後の空気に似ている。






撮影の合間、スタッフの誰かが匙を入れる。
すっと刃が通り、切り口はなめらかな
崖となって器の中に立つ。ひと口運べば、
喉の奥に落ちる音より先に、静かな甘さが広がり、
蝉の声が一瞬だけ遠ざかっていった。



☕ しっとり和風の時間

おやつの日にテーブルを
囲むとき、私たちはほんの少しだけ、
江戸の町家と同じ風の音を聞いている。

ひとつのおやつを分け合うたび、
世界の輪郭が、すこしだけ丸く、
やわらかく書き換えられていく。

スイカのかたちをした饅頭も、
水面を閉じ込めたような水羊羹も、
その場に居合わせた人々の言葉を急がせない。

皿に残るわずかな水滴、茶碗の底に沈む茶葉。
そうしたものを眺めながら交わされる他愛ない話こそが、
人を少しだけやさしくし、世界を少しだけ平和にしてゆく。

八つ時の鐘はもう鳴らないが、午後二時を過ぎると、
どこかで甘いものを思い出す癖だけが、小さな空腹と
いっしょに、誰にも告げない約束のように残っている。


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日本の「水の日」は、毎年8月1日に、水の大切さや健全な水循環の重要性への理解と
関心を高めるために定められた記念日で、この日から7日までが「水の週間」とされてます。

💧 ブルーの湖面

八月一日、水の日。
冷房を落としたスタジオは、蝉時雨の
気配だけが壁を透かして滲んでくる薄い箱になる。

空気を揺らさないための不自然な
静けさの中、両脇の台の上の水槽だけが、
青の濃淡を背負って、小さな湖のように浮かんでいる。

背景紙のグラデーションは、浅瀬から深海へ沈んで、
夏の午後をそのまま引き伸ばしたようで、
水面のきわにだけ細い光が残っている。

ストロボを逆光ぎりぎりに追い込む。
液体というより、光そのものを撮るつもりで
絞りを決める。アシスタントの指先には、
映り込まない為に妙に細長いスポイト。

透明な一滴がそこに待機している。
掛け声までの数秒、誰も息を大きく吸わない。
水槽の表面張力と、僕らの沈黙が、
同じ膜の上でぴんと張り詰めている。

「いち、に、さん」






僕の掛け声と同時に、アシスタントの
スポイトの先端がわずかに震え、一滴が落ちる。

無音のまま表面がすり鉢の底のようにくぼみ、
次の瞬間、逆光に刺し貫かれた冠のような
水紋が立ち上がる。跳ね上がった水滴は、
一秒にも満たぬあいだだけ、完璧な球体のふりをする。
地球と同じかたちをしたまま、重力に負けて崩れ、
輪郭を失い、ただの飛沫へと還っていく。

連写のモニターには、毎回ちがう形の
水の王冠が並ぶ。崩れかけたもの、左右非対称なもの、
思いがけず完璧な円をつくったもの。そのどれもが、
一滴分だけ世界のどこかから借りてきた軌跡だ。
健全な水循環という言葉は大きすぎて、
写真のフレームからはみ出してしまう。
だから今日は、そのひとかけらだけを借景に切り取る。

僕らが毎日無造作に流し去っているものが、
これほど複雑で、これほど脆くて、
これほど美しいのだという証拠写真だ。

八月一日から七日までを水の週間と呼ぶらしいが、
セレクトの画面に増えていく水紋の
サムネイルを眺めていると、一週間どころか、
たった一滴にさえ、何度も世界をやり直す
猶予が与えられている気がしてくる。

画面の中央で、いまだに落ちきれずにいる
紺と白の球体を見ていると、蛇口の向こうで
続いている長い時間のことを、少しくらいは
考えてみてもよいのではないかという気がしてくる。



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パラグライダーやってみたい?


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「パラグライダー記念日」は毎年7月31日で、1988年7月31日に長野県白馬村で
日本初のパラグライダー日本選手権大会が開催されたことを記念して制定された日です。


パラグライダーの日と聞いて、私はふと、
かつてスイスの山間を飛んだ一日のことを思い出した。

あれは旅行であったか、あるいは一種の
錯覚であったか、今ではもうはっきりしない。

ただ、切り立った斜面の上に立った時、
足もとの草がひどく静かで、
遠い谷あいの村の屋根だけが
妙に明るかったことを覚えている。

人は空を飛ぶことに憧れる。
けれども実際に飛んでみると、
そこにあるのは勇ましい征服の心ではなく、
むしろ己れの小ささを知る心持である。









翼は合成樹皮にすぎず、身体は風に
あずけられ、こちらの意志など案外たよりない。
山々は黙って連なり、雪をいただく峰は、
下から眺めた時よりも、いっそう冷然としていた。

私はその時、自由とは勢いよく
何処かへ行くことではなく、
ただ重力をひととき忘れることでは
ないかと思った。谷を渡る風は白く、
眼下の草原には牛の影が小さく動いた。

頬を打つ風だけは、もっと古い、
もっと透明な何ものかのようであった。

ああ云う時、人は自由であるより先に、
孤独であることを知る。








しかもその孤独は少しも暗くない。
寂しさがそのまま明るさになった
ような、稀な心もちである。

やがて地上に降りた時、安心と同時に、
すでに、空がなつかしくなっていた。
人間はまことに欲深い。

スイスの峯々のあいだを過ぎたあの風は、
今もなお、歳月の底で静かに鳴っている。
思えば私が飛んだのではない。ほんのしばらく、

風が私を夢として曳いてくれてたのである。








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もうすぐ8月になので、ブログのヘッダーを変えました。

ブログのヘッダーに風鈴に入道雲の写真を置く。
訪れた人は、ただの夏の風景だと思うかもしれない。
それでいい。画面の外では、鳴りきれなかった風鈴の音と、
登りそこねた雲の階段が、まだこちらを見ている。

この写真も、見るたびに別の夏を連れて
来てくれればと、ひそかに願っている。








風鈴の音が、まだ眠り足りない街を細く撫でてゆく。
西麻布の朝は、夜の名残をどこかに隠したまま、
知らない顔をして明るくなる。
ベランダに吊した小さな硝子は、ひとつ風が通るたび、
誰かの内緒話のように鳴った。

風鈴を撮るのは、少しむずかしい。
音は写らないし、風も写らない。ただ、
硝子のうすい縁だけが、光をこぼしている。
その光を指先でつまもうとして、
私はそっとシャッターを切った。

ファインダーの四角の中には、なぜか風鈴の涼しさが残る。
その奥では、八月前の空が、まだ本気を出していない。
けれど、画面の端には、もう入道雲が顔を出している。
白すぎるほど白い塊が、街並みの向こうでふくれ上がり、
こちらを見下ろしている。



原画


子どものころ、あの雲の中には階段があって、
上まで登れば夏休みが永遠に続くと信じていた。

この街で暮らしはじめて、
季節はもう十四も巡った。
けれど、風鈴と雲とを同じ画角に
収めたのは、今朝が初めてである。

夏は毎年来るのに、
そのたびに別の顔をして通り過ぎる。
私のシャッターは、いつも少し遅れて、
その後ろ姿だけを追いかけている。



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格闘技を生で見たことある?


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数字の語呂合わせで「〇〇の日」と呼ぶ記念日は多数存在します。
その中でも馴染みがあるのは、毎月29日に言われている「肉の日」?
流石に味気ないので、今日は芸術の話と行きます、

行きそびれた東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展
開催期間: 2026年4月28日(火)~2026年7月5日(日)
戦後アメリカの繁栄・抽象表現主義(ポロック、ロスコ)の真っ只中で、
彼だけが寒村・障害・老い・空き家・冬枯れを、しかも具象で描き続けた。
同時代に対するほとんど政治的とも言える「不同調」がある。


ポスター内の絵《クリスティーナ・オルソン》 1947年 テンペラ、バネル
83.8×63.5cm マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス


名もない村の、名もない午後の、誰にも見られない
横顔だけが、遠いアメリカから上野まで運ばれてきて、
切符を買いそびれた私の胸を、いまさらながら静かに刺すのだ。

絵具は乾いて久しいのに、戸口の影だけがまだ濡れている。
扉の向こうに立つはずだった私を、画家だけが知っていたのではないか、と。

色彩は乾いた土の匂いをして、死後の世界と見まごうほどに静かだが、
君の横顔だけが、まだためらいがちに生を信じているように見える。

200点以上のワイエス作品でモデルを務めた
クリスティーナ・オルソンを描いた作品

今回の展覧会で来日しなかった、
代表作の一つ『クリスティーナの世界』。
MoMA・ NYで実物を見たときには、
感動で魂が震えた。

シャルコー・マリー・トゥース病で足が不自由な
クリスティーナ、もちろん、当時も車椅子はありましたが、
クリスティーナは車椅子を使いたがらず、
這ってでも自分の力だけで進むことを好みました。

ワイエスは「大部分の人が絶望に陥るような境遇にあって、
驚異的な克服を見せる彼女の姿を正しく伝えることが
私の挑戦だった。」と手紙に書いています。



 
クリスティーナ・オルソン小景

野の匂いを吸い込みながら、ひとり丘をはい上がる女の背に、
合衆国のひろさよりもまず、たった一軒の家の重さが
のしかかっているように見える。

メゾナイト板にテンペラで描かれた《
クリスティーナの世界》の空気は、油彩の豊かな
肉感ではなく、乾いた絵肌のせいか、どこまでも硬く冷たい、

クリスティーナの腕と草むらとのあいだに、
目に見えぬきしみを塗り込めてしまった。

画家は二階の窓辺に立っている。
背後には妻と、借り物の夏という季節がある。
だが視線の先にあるのは、自分の家ではなく、
隣家の女の耐え難いほどゆっくりとした帰宅の途中である。

そこに住んでいたのは、ただ姉と弟であり、
ホテルの名残を引きずる寂れた家業と、野良仕事と、
それでも夜ごと灯される台所の明かりだった。
やがてこの家は国家の所有となり、
「保存」の二字を与えられてしまう。








けれど丘をはい上がる女の息づかいまでは保存できまい。
ニューヨークの高い階で、観客はこの絵を「アメリカ」として眺める。
そのときキャンバスの向こうで、潮と土のにおいを知る
ただの隣人としての画家は、ひそかに苦笑しているのではないか。

自分が描いたのは世界などではなく、ひとりの女が
帰るしかない一軒の家にすぎないのだから。

絵の中の風は、もうあの姉弟の頬をなでることはない。

ただ、丘の上の家と、
そこへ向かおうとする一人の女の背中と、
そのあいだの距離だけが、
永遠に縮まらないまま吹きさらしにされている。






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歴史を思い返して思うことは?


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1914年サラエボでのオーストリア・ハプスブルク帝国の
フェルナンド皇太子夫妻の暗殺に端を発した第一次大戦は、始めは
「クリスマスまでには帰れる」を合言葉に、欧州の若者たちは
喜々として戦地へ赴いていった。
この戦争は、「クリスマスまで」に帰れるどころか、クリスマスまでに、
まだ本格的な戦闘もはじまっておらず、結局、1918年まで続いた。


平和を願って作品を作った。根底にあるイメージは
音楽家、ノーベル賞作家ボ・ブデュランの名曲風に吹かれて」
(Blowin’ In The Wind)の1番から。

How many roads must a man walk down
いったいいくつの 道を歩めば
Before you call him a MAN?
君は彼を 人として認めるのか
How many seas must a white dove sail
いったいいくつの 海を航れば
Before she sleeps in the SAND?
白鳩は 砂浜で安らぎを得るだろうか

Yes, ’n’ how many times must the cannon balls fly
いったいいくつの 砲弾が飛べば
Before they’re forever BANNED?
金輪際 打ち止めになるのだろうか
The answer, my friend, is blowin’ in the wind
友よ 答えは風に舞っている
The answer is blowin’ in the wind
答えは 風の中に舞っている




当社スタジオにて



夏の夕立のように、歴史の「開戦日」も
ふと降りかかってきますね。

✒ 銃声の余白

七月二十八日の年譜をひもとくと、
紙の上では、ただインクが一行ふえただけである。
オーストリア、セルビアに宣戦す、と。
活字はいつものように黙って並び、
新聞配達少年は欠伸をしながら、
それを門口に放り出す。

世界大戦の嚆矢という言葉さえ、
翌朝の味噌汁ほどの湿り気も帯びていない。

サラエボの路地で倒れたひとの体温も、
汽車の車輪にしがみついた青年の汗も、
年表には載らない。歴史は便利な略図であって、
路面電車のなかで膝にひしめく市井の心細さではない。

開戦という二字は、兵士の母親のまぶたに浮かぶ、
あの細い静脈の震えを代筆してはくれない。

それでも私たちは、きょうもまた年表を繰り、
百十二年前のこの日付に赤鉛筆で印をつけ、
遠くの砲声を、冷房のきいた書斎で追体験しようとする。

世界が静かに見えるこの瞬間が、いつか誰かの年表に、
次の「開戦前夜」と記されないことを、ひそかに願い、

世界大戦は、そう云う私たちの健忘症をあざ笑うために、
わざと「第一次」と名乗ったのかもしれない。



ロンドン、国会前のチャーチル像 




当時、イギリスの海軍大臣であったチャーチルの
残した極めて洞察力のある格言がある。

『戦争からきらめきと魔術的な美がついにとられてしまった。
アレクサンダーやシーザー、ナポレオンが兵士たちと危険を
分かちあいながら馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する、
そんなことはもうなくなった。

これからの英雄は安全で静かな事務室にいて、書記官たちに
取り囲まれて座っている。一方、何千という兵士たちが
電話一本で機械の力によって殺され、息の根を止められる。

これから先に起こる戦争は、女性や子供や
一般市民全体を殺すことになるだろう。

やがてそれぞれの国には大規模での際限ない、
一度発動されたら制御不可能となるような
破壊のためのシステムを生み出すことになる。

人類は初めて自分たちを絶滅させる
ことのできる道具を手に入れた。

これこそが人類の栄光と苦労のすべてが最後に到達した運命である。』


私の思うこと・・・
世界史の悲劇は、いつも他人の遠雷のように聞こえる。
だからこそ、きょうの青空を見上げるとき、私たちは
一瞬だけ耳を澄ませてみる。グラスの氷が鳴る音と、
百年前の砲声とを取りちがえないために。







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今年初のスイカはもう食べた?


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ところで「日本の夏の風物詩」「夏の果実の王様」などと
したしまれているスイカ。
そういえば、スイカの種はリノール酸や たんぱく質が非常に多く、
ビタミンB郡やEが豊富で、体の為には良く噛んで
食したほうがいいそうです。

🍉 夏の情景

縁側では熊さんと八っつぁんが団扇をあおぎ、
行き交う風に江戸の町の音を聞いていた。
遠くで荷車のきしむ音、近くで金魚売りの声。
路地の向こうでは、夕立を待つ土の匂いがしている。
昼下がりの路地は、打ち水の名残だけがひんやりして、
遠くで、隠居が咳払いをひとつ、あとは蝉の声ばかりだ。

長屋の子どもたちが、割れそうで割れない
スイカを前に、棒を握ってそわそわしている。

「もっと右だ、いや左だ、ああ行きすぎた」
「違うよ、前だってば」と、口だけ達者な野次馬が並ぶ。
目隠しをされた子のまわりで、声だけがぐるぐる回る。
汗で手ぬぐいが頬にはりついて、子どもは心細そうに笑う。

棒が振り下ろされる一瞬、固い皮の下で、
黒い種と赤い肉が、音もなく笑ったような気がした。

掛け声とともに棒が振り下ろされる。
ぱしんという乾いた音のあと、すこし間をおいて、
ぱりぱりと皮の裂ける音が縁側まで届く。









赤い果肉が顔を出し、黒い種が星のように
散らばっている。子どもたちの目がいっせいに丸くなる。

ぱかりと割れた瞬間に立ちのぼる青い香り、
しゃりり、と歯に沁みる冷たさ。
水気たっぷりの果肉が、火照った
体の奥まで、すうっと涼を運んでいく。

「種まできれいに食っときな」と熊さんが言う。
「水ばっかりと思ってると、肝心なとこを捨てちまうよ」。

子どもたちは意味もわからず、
言われた通り種を噛んでみる。
かり、と小さな音がして、口の中に
かすかな渋みと香ばしさがひろがる。

気づけば、流しのそばで冷えている、
次の大玉だけが、黙って午後の暑さを映している。








最後の一切れを前にして、八っつぁんが言う。
「なあ熊さん、これだけ栄養あって涼しくして
くれるんなら、今年の猛暑も安泰だな」

熊さん、団扇を止めてぽつり。
「そいつはどうかな。スイカは涼をくれるが、
長屋の家賃までは冷ましてくれねえ」

縁側に笑いがどっと広がり、皿のスイカも、
種も、きれいさっぱり消えちまった。

子どもたちは、その言葉の半分もわからないまま、
最後の一口まで赤いところをしゃぶりつくす。

縁側の下では、どこから落ちたのか、
いくつかの黒い種が土に沈みかけている。
来年の夏のことを、誰も口には出さない。

ただ、夕立の気配だけが、遠くの空で静かに膨らんでいる。
夕立前の風だけが、冷えた甘さの名残りを
そっと撫でて通り過ぎていった。

後に残るのは、食べ尽くされた皮と、
夜風に冷めてゆく笑い声ばかりである。



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今日は、土用の丑の日です。
何故『土用丑の日』に鰻を食べる習慣ができたのか? 一番有名なものをお話します。

江戸時代、うなぎ屋がうなぎが売れないで困っていることを、平賀源内に相談しました。
この時の、 「“本日丑の日”という張り紙を店に貼る」 という平賀源内の発案が功を奏し、
うなぎ屋は大繁盛になったのです。これを他のうなぎ屋もこぞって真似するようになり、
次第に「土用丑の日はうなぎの日」という風習が定着したとされています。

夏の土用丑の日のにぎわいと、
江戸下町のうなぎ屋は相性ぴったり。

🎐 土用の丑と下町鰻

 丑の日ともなりゃ、
浅草あたりの夕暮れは、
そりゃあもう騒がしいねぇ。

夕立あがりの石畳がまだしっとり光って、
屋台の行灯がぽつぽつ灯りだすと、
川風がふっと匂いを運んでくる。
焦げたタレとうなぎの脂が
まじりあった、あのたまんねぇ香りよ。

「へい、丑の日だよ、お立会い」 
 
年季の入った暖簾をくぐると、炉端の前に、
いかにも江戸の職人って面つきの親爺が、
きゅっと鉢巻きを締めて立ってやがる。

指は炭で黒く、包丁はよく研がれて、
まな板の上でうなぎがひと暴れ。
 
「おっとっと、そうあわてなさんな。これから天国行きだ。」

屋台のまわりには、長屋帰りの左官や大工が、ひょいっと
腰をかけてる。銭の心配ぁあっても、腹ぺこには勝てねぇ。

「親爺、きょうは丑の日。景気よく一枚、分厚く頼むぜ。」

「なぁに言ってやがる、丑の日じゃなくたって、うちは
いつでも分厚いさ。だがまあ、きょうは“ご利益”つきだ。」

親爺は、炭をつついて火を起こすと、串打ちしたうなぎを
ぱっと並べる。じゅうっと脂が落ちて、煙が立ちのぼる。










「昔はなぁ、夏場にゃうなぎなんざ、
誰も見向きもしやしなかったんだ。」
 
そう言って、タレ壺から金の糸みてぇに、
とろりとタレを垂らす。
 
「ところがよ、物知りの先生が来てな。
“丑の日に“う”の字のつくもん食や、
夏負けしねぇ”ってんで、店先にでっけぇ字で
書いてくれたんだ。“本日土用丑の日”ってな。」
 
親爺は目を細めて笑う。
 
「するとどうだ、表にゃ人がぞろぞろ。うなぎが旬だの
何だの、そんなこたぁ誰も気にしねぇ。腹と銭と看板さえ
良けりゃ、季節のほうが言うこと聞くって寸法よ。」










井戸端で洗い物をしていた娘っこが、
ちらりと店の中をのぞいて、すぐ目をそらす。
夕餉どきの、ささやかな色気である。

「へい、丑の日特盛一丁、お待ち遠さま」

焼きあがった蒲焼きが、湯気を立てながら丼におさまる。

「ほらよ、江戸の夏の薬。“土用の丑”って看板代込みだ。」

照りは川面の月みてぇで、
香りは長屋のガキどもを引っぱり出し、
その煙を鼻先で追いかけながら、
裸足のまま店先にへばりつく。 

「親爺、いい匂いだなぁ。」

「今はこの匂いで我慢しな。
大きくなったら、仕事帰りに一人目ーだ!。」

親父がそう言って笑うと、皺だらけの
顔が、炭火よりあったかく見える。

長屋の夕空は、まだ茜色の名残りを
引いていて、どこかの屋根から、
風鈴がちりんと鳴る。

屋台の赤ちょうちんに、湯気がふわりと立ちのぼり、
長屋の裏まで、その香りが、まるで落語の
オチみてぇに、するすると流れていった。

「丑の日の煙は、今年もまた、空のどこかで
源内の鼻先をくすぐっているに違いない、」
と老主人は夕空を見上げながら、
心の中でだけでしみじみと噛み締めた。



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心霊体験したことある?


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今年初のスイカはもう食べた?


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好きなかき氷の味は?


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今日7月25日は「かき氷の日」です。
一般社団法人・日本かき氷協会が制定 。
日本の食文化の一つ「かき氷」の文化を守り、氷業界・かき氷飲食店舗などのかき氷に
関わる業種とのつながりを深め、かき氷の素晴らしさを広めることを目的としています。

猛暑がつづく中で食べるかき氷は、
たしかに「ありがたい」存在ですよね。

✒ カキ氷の日の小品

氷屋の店先に、白い山が鎮座している。
電動の刃が鳴り出すと、固い四角はたちまち薄片に化け、
茶碗の中へふわりふわりと積もってゆく。

山はまだ無垢で、夏の光を受けて青白くひかり、
どこか病人の額のような冷たさをたたえている。

店主は、いちごの瓶を選ぶ。赤い液は、ガラス越しに
午後の光を吸い込み、とろりとした影を作っている。
ひとたび注がれれば、氷の斜面をすべり落ちる
細い流れとなり、途中で何度も小さな雪崩を起こす。
そのたびに、皿の上の夏が音もなく組み替えられていく。

スプーンを入れると、氷はあきらめが早い。
舌の上に触れた瞬間、言い訳もせず消えてしまう。
残るのは、少々甘すぎる香りと、
歯の根のかすかな痛みだけだ。









外では蝉が、まるで世界の終りを急かすように鳴いている。
今年の暑さは、誰に聞いても「例年になく」だという。
人は毎年同じ嘆きをくり返しながら、そのたびに
このつめたい砂糖の儀式へと戻ってくる。

氷は、たった数分の慰めでしかない。
それでも、溶けていく白さを見つめていると、
夏というものが、もともと長くは
続かない幻のように思われてくる。

茶碗の底にうっすら残った赤い水を飲み干して、
私はようやく汗ばむ背中を意識する。

外気は相変わらず熱い。
しかし、喉の奥だけは、
小さな氷河をひとつ隠している。

七月二十五日を「かき氷の日」と
名づけた人々の、いささか風変わりな
真面目さを、私は嫌いになれそうにない。

子供の頃、祭りの夜店で食べたかき氷の色だけを、
年月を経た今もなお言い当てられるのは、
私の幸福な儚い文化への錯覚だろうか。


最後までご覧頂きありがとう。

今日が良い日となり、

明日がさらに素晴らしい日となりますように晴れ

撮影  文 熊谷

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ここのところ、夕日が綺麗ですね。そ
れでは夕景のシャッターチャンスを究めるということで。

空が赤くなる夕方は、昼間とは違った雰囲気で
風景を撮影できるシャッターチャンスです。
味わい深い夕焼け写真を撮るにはどうすればいいのか。
実写を見ながら、夕景撮影のコツを解説しましょう。


ホワイトバランスは「太陽光」が基本



絞り:F4 シャッター速度:1/40秒 感度:ISO320 WB:太陽光 焦点距離:30mm


撮影場所はヴェッキオ橋またはポンテ・ヴェッキオ、
フィレンツェを流れるアルノ川に架かる橋。
河の中央が間が抜けないように、漕ぎ行く
カヌーの位置にこだわりました。


夕景を確実に撮るためには、まず太陽が沈む時間と
方角を知ることが欠かせません。
Web検索や天気予報アプリなどを使って、
撮影地の日の入り時刻と方角を調べておきましょう。
そして、日の入りの1時間前には現場に到着し、
撮影の準備を始めたいところです。

カメラの設定は、夕景撮影ではホワイトバランスを
「太陽光」にセットすることが基本です。
「オート」のままではせっかくの赤みが補正されて
薄くなってしまうことがあります。

より赤みを強調したいときは「曇天」や「日陰」を
選ぶのもアリですが、あまり赤が強すぎると
ウソっぽく感じるので注意してください。


撮影モードは、構図を変えながらたくさんの枚数を素早く撮るなら、
絞り優先オートが便利です。オートの設定値が明るすぎて、
太陽の輪郭が白トビする場合には、適宜マイナスの露出補正を加えます。
下の写真は、ニューカレドニアの夕日です。

マイナス1の露出補正を加えることで白トビを抑えつつ
全体に重厚感を与えています。



絞り:F8 シャッター速度:1/1000秒 感度:ISO200 WB:太陽光 焦点距離:70mm

(上下とも撮影場所は今は無くなってしまった
ニューカレドニアからクラブメッド)



鮮やかな夕焼けを撮るためには、西側の空ができる限り
地平線近くまで見渡せる場所が狙い目といえます。
自然風景なら西側に海や湖、丘、草原がある場所、
都会なら西側が見える展望台などです。
世界各地にある夕日の名所を事前に調べ、
そこを訪れるのもいいでしょう。

下の写真は、かつてにあったクラブメッドの夕日の名所です。
残念ながら現在は閉鎖されてしまいましたが、
このときは美しい夕日のグラデーションを撮影できました。

ホワイトバランスをあえて「蛍光灯」にすることで全体を
紫色に染め、別世界を思わせる夢幻的な雰囲気を高めてみました。
まさに「天国に一番近い島」です。




絞り:F5.6 シャッター速度:1/125秒 感度:ISO1600 WB:蛍光灯 焦点距離:100mm



また、夕焼けの撮影は西側の空を狙うことが基本ですが、
ときには後ろを振り返って東側を眺めてみるのもいいでしょう。
東の空は青さが残ることが多く、鮮やかさという点では
西の空に見劣りしますが、夕日そのものではなく、
夕日を浴びて赤く染まった被写体があることも。
下の写真では、雲がオレンジ色に輝いている印象的な光景を捉えました。

椰子の枝の間の間が抜けるのを嫌い、
双発のプロペラ機の位置がはまるまで待ちました。




(次の撮影場所 ハワイ州オアフ島のホノルル市内ワイキキビーチにて)
絞り:F5.6 シャッター速度:1/250秒 感度:ISO200 WB:太陽光 焦点距離:85mm



日没後のマジックアワーに撮る

空の色は時間を経るごとに徐々に変化していきます。
特に日没前後の約30分は色の変化が大きく、
薄い黄色からオレンジ、赤、紫といった具合に
さまざまな色彩を楽しむことができます。

この時間帯を逃さず、構図や露出を変えながら、
たくさんのバリエーションを撮っておくといいでしょう。





(撮影場所、神戸市風見鶏の館)




そして、太陽が沈んだからといって撮影を終わりにしてはいけません。
日の入り後もしばらくの間は、大気中の塵によって光が拡散され、
うっすらとした明かりが残ります。
この「薄暮」の時間は、マジックアワーやマジックタイムとも
呼ばれる絶好のシャッターチャンスです。



撮影場所 (モン=サン=ミシェルは、フランス西海岸、
サン・マロ湾上に浮かぶ小島、及びその上にそびえる修道院)です。




最近、ブログに更新したチンクエ・テッレ・マナローラ。
カメラもレンズも新しい方が間違いなく解像度が高い、

私の場合は5、六年でレンズは買い替えをしているのだが、
昔に比べると、随分とピントがシャープになった。



チンクエ・テッレ・マナローラ、夕方小景絞り:F11 シャッター速度:1/40秒 感度:ISO800 WB:太陽光 焦点距離:35mm




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熊谷

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