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8月2日はおやつの日
🍡 おやつの日の由来
八月二日、おやつの日。
「おやつ」は、江戸の人々が
一日二度の食事のあいだ、八つ時、
いまの午後二時から三時ごろに口を
なぐさめた間の名残だという。
室町の末、時を告げる鐘が八度鳴る
その刻を、人は合図のように待っていた。
腹の虫は正直で、遠くの寺の鐘に
先んじて鳴き出すこともあったろう。
日本おやつ協会は、この古い呼び名に、
もう一度あかりをともし、八月二日を選んだ。
八と二を並べれば「おやつ」と読めるという
口あたりのよい理屈に、争いごとのない時間を
増やしたいという願いが、砂糖のように静かに溶けている。
🌿 スタジオの夏和菓子
スタジオの白い光のなか、若草色の
和紙が一枚、背景色として置かれている。
墨で縞を引かれた皮のつややかな
脹らみの球体その隣の、半月と4/1の
切り口には紅と翡翠色の層が重なり、
大きな黒ごまが種のように点じられている。
餡を包んだ皮は、指の腹にしっとりと
吸い付き、持ち上げれば、夏の湿り気を
そのまま移したようにたわむ。

スタジオの空調はきびきびと
音を立てているが、甘さの前では、
どこかよそよそしい。
ストロボが閃くたび、緑の縞は
水面のようにきらりと光り、
誰かの「おいしそうですね」と
いう小さな声が、商品の上にデイフュザーとして
広く貼ったトレペよりも柔らかく空気を和らげる。
💧 庭園と水羊羹
また別の日、外には本物の夏があった。
和風の庭園では、苔の上を風が横切り、
池の水をわずかにさざめかせている。
縁側に近い低い卓の上に、丸い硝子の器に
水羊羹が沈んでいる。光を受けた表面は、
薄い雲を閉じ込めた水面のように、かすかに揺れ、
指先を近づければ、冷たさが見える気がする。
黒にも茶にも言い切れない、その半透明の色合いは、
日陰と日向のあいだにとどまる午後の空気に似ている。

撮影の合間、スタッフの誰かが匙を入れる。
すっと刃が通り、切り口はなめらかな
崖となって器の中に立つ。ひと口運べば、
喉の奥に落ちる音より先に、静かな甘さが広がり、
蝉の声が一瞬だけ遠ざかっていった。
☕ しっとり和風の時間
おやつの日にテーブルを
囲むとき、私たちはほんの少しだけ、
江戸の町家と同じ風の音を聞いている。
ひとつのおやつを分け合うたび、
世界の輪郭が、すこしだけ丸く、
やわらかく書き換えられていく。
スイカのかたちをした饅頭も、
水面を閉じ込めたような水羊羹も、
その場に居合わせた人々の言葉を急がせない。
皿に残るわずかな水滴、茶碗の底に沈む茶葉。
そうしたものを眺めながら交わされる他愛ない話こそが、
人を少しだけやさしくし、世界を少しだけ平和にしてゆく。
八つ時の鐘はもう鳴らないが、午後二時を過ぎると、
どこかで甘いものを思い出す癖だけが、小さな空腹と
いっしょに、誰にも告げない約束のように残っている。
この度の熊本をはじめ地震に見舞われた皆さまに、
心よりお見舞い申し上げます。
最後までご覧頂きありがとう。
今日が良い日となり、
明日がさらに素晴らしい日となりますように
。
インスタフォロー宜しくお願いします↓↓↓
https://www.instagram.com/naoo_kumagai/
撮影レタッチ 文 熊谷
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8月2日はおやつの日
🍡 おやつの日の由来
八月二日、おやつの日。
「おやつ」は、江戸の人々が
一日二度の食事のあいだ、八つ時、
いまの午後二時から三時ごろに口を
なぐさめた間の名残だという。
室町の末、時を告げる鐘が八度鳴る
その刻を、人は合図のように待っていた。
腹の虫は正直で、遠くの寺の鐘に
先んじて鳴き出すこともあったろう。
日本おやつ協会は、この古い呼び名に、
もう一度あかりをともし、八月二日を選んだ。
八と二を並べれば「おやつ」と読めるという
口あたりのよい理屈に、争いごとのない時間を
増やしたいという願いが、砂糖のように静かに溶けている。
🌿 スタジオの夏和菓子
スタジオの白い光のなか、若草色の
和紙が一枚、背景色として置かれている。
墨で縞を引かれた皮のつややかな
脹らみの球体その隣の、半月と4/1の
切り口には紅と翡翠色の層が重なり、
大きな黒ごまが種のように点じられている。
餡を包んだ皮は、指の腹にしっとりと
吸い付き、持ち上げれば、夏の湿り気を
そのまま移したようにたわむ。

スタジオの空調はきびきびと
音を立てているが、甘さの前では、
どこかよそよそしい。
ストロボが閃くたび、緑の縞は
水面のようにきらりと光り、
誰かの「おいしそうですね」と
いう小さな声が、商品の上にデイフュザーとして
広く貼ったトレペよりも柔らかく空気を和らげる。
💧 庭園と水羊羹
また別の日、外には本物の夏があった。
和風の庭園では、苔の上を風が横切り、
池の水をわずかにさざめかせている。
縁側に近い低い卓の上に、丸い硝子の器に
水羊羹が沈んでいる。光を受けた表面は、
薄い雲を閉じ込めた水面のように、かすかに揺れ、
指先を近づければ、冷たさが見える気がする。
黒にも茶にも言い切れない、その半透明の色合いは、
日陰と日向のあいだにとどまる午後の空気に似ている。

撮影の合間、スタッフの誰かが匙を入れる。
すっと刃が通り、切り口はなめらかな
崖となって器の中に立つ。ひと口運べば、
喉の奥に落ちる音より先に、静かな甘さが広がり、
蝉の声が一瞬だけ遠ざかっていった。
☕ しっとり和風の時間
おやつの日にテーブルを
囲むとき、私たちはほんの少しだけ、
江戸の町家と同じ風の音を聞いている。
ひとつのおやつを分け合うたび、
世界の輪郭が、すこしだけ丸く、
やわらかく書き換えられていく。
スイカのかたちをした饅頭も、
水面を閉じ込めたような水羊羹も、
その場に居合わせた人々の言葉を急がせない。
皿に残るわずかな水滴、茶碗の底に沈む茶葉。
そうしたものを眺めながら交わされる他愛ない話こそが、
人を少しだけやさしくし、世界を少しだけ平和にしてゆく。
八つ時の鐘はもう鳴らないが、午後二時を過ぎると、
どこかで甘いものを思い出す癖だけが、小さな空腹と
いっしょに、誰にも告げない約束のように残っている。
この度の熊本をはじめ地震に見舞われた皆さまに、
心よりお見舞い申し上げます。
最後までご覧頂きありがとう。
今日が良い日となり、
明日がさらに素晴らしい日となりますように
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撮影レタッチ 文 熊谷
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