2004.5.11(土)出口大地指揮 大阪交響楽団 | Concert memory

 2021年にハチャトゥリアン国際指揮者コンクール優勝を獲得した若手の出口大地がハイドンばかりのプログラムを振るというので、どんなものかと期待してコンサートへいった。

 曲目はブラームスのハイドンの主題による変奏曲、M,ハイドンのトランペット協奏曲(ソロはラインホルト・フリードリッヒ)、J.ハイドン交響曲第101番。プログラムでは、「ハイドンは音楽界随一のユーモアの使い手」と出口氏本人が書いていた。演奏はというと、そのユーモアというのはあまり強調されず、素直でさほどこだわりのないハイドンという感じであろうか。近年の若手指揮者は極端に明るくしてみたり、激しくしてみたりとなかなか無理のあるハイドンを演奏するように思うのだが、彼のは全くそうではなく、爽やかな音色とアクセントの強いメリハリのある音楽である。

 トランペット協奏曲では名匠ラインホルト・フリードリッヒが登場して会場は大いに盛り上がった。三点イ音が出てくるなどのとんでもない高音を含む、超絶技巧的な曲であるが、そのせいで所謂音楽性は薄れてしまう印象があった。もとより超絶技巧を楽しむ曲なのかもしれないが、私自身がよく聴いていた録音が、ナカリャコフやモーリス・アンドレだったのもあり、もっとナチュラルな曲だと思っていたのだ。ともあれ、万雷の拍手のもと、ラインホルトもテンション高くカーテンコールに応え、本人的にも大満足といったご様子だった。

 今回はどうやら音大の学生と思しき若者が多くいたようで、比較的年齢層は若かったのではないだろうか。私がチケットを買ったときは、席の選択肢はほぼ無かったのだが、客の入りは6割ほど。かなりの量を招待で出していたのかもしれない。

 次はぜひ出口大地の十八番、ハチャトリアンを聴いてみたい。