funta(ふぁんた)のブログ -343ページ目

anti-デフレ経済学

 プロのスタジオミュージシャンは、一回の演奏で10万円ほど稼ぎます。これを高いと思うか、安いと思うか。
(1日じゃないですよ。1回ですよ)

片や、一日拘束されて1万円程度でそこそこの演奏をしてくれるミュージシャンもいます。何が違うのでしょう?

 ちょっと極端な例ですが、昔話に準(なぞら)えて、二人のプロデューサがレコーディングをした話をします。

 お金持ちのプロデューサーAは、迷わず1回10万円のミュージシャン(ドラマーA)を使いました。ちなみにレコーディングスタジオの使用料は1時間5万円です。

 
 ドラマーAがロビーでタバコくわえてその日渡された譜面を確認する間、彼がつれて来た2人のボーヤ(アシスタント)が10分ほどでドラムセットのセッティングやチューニングを終わらせました。その後の彼の演奏は完璧。すべてテイク1(たった1回の演奏)でOKをもらい、1時間の間に5曲を録り終え、ドラムセットも片付けました。スタジオに払った5万円と、ドラマーAに払った10万で、合計15万。ドラマーはなんと時給10万円の計算。その後もう一つ別のスタジオに呼ばれれば日給20万です!すごい!

片や、資金の無いプロデューサーBは、一日(何時間拘束しても)1万円のドラマーB君を選びました。
駆け出しのドラマーB君は、自分でドラムセットを持参し、駐車場とスタジオを何往復もしながら汗だくでドラムセットを運びます。スタジオが使える時間になると、自分で運び入れ、セッティングやチューニングを始めました。20分かけてようやくセット終了。その後譜面を預かり、10分後にレコーディングに入ります。
(お気づきでしょうが、この時点でスタジオは30分借りてます)
  さて、演奏に入りますが、セッティングの汗がひかないドラマーB君はなかなか演奏に集中できません。何度もミステイクを繰り返し、結局3時間掛けてようやく5曲を撮り終えました。ここまでにプロデューサーBが払った金額は、スタジオ代3時間15万円と、ドラマーへの1万円で、合計16万。

 おや?この時点で、なぜかBの方が出費が多いのですね。

さて、翌日は別のミュージシャンを呼んでベースやギター、キーボードなどを録音してきます。

プロデューサーAが選んだドラマーAのトラックは、演奏はもちろん音色も音量のバランスも完璧。後から録音するミュージシャンも気持ち良さそうに演奏してくれました。結果2時間で全ての演奏を撮り終え、スタジオ代だけで10万円の出費。

片やプロデューサーBのトラックは、ドラマーB君が一生懸命に演奏したにも関わらず、リズムは乱れ、チューニングも音色も、全体のバランスも悪く、エンジニアがバランスを取ったりイコライザを使ってごまかしたり、それだけでもオペ代がかさみます。なかなか次のレコーディングに入れません。
 次のミュージシャンを待たせた挙げ句、ようやくレコーディングに入りますが、ベースやキーボードも演奏しながら不満顔、なぜかノリません。エンジニアのオペ代と演奏で結局5時間もかけてしまいます。この日の出費はスタジオ代だけで25万。(それにエンジニア代、ミュージシャン代)

この時点で、AとBがそれぞれいくら出費したか計算してください。おもしろい結果です。

 さて、後日それぞれがミックスしてCDを作りました。

プロデューサーAの作品は、ミュージシャン達の演奏もエンジニアのオペレートも完璧。あっという間にトラックダウンを終えて、発売2ヶ月前にプレスに入りました。CDプレスも「ゆっくり格安コース」です。

プロデューサーBの作品は、なかなか納得できるミックスが出来ません。何度も試行錯誤を繰り返し、ようやくプレスに出したのは発売2週間前!! プレスは「特急割高コース」です。

 かくして同じ日に世に出たこの2枚のCD、評価は当然Aの方が高く、その評判は口コミで広がって、ぐんぐん売り上げを伸ばします。当然利益もウハウハです(死語…)。

片やBの方はといえば、鳴かず飛ばずの状態。出資した制作費をペイできるかも疑問です。

なんか、昔話というより、「金持ち○さん、貧乏○さん」の話みたいw

お金持ちがお金持ちな理由は、豊富な資金で効率よく仕事を廻し、投資金額以上を回収するから余計にお金持ちになれる。

貧乏人が貧乏な理由は、経費を削ろうとするあまり、逆に余計なコストがかかる事と、結果的にいい成果を挙げられないが為に回収も思うようにできず、備蓄をどんどん食いつぶす。この繰り返し。

二者の違いはこれに尽きると思います。

 これでもあなたは、安いミュージシャンを使いますか?高いミュージシャンを使った方が結果として経費も安く、売り上げも上がるとしたら…

でもこれは現実なんですよw