anti-デフレ経済学その2
先ほどの話、今度はミュージシャン目線で。
ミュージシャンAは、1回の演奏(今回は1時間)で10万円を受け取りました。
その日雇ったボーヤ(アシスタント)2人に1万円づつ、計2万円支払いましたが、それでも8万円の売り上げ。
こんな仕事が毎週1回でもあれば十分暮らしていけます。他の日は別のミュージシャンのツアーに仕事で行ったり、好きな音楽を聴いたりライブを観たり。当然自分で練習したり研究したり…、丸一日かけて楽器の手入れをしてみたり・・何もしないで旅行に出かけてみたり・・・ミュージシャンとしても人としても地位を上げていきます。
(見落としがちですが、ボーヤも時給1万円ですね!すごい!)
片や、ミュージシャンB君は、丸一日働いて1万円を稼ぎました。こんな仕事が毎日あるなら苦労しませんが、レコーディングの仕事なんてそうそうある訳でもありませんから、残った日はアルバイト。とても自分の練習やドラムの研究なんてする時間はほとんどなさそうですね。
高いギャラを取る人は、それなりに理由があります。
民間機のパイロットが一回のフライトで何十万受け取るのか知りませんが、当然その地位を得るために勉強や試験など、相当な出費をしたはずだし、パイロットになってからも、安全なフライトのためにはオフにゆっくり休む事も仕事のうちだと思います。
(日本でも数年前に、フライト直前まで飲んでたパイロットが、飲酒運転になるからと業務に就かせてもらえず、民間機が数時間足止めくらった事件がありましたね。)
いい演奏をするミュージシャンは、演奏以外の時間にいい音楽を聴き、たくさん練習や研究をし、レコーディングやライブで全身全霊の演奏をする為に、オフの日も休養や調整をしているのです。本番の前日には周辺も整理し、翌日の仕事に備えて酒も断ち、荷物や衣装も用意して睡眠時間もきっちり穫る。
演奏当日は完璧な状態で出勤。控え室で集中して出番を待ちます。直前まで他の仕事の心配するなんてありえません。
プロ野球の選手も、年棒制で億単位の金額をもらってますから、試合数に換算してもたった1試合で高額なギャラを受け取ってるはずですが、シーズン中は毎日がチーム練習の繰り返しだし、オフはオフで、自宅の豪邸にトレーニングルームも完備し、高価なトレーナー師やスポーツマッサージ師を雇ったり、家族と海外旅行を楽しんだり。これらすべてが次の試合に勝つための投資なんだと思います。明日の生活の為に、試合のない日にアルバイトをしてるプロなんていないと…思います。たぶん。
前日まで徹夜でアルバイトしてたミュージシャンが、当日安いギャラで安い演奏を披露し、「いやぁ、今日は調子が悪いからなぁ」と言い訳するのは自由です。でも多分次回からは声を掛けてもらえなくなりますが。
でも、プロスポーツの世界では勝ち負けがあります。勝てば大金をもらえるけど、負けたらクズ扱い。次回も勝つには多額の経費を掛けて調整する訳です。
音楽が生温(なまぬる)いとか、スポーツが厳しいとか、そういう比較をするつもりはありませんが…もっと過酷な話をすると。
最近ジワジワと人気を上げている長距離バス。運賃も安くて魅力的ですよね。たとえば東京~九州間を飛行機なら4万円以上、格安航空券でも2-3万のところ、長距離バスなら1万円ちょっとで行けます。
ただ、安くて便利な反面、運転手の仕事は本当に過酷らしいです。東京~九州なんて日本列島の半分を横断するような十数時間の運転のあと、3時間程度の仮眠を穫ってまた別のお客の命を乗せて東京に戻る、そんな生活を毎日しながら、一回の運転でもらえるギャラは相当少ない。規制緩和でライバルも増えて、ドライバーが足りないというのも理由のひとつですが、運賃のデフレ競争のために一回の運転でもらえるギャラが減らされる分、ひとりが運転する本数を増やして稼がないと家族を養えないのも事実。その結果、無理な運転が続き、ドライバーの過労による大きな事故が相当増えているらしいです。
一本の仕事をきっちりこなしたら、それ相応のギャラをもらってあとは休む。これが基本だと思います。
営業と違って成果が見えにくい仕事だけど、何事も無かった事をちゃんと評価して対価を払うべき。
もちろん休む間も体調を整えるのが仕事。その分もギャラとしてもらうべきだと思います。
飛行機や電車より安くて魅力的なバスだけど、運転手が疲労で事故おこしたら全部パーですね。
私だったら、東京から九州までマイカーで走ったとしたら、2-3日はハンドル握りたくありませんよw
ましてや知らないお客様を何十人も乗せて運転なんて・・・緊張しすぎて自分の運転で車酔いしそう(大汗)
実際のギャラは知りませんが、仮に、一回の運転で1万円もらえるとします。一人の運転手が土日祝日も関係なく毎日1本づつ運転したとして月収30万。ただこれでは体を休める暇もありません。
本当なら3日に1回運転して、3万円もらいたいところ。1日働いて2日休む計算ですね。これで月に10日働けば同じく30万。
さて、経営者からするととんでもない話です。「便は毎日運行しているんだ。3日に1日しか運転しないなら、ドライバーを3人雇わなければいけない。経費が3倍にふくれるなんて無理だ!」
当然の考えですが、ドライバーへの支払いが1人分の30万から3人分の90万になったとしても、1回の運転で30人の客を運ぶとしたら、単純計算で月に延べ900人を運ぶ計算。ということは、お客様の運賃をひとり1,000円上げればペイできるでしょ?安全を考えれば安いもんだと思います。
ライバル会社と100円200円でシノギを削るより、安全という付加価値をつけて運賃を1割アップしましょうよ。
これが飛行機の場合、一度に300人くらい運ぶ訳だから、安全に対する意識も相当なもんだと思いますが、客への負担もその分小さいはず。
まさか、最近の格安航空券の影響で、パイロットのフライト1本のギャラも下がって、パイロットが一日何本も過酷なフライトをして日銭を稼いでるとは思いたくありませんが…、実際どうなんでしょ?