(1)発達障害「グレーゾーン」の記述から
岡田尊司さん著の『発達障害「グレーゾーン」』(ソフトバンク新書 定価900円+消費税)の中に、「知覚統合を鍛えるには?」という記述がありました(86P)。
「知覚統合を鍛えるには、幼いうちからブロック玩具やパズルに親しむことが有効である。将棋やオセロ、ボードゲーム、パズルゲームも、知覚統合を駆使する遊びだ。
数学が得意な人の話を聞くと、パズル的な遊びや将棋に熱中していたということが多い。鶏が先か卵が先かはわからないが、将棋やパズルが好きな子どもは、大抵数学が得意だ。もともと得意な面もあるだろうが、練習を重ねるなかで、将棋も数学もさらに強くなるのだろう。
将棋や囲碁は、知覚統合の戦いのゲームといっても過言ではない。相手の動きを読み、それに対処する方法を頭のなかで、駒や碁石を動かしながら考えるわけだ。詰将棋の問題を解いたりすることも、知覚統合を鍛えるのに最適な課題と言えるだろう」
同書の中では、知覚統合が低い数例の実例が載っています。参考にするとよいと思います。
(2)将棋の有用性について小児科医Nの補足
知覚統合は成人用の知能検査「WAIS」に出てくる知能のある側面を表す指数で、「視覚的に問題を捉えて考える力」を表します。小児用の知能検査WISC-IVでは知覚推理にあたり、WISC-Vでは視空間や流動性推理にあたります。
以前私も将棋の有用性については以下のような記事を書きました。
「将棋」という習い事の可能性について | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)
「将棋というゲームは頭を使って行なうゲームです。大学にも高校にも将棋の全国大会があります。将棋の団体戦は大学では東京大学、京都大学、早稲田大学などの偏差値的に高いと言われている大学が上位を占めることが多いです。」
「問題なのは将棋が強くなると頭がよくなるかどうかです。多分これもそう言えるのではないかと私は思います。将棋は頭の中でいろいろと考えながら行なうゲームです。非常によい頭の訓練になるかと思います。また、将棋というゲームは好きな子にとっては非常に面白いゲームです。勉強を長時間集中して行なうことはなかなか難しいと思いますが、将棋の中でなら、頭を長時間使い続けること、集中すること、ミスをしないこと等の訓練を行なうことができやすいと思います。」
「発達に特性のある子供にとって、勉強に取り組むことは難しくても、まず将棋をやらせてみたらどうでしょうか。考えること、集中することに慣れたら、徐々に勉強に移行していけばよいのではと思います。」
(3)ボードゲームの有用性について小児科医Nの補足
ボードゲームの有用性については以下のような記事を書きました。
トランプ・ボードゲームの勧め | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)
「私たち「八角形鎌田」では療育プログラムの一環として、トランプやボードゲームを行っていく予定です。
狙いとしては
①思考力・記憶力の養成
➁自分に不愉快な事態を我慢する力
③人の考えや表情を読む力を養成する
④楽しく場を過ごす能力の養成
トランプやボードゲームは勝つためにはいろいろ考えを巡らせなければなりません。記憶力を求められる場面もあると思います。思考力・記憶力の養成に資すると思います。」
(4)一番よいのは算数や数学の難易度の高い問題を解くことでは?
将棋にしろボードゲームにしろトランプにしろ、楽しく思考力を養成するには選択肢の1つだと思いますが、「一番よいのは算数や数学の難易度の高い問題を解くことでは?」とお思います。
算数では難易度の高い文章問題や図形問題を、数学では数列、ベクトルなどの思考力を要する問題を解いていくことだと覆います。
逆に言えば、「数学がない入試」で大学に入学した人は、知覚統合(知覚推理)が低い可能性がありますし、思考力に弱い側面があるのではないでしょうか?
(5)「八角形鎌田」では療育にボードゲーム・トランプ・将棋を取り入れています
ただし、このような問題は勉強の習慣がついていない子には困難ですから、入門用として、将棋、ボードゲーム、トランプは有用だと思います。
上記記事にあるように、放課後等デイサービス「八角形鎌田」では療育にボードゲームやトランプや将棋を取り入れています。
興味がある方は、「054-259-8777」にお問い合わせを。