(1)姫路獨協大学薬学部学生募集停止

 

 姫路獨協大学は4月1日大学のホームページで令和7年度入学者の募集を停止することを発表しました。

 

 薬学部は定員60人に対して、令和5年度は入学者5人と壊滅的な状況となりました。令和6年度は20人とやや回復しましたが、薬剤師の充足化による薬学部人気の低下、兵庫県内ならびに近県薬学部との競争激化、18歳人口の減少、経済事情の著しい変化に伴い、今後入学定員を充足することが難しい状況と大学サイドは判断し、これ以上の存続は難しいと判断したようです。

 

入学者5人の薬学部、どうなる?姫路獨協大学 | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)

 

 

(2)姫路獨協大学薬学部の改革

 

 姫路獨協大学では、入試制度の改革、薬学教育に理解を得るための高校訪問、高校生対象の体験入学、リメディアル教育や実習指導の充実を図り、受験生へのPRを続けたそうです。

 

 また、定員充足率が低いと補助金が減額されるので、定員の減員を行い充足率の改善を目指しました。しかし、平成30年度以降は、コロナ禍等の影響も加わり、再び入学定員を下回る状況が継続したため、新たな特待生制度・奨励生制度を整備し、薬剤師を目指す学生の経済的負担を軽減することや、留学生を対象とした早期入試の導入、高等専門学校をターゲットとした編入学の受入強化など、学生確保に繋がる努力を重ねました。また、受験生だけでなく、在学生の学習支援、国家試験対策支援の充実・強化を図ることや、文理総合大学の強みを生かした多職種連携を取り入れた学習などにより教育の更なる充実を目指すことで、学生確保に繋げる努力を重ねてきました。


 しかしながら、入学者数の減少が続き、定員充足の改善が見込めないとの判断に至り、令和7年度入学者の募集を停止する判断に至ったようです。

 

 

(3)2023年度薬学部共用試験の結果

 

 薬学部共用試験の結果がホームページに発表されていました。

 

 薬学部共用試験は4年生が受験することになっているはずです

 

 以下の大学のホームページからの情報によると、

 

CBT合格者13人

OSCE合格者27人

 

 となっているようです。

 

 2023年度は当初39人の4年生がいたはずですので、1/3の学生しか共用試験を突破できなかったことになります。

 

 これでは姫路獨協大学薬学部ではどのような教育を行っていたのか疑問になります。

姫路獨協大学 | 2023年度 薬学共用試験結果について(薬学部) (himeji-du.ac.jp)

 

 

(4)姫路市長の「三流大学発言」

 

 兵庫県姫路市の清元秀泰市長が姫路市内で2022年3月16日に行われた姫路独協大学の卒業式の祝辞で、「自分を三流大学出身と思っていたら、四流や五流になるかもしれない」などと述べていたことが分かり、問題になりました。

 

姫路市長の「三流大学発言」とその後の報道に思う | ADHDの小児科医が伝えたいこと (ameblo.jp)

 

 おそらくこの発言の背景には、経営不振に陥っている姫路獨協大学が姫路市に公立化を求め、姫路市が熟慮の上断ったことが背景にあると思われます。

 

 もし姫路獨協大学が公立化していれば、薬学部が令和7年度に募集停止になることはなかったでしょう。

 

 今後姫路獨協大学はどうなっていくのでしょうか?

 

 

 

(5)学費をもっと安くすることはできなかったのか

 

 以下のサイトによると姫路獨協大学薬学部の学費は低い方から3番目だったようです。 しかし、薬学部の6年間学費は1位の奥羽大学9,400,820円、2位の国際医療福祉大学10,170,000に比べて、姫路獨協大学は11,174,700円とやや割高でした。

 

 また、兵庫県には神戸薬科大学、兵庫医科大学、武庫川女子大学、神戸学院大学と姫路獨協大学の他にも4つの薬学部がありました。過当競争地域にある薬学部は大胆な改革を行わないとならなかったと思います。

 

【2023年度入試版】薬学部の学費がすぐわかる!私立大学薬学部学費ランキング - ようこそ!薬剤部長室へ  (yakuzaibucho.com)

 

 大学は入学者を確保するために努力をしたようですが、「自らの大学が危機的な状況にある」との判断があったら、「もっと学費を安くする」という選択肢はなかったのでしょうか?

 

 今後も、少子化の進展、薬学部をめぐる状況は悪化の一途を辿ると思います。

 

 「次の姫路獨協大学」はどこなのでしょうか?

 

 「次の姫路獨協大学」にならないようにするためには、どのような改革を行っていけばよいのでしょうか?