ダイバーシティキャリアフォーラムRAINBOW CROSSING TOKYO 2019リポート | 艶(あで)やかに派手やかに

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「女性」✕「発達障害」✕「アラサー」×「グローバル」の立場からダイバーシティ(多様性)について発信しています。

10月19日(土)渋谷ベルサールで認定NPO法人Rebit主催「ダイバーシティキャリアフォーラム RAINBOR CROSSING TOKYO 2019」参加してきました。2017年からLGBTフレンドリーな取り組みをする企業が参加し、企業のアピールや、当事者や就労支援者との意見交換などの場にすることを目的としたこのイベントは、今年から多様性のカテゴリーをLGBTだけでなく障害、ジェンダー、子育て経験、エスニシティなどにも広げ、「ダイバーシティキャリアフォーラム」となりました。こうした趣旨の就活応援イベントは日本初。

 

RAINBOW CROSSING TOKYO 2019 パンフレット

 

基調講演で、「ジェンダー平等が進んだ国から来た女性にとって働きたい国であることができるか?」という視点で評価されることが今後ますます避けられなくなる、と語るUNウィメン(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに取り組む国連機関)の石川雅恵氏。また、7割近くの機関投資家が、投資判断や業務において女性活躍情報を活用する理由として「企業の業績に長期的には影響がある情報と考えるため」と回答していることが紹介されました。既に見られる現象ですが、ジェンダー平等の国別・企業別による格差(日本は2018年ジェンダーギャップ指数が世界で149か国中110位)が今後ますます広がり対外的イメージや人材確保に影響しそうだと思いました。その一方で石川氏は、企業によるジェンダー平等の社会貢献活動WEPs(女性のエンパワーメント原則)に資生堂社員2000人以上が参加し2017~19年までに毎年3000万円以上を寄付している実績も紹介。「今日、社会貢献活動に日本企業の参加が増えており、彼らは本当によくやっている。みなさんの会社でもぜひ挑戦してほしい」と石川氏は語っています。

 

参加企業の講演セッションでは、ダイバーシティ&インクルージョンを社内に根付かせるための各社の様々な取り組みが紹介されました。アクセンチュア、ソニー、ユニリーバなどからの代表者がそれぞれ登壇しました。ハードワークのイメージを脱し、女性もLGBTも障害者も働きやすい制度作りを進め、実績を着実に積んでいるアクセンチュア(社内手続きのチャットbot化や海外アウトソースにより、LGBTであることが社内に知られずに手続きを進められる)。創業当初から自由な社風を大切にし、80年代から女性の管理職登用や海外赴任が自然となり、また障害者雇用にも先進的だった(10年以上法定雇用率を上回って雇用し続けています)ソニー。内定者に入社まで1年間猶予期間を与えるなど、多様な人材確保のためユニークな取り組みをするユニリーバ。

ソニーの望月賢一さんは「課題は社内のまだ関心を持てていない層」と強調しました。確かに、興味を持っていない社員をどう巻き込むかは本当に課題ですね。興味を持っていない人はそもそも「うちの会社では難しい」「自分が無知なことを指摘され悪者にされそうで怖い」を前提にしています。難しく語ったり、誰かを断罪するのではなく、楽しく盛り上がって、気付けば興味を持っていない人が少数派になれば彼らも「何かな?行ってみようかな?」と思うようになるんじゃないかなと思います。

 

参加企業の出展ブースでは、各企業がダイバーシティ方針全般やLGBTや障害者雇用についての社内の取り組みを説明しました。あるブースでは、「データアナリティクス部門のADHDのメンバーに、マルチタスクを見直し1つずつ仕事を振るように工夫したり、静かな環境に調整したりしたことで、大幅にチームの生産性に貢献している」というエピソードをしていた企業がありました。それがまさにニューロダイバーシティだと思いました。

また別のブースでは、「遅れている部分は遅れている」と都合の悪い部分を隠さず正直に話したうえで「現在はここまで進めている」と進捗状況を報告している企業もありました。最近はそれこそ「ダイバーシッシュ (Diversish 多様性の組織をアピールしているが実態はかけ離れた企業を指す形容詞。今年に入り欧米で使われるようになってきた新語)ではないか?」と思われる事例もちらほら見られるなか、私はこのブースは決して悪い内容だとは思いませんでした。企業の対外発信の在り方を考えさせられます。

 

来年も開催され、参加企業がより多くなったらと思います!

 

注)「日本企業では女性が活躍できない」「社会貢献に積極的なのは外資だけ」と言う人は、企業の探し方にも問題があると思います。資生堂やソニーのように女性活躍や社会貢献の実績を出している日本企業は多くあります。より良い探し方が増えるためにも、このようなイベントは有意義だと思います。