アメリカで、視覚障害の男性がピザチェーンのドミノ・ピザのメニューをウェブサイトやモバイルアプリで注文しようとしたところ、それが視覚障害者のアクセスできない仕様になっていたようです。男性は、合理的配慮を義務付けているADA法(障害を持つアメリカ人法)違反だと米最高裁に上告しました。ドミノピザは最高裁に対し、ウェブサイトのアクセシビリティ改善義務の判断は避けるよう求めています。米CNBCが7月25日に報じました。
1990年7月26日、日本を含む世界の障害者権利運動に影響を与えたADA法に当時のブッシュ(父)大統領が署名して、今年で29周年を迎えました。アメリカで障害者支援に携わる人からは、「ADA法ができて29年も経つのにいまだにこんな企業があるなんて」といった反応がSNSで出ています。
7月25日のニューヨーク証券取引所での取引開始前に報道が出てから、ドミノピザの株価は263.86ドルから一時258.68ドルまで1.96%下落しました。
アメリカでは、障害者によるADA法違反訴訟が増えています。今年1月には歌手のビヨンセさんのマネジメント会社が、「ウェブサイトのアクセシビリティが悪くチケット注文ができなかった」と全盲者から訴えられています。
合理的配慮について、日本は30年遅れていると言われます。
ビヨンセのサイトを視覚障害者が提訴。“クレーマー”と言う日本人の無知コメントも(女子SPA!)
以前ココライフ女子部で一緒に記事制作をしていた、編集者の和久井さんの記事です。
「障害者が使えないというだけで訴訟になるなんて」と思いますか?
この種のニュースが日本で報じられると、ネット上では「原告はクレーマーだ」「自分に合った店を選べばいいじゃん」などのコメントが噴出することがあります。ですが、これらのコメントは障害者への無知と言うほかありません。
「そのサイトは実際に視覚障害当事者にとって使いにくいかどうか?」検証することが大切。
ビヨンセのサイトについては「確かに画像ばかりで読み上げ機能もなく、ひどいですね。ただメニューから入れば、必ずしもショップに行けないわけでもないので、訴訟対象かどうかは疑問も残ります」とユニバーサルデザインの専門家が述べています。
決して「何でもかんでも訴える国だから」起きている問題ではありません。
しかしこうしたことは、当事者でなければわからない問題だからこそ難しいのです。
以下に、ドミノピザのリンクを貼りますので、もし視覚障害当事者やユニバーサルデザインのわかる方がいれば、本当に使えないか、検証していただけたらと思います。
もし使えないという声が正しいとしたらどうでしょうか。障害者に使えるようにすることは、大きなコストだからと避けるべきことでしょうか。
しかし障害者に合ったサービスが少ないと、それを探し回ることで、あるいは誰かが当事者を援助する形で既存のサービスを使うことで、結局より多くの人手とコストが必要になってしまうのです。
日本でもこの問題にもっと関心が高まり、より多くの企業が障害者のアクセシビリティに協力的になることを望みます。