13年間仕事を与えられずうつ状態 パワハラと認定:神戸地裁 | 艶(あで)やかに派手やかに

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仕事与えないのは「パワハラ」と認定 兵庫教育大に賠償命令 神戸地裁

http://www.sankei.com/affairs/news/170810/afr1708100006-n1.html

 

兵庫教育大(兵庫県加東市)の元男性職員(51)が、長期間十分な仕事を与えられず精神的苦痛を受けたとして、運営する国立大学法人に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決公判が9日、神戸地裁で開かれ、倉地康弘裁判長は大学のパワハラ行為を認め50万円の支払いを命じた。 

(産経新聞のニュース記事)

 

この事件について、興味深い分析をしている方がいました。

http://www.mesoscopical.com/entry/2017/08/14/050000

 

問題行動をする職員に改善を求めたりそれが見られないならそれなりの対処をすることをせず、リスクを避けるために仕事らしい仕事を与えないことを13年間も続け、こじれにこじれてこういうことになってしまいました。

裁判長も、「男性への精神的打撃だけでなく、税金が入る大学が仕事をしない職員に給与を払うのは国民への背信」と述べています。 

 

数年前に話題になった追い出し部屋と似ています。

何らかの問題で不適格とされた社員を特定の部署に固め、やりがいを持ちにくい単純労働や、あるいは逆に過大なノルマのある業務を課し、自分の意思で辞めたくなるように持って行くことです。

「ショムニ」のような漫画であれば社内の掃き溜め部署に追いやられた社員達が会社の危機を救うというストーリーもありますが、現実にはありえないことです。

 

分析をされている方は、「仕事を与えない会社、そこで我慢する社員、どちらも悪い」と書いています。

不適格とされた社員を解雇する(ただし、手続きを踏んだ上で)、そして社員も不適格と判断されたら割り切って転職を進めるのが当然の外国企業ではありえない、日本的雇用の歪みを表す問題です。

 

パワハラ事件も、追い出し部屋の問題も、正規社員の解雇や転職がタブー視されることが背景にあります。社員も「ここしかない」と思い込み、ますます考える力をなくし会社に依存する、という悪循環になるのです。

しかし、環境が合わない(それもちょっと我慢して合わせられるというレベルではなく、いくら努力しても他の社員に比べてはるかに低いレベルの仕事しか与えられず、チャンスも与えられない)ところで上司や同僚から白眼視されながら我慢し続けることは仕方がないことなのでしょうか。そうなる前に、様々なチャレンジをし、こんな状態にならずに済むことはできたのではないでしょうか。

 

働き方改革は、「企業の生産性を上げる」と同時に「ビジネスパーソンの人生を豊かにする」ということも重視されています。

長時間労働の問題ばかり注目されますが、社内失業にある人々の問題も解決すべきことです。

もしも今所属しているところでそれが実現できないというのであれば、転職をタブー視しないことです。また組織に属さず、フリーランスで働く道もあります。

 

パワハラや追い出し部屋に追いやられるほど精神的苦痛を受けている人が、より活躍できる職場があるなら移りたいと思うのは、健全なことです。

でもそこで「隣の芝生は青く見えるだけじゃないか」「厳しい現実から目を背け、『青い鳥』『ここではないどこか』にあこがれているだけじゃないか」「つまらないと思えるようなことにもやりがいを見出せばいいじゃないか」という人もいます。

そう言う人は、1日7時間、仕事のできない変な人扱いされ、声をかけられるのは注意されるときだけ、何か行動を起こすと余計なことをするなと言われ、ただそこにいることしかできない、それが定年まで続く苦しみがわからないのです。

そのような苦しみを逃れ、普通に働ける場所があるなら探したいと願うことと、隣の芝生は青く見える心理や、厳しい現実から目を背け、「青い鳥」「ここではないどこか」に憧れる心理とは全く異なります。

 

ただし、今後の人生設計が大きく変わっていくことにもなりますから、周囲に相談したうえで進めましょう。 次のステージに移る場合には、そこで本当に活躍できるように、地道な自己研さんと周囲の協力を得ることを忘れないようにしましょう。