東田直樹さん | 艶(あで)やかに派手やかに

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東田直樹さんは1992年生まれ。養護学校と通信制高校で学んだ重度自閉症者でありながら、作家活動や講演活動を精力的に行っています。(写真は公式サイトより)

彼は話せませんが、訓練で筆談を身に付けました。PCや文字盤を使って、言葉で自分の意思を伝えることができます。

 

そんな彼が中学生の時に書いた作品です。

 


2013年には、英国の有名作家で自閉症児の父でもあるDavid Mitchell氏がこの本を英訳し、英国でベストセラーになっています。

むしろ日本よりも先に英米などで注目された経緯があります。

 

 

構成は58からなる質問と、それに対する東田さんの答えで成り立っています。

巻末には「側にいるから」という題の短編小説もあります。「大切な人に思いを伝えられないことがどんなにつらく悲しいことか」を伝えたくて書かれたという作品です。

 

全体的に易しい言葉で書かれており、とても理解の難しい障害についての説明なのに読みやすいです。

ページに挿入されているイラストも、見ていて和みます。

 

私よりはるかに重度の東田さんの特徴は、私とは重ならないところが多いですが、一部には私と重なるものもあります。

 

Q.ものすごくハイテンションになるのは嬉しい時ですか?

A.理由が見当たらないのにけらけら笑いだしたり、ひとりで大騒ぎしたりすることがあります。

そんな時僕たちは、頭の中で想像しているのです。想像していると言うより、色んな場面が突然頭の中にひらめくのです。

 

Q.空中に字を書くのはなぜですか?

A.僕の場合は、覚えたいことを確認するために書いているのです。

書きながら見た物を思い出します。

寂しい時、嬉しい時、人が歌を口ずさむように、僕たちは文字を思い出すのです。

 

Q.どうして言われてもすぐにやらないのですか?

やりたくないわけではないのです。気持ちの折り合いがつかないのです。

まず何をやるのか考える、次に自分がそれをどうやるのかイメージする、最後に自分で自分を励ます。この作業がうまくいかないときがあります。

体がどこか悪いわけではないのに、まるで魂以外は別の人間の体のように、自分の思い通りにはならないのです。

 

Q.いつも動いているのはなぜですか?

じっとしていると、本当に自分はこの体に閉じ込められていることを実感させられます。とにかくいつも動いていれば落ち着くのです。

動いてはいけない時があることは、僕にもわかるようになりました。動かないことができるためには、少しずつ練習するしかないのです。

 

Q.何が一番つらいですか?

僕たちが一番つらいのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。

自分がつらいのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです。

 

Q.自閉症の人は普通の人になりたいですか?

ずっと「僕も普通の人になりたい」そう願っていました。

でも、今ならもし自閉症が治る薬が開発されたとしても、僕はこのままの自分を選ぶかもしれません。

障害のあるなしにかかわらず人は努力しなければならないし、努力の結果幸せになれることがわかったからです。

自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。

 

東田さんは中学生の頃から現在に至るまで、何冊もの本を書いてきています。

 

 

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