とくに録画はしていなかったけど、「コントが始まる」は好きなドラマだった。
すこし前からこのドラマがTVerにあがっているのを知って、真っ先にもう一度見たいと思った場面がある。どこだっけと探したら、第三話だった。
里穂子(有村架純)がつむぎ(古川琴音)と一緒に暮らす部屋に、マクベスという売れない芸人の三人、すなわち春斗(菅田将暉)・潤平(仲野太賀)・瞬太(神木隆之介)の三人が来ていて、たこ焼きを食べながら飲んでいる場面。
そこからはじまる約7分間の場面を私はどうしても再度見たかった。
以下、記録として残すために書き記すことにする。
ちなみに、ほとんどが里穂子(有村)の独白なので、太字は里穂子の台詞、括弧内は他の人物の台詞とする。
(彼氏はいつからいないの?)
うーん、一年半ぐらい前ですかね。
(仕事辞めたのもそれぐらいだっけ?)
あっそうです・・・そのちょっと前に捨てられまして。
(捨てられたっていうのはすごく気になるねえ。あっ、でも言い たくなかったら全然いいから)
・・・お付き合いして半年ぐらいだったんですけど、結婚の話 も出てたんです。
(おぉ)
誠実な人だなって思ってたし、式場のこととか指輪のこととかも、一生懸命調べてたんですけど。
仕事を辞めるちょっと前に、その人とごはん食べてたら「俺、結婚するんだ」って言われて。
「うん、私もそのつもり」ってのんきに応えてたら、違う女性の名前が出てきて・・・。
もちろん、ずっと一緒にいたいって思ってたんで、一生懸命結婚のこととか調べてたんですけど、全部その女性と結婚するための下調べをやらされてただけだったんです。
(ひでぇな)
(でもほら、逆によかったじゃん)
(うん、逆にな)
(そんな、ろくでもないやつと一緒になんなくてホントよかったっす)
(何で敬語?)
(つむぎちゃんはその男に会ったことあんの?)
(母から結婚考えてる人はいるっていう話は聞いてたんですけど、まさかそういう話だったとは)
(いやまあね、そんなショックなことがあったらね、仕事どころじゃないっすね)
あぁ、いや、仕事辞めたのとは全然関係ないです。
(あ、そうなの?)
はい。まあもちろんその、自分の、人を見る目のなさに愕然として落ち込んだりとかはあったんですけど。
(そこは否定できないね)
(何でだよ)
(だって星の数ほどいる芸人の中から、俺たち選んじゃってんだよ)
(いや、見る目かなりあるっしょ)
(いやもう、お前らおとなしくしろ。今、中浜さんがしゃべるターンだから)
まあ、自分で言うのも変ですけど、言われたことは一生懸命やるタイプなんです。
・・・同じ部署の中で、取引先とトラブルが発生した案件があって。困ってるから助けてほしいって言われて。私のできる範囲内で協力しました。
そしたら、その取引先の苦情が、直接私にくるようになって。いつの間にかその問題の最前線に立たされてました。
みんな「お前にまかせた」「お前しかいない」「感謝してる」って口では言うんですけど、気がつけばそのトラブルの責任を私ひとりが背負わされている状況になってて。
(え?文句言わなかったの?だってもともと関係ないことでしょ?)
・・・うーん、私が投げ出した時点で苦しい立場に追い込まれる人たちが明確にわかってたんで、言えませんでしたね。
・・・でも一番きつかったのが、その責任を押し付けてきた人たちが、裏でトラブルの原因を全部私のせいにしてて。いつの間にか社内で、完全に孤立しちゃってて。
付き合ってた人のこともそうなんですけど、私が頑張るからダメなのか、頑張り方が間違ってるのか。もう何が何だかわかんなくなっちゃって。
で、ようやくトラブルがひと段落したタイミングで、辞表を出して、エレベーター降りて外に出て、立ち飲み屋で昼から浴びるようにお酒飲んで、酔いつぶれて、また公園で飲んで。
・・・夜中、家に帰る途中にパソコンもスマホも入ったカバンを川に投げ捨てて・・・。
そっから一か月間、家から一歩も出られませんでした。
もしつむぎが、家に来てくれてなかったら、今頃どうなってたんでしょうね。
まあ、今はようやくバイトができるまでに回復したんですけど。
正直、今でも頑張るのが怖くて。手を抜けるところは抜いてるんです。もう、頑張って傷つくのが怖くて。
・・・でも、寂しいんですよね。何かを・・・頑張ろうとする気持ちを抑える日がくるなんて思ってなかったし。頑張らなくていいほうを選択したこともなかったんで・・・。
こんなはずじゃなかったのになって・・・。
※ 以上です。
個人的には奇跡の7分間とさえ思っています。