畑正憲「ムツゴロウの青春記」 | 内垣新平のブログ

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 ムツゴロウこと畑正憲さんが亡くなった。

私は彼の動物番組をほとんど見ていないし、小説も知らない。

ただこの「ムツゴロウの青春記」は好きだった。読んだのは10代の終わり頃だったので、もはや手元に本は残っていないが、とても楽しく読んだ記憶だけは残っている。

 そんな中に、ひとつだけとても印象深く読んだ章がある。その章のタイトルはたしか「父の思い出」。ムツゴロウ氏の父の物語である。

 彼の父は苦学して満州で医者になり、一家で満州に住んでいた。敗戦になってどうにか日本に戻り、再び医者をやろうとしたら、満州での医師免許は本土では無効だと聞かされ、もういい年齢だったがまた基礎からやり直して医者になった。それは本当に「刻苦勉励」という古い言葉そのもののような、すごい話だった。最後は無事に国家試験の合格通知を受け取るのだけど、このあたりのムツゴロウ氏の文章もとても良かった。

 私はこの「父の思い出」の章を、一本の映画を見るくらい感動して読んだ記憶がある。

 

 

 ちなみに私は20歳前後、こうした青春記をけっこう好んで読んでいた。

畑正憲以外では、小松左京「やぶれかぶれ青春記」。

北杜夫「どくとるマンボウ青春記」。

あと、遠藤周作「わが青春に悔いあり」。

ほかにもあったかもしれないけど、忘れた。