『空想特撮シリーズ 「ウルトラマン」ディスカバリー 浪漫のものがたり』/②円谷映画祭2024 | アディクトリポート

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②円谷映画祭2024

 

この記事(『長篇アニメ映画 ザ☆ウルトラマン ウルトラの星へ!! 』①円谷映画祭2024)のつづき。

 

いただいたコメント

JOE

おお、吉川惣司氏はルパン対複製人間の時からその才能に注目しておりました(偉そうですが)。今まで知らなかったのですが、ファーストルパンのオリジナルスタッフでもあったんですね。常々複製人間はファーストっぽいと思っていたので納得です。
吉川惣司氏については、前にこの記事(なぜか今頃(8)『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(1978)・2018年03月24日)で、以下のように触れていた。
 

koi

アニメ映画第1作には、きわめて満足。

意外と、かなり、SFだったのも好感触。

びびろpん

 

SFといえば、

たしか1980年のこと、

月刊誌「OUT」(?「スターログ」?)で、

高千穂遙が、

「ガンダムはSFじゃない」

と発言。

 

大いに物議をかもした。

 

私なりに読み取るに、

どうやら

論理的整合性が取れていないから、

SFではない

と定義しているらしく、

一方で同氏は、

「スター・ウォーズはSFだ」と断言もしているから、

非科学的でも疑似/似非(えせ)科学的ならSF認定。

 

途中から後付けで話が変わっちゃ(マチルダ中尉登場あたりからのニュータイプ概念のこと)、

設計図とはまるで異なる仕上がりの建物みたいで、

建築基準法違反でしょ

——という主旨だったらしい。

 

とにかくその、ガンダム非SF論で、

「総じて日本のアニメ脚本家には、

SFマインドが欠けている。

センスがあるのは数えるほど」

といいながら、高千穂は実名をあげなかった。

 

その頃ずっと、

では誰なんだろうと考えていた。

 

「未来少年コナン」(1978)から、

吉川惣司(よしかわ そうじ、1947年2月22日 - )じゃないかと推測していた。

 

『ルパンVS複製人間』の脚本も、

監督の吉川惣司。

はんけん

 

『少年ケニヤ』

『荒野の少年』(『荒野の少年イサム』の原作)

等の絵物語作家、

山川惣治(やまかわ そうじ、1908年2月28日 - 1992年12月17日)と、

ずっとゴッチャになっていた。

 

それとこの時代で早くもクローンを題材にしていて、現代の認識とズレがない事もすごい先見の目をお持ちの脚本家だなと感じていました。

『VS複製人間』はクローン技術をテーマにしたSF作品であり、細胞分裂の限界(テロメア参照)などクローンに関する知見を盛り込む一方で、実際のクローン技術では達成不可能な「複製人間」を登場させている。

ももー

この作品が公開された1978年はイギリスで「試験管ベビー」と呼ばれる世界初の体外受精児が誕生している。

よこ

このためクローンはこの年の旬のテーマとなり、本作以外にもクローン人間をテーマとした小説『ブラジルから来た少年』の映画化、ノンフィクションという触れこみの『複製人間の誕生(In His Image:the Cloning of a Man)』の刊行があった。

もpもー

科学ライターの金子隆一は、コピーを重ねるとゲノムが劣化する問題を扱った作品は日本のメジャー作品では珍しいと評価している。

 

と、基本主旨が先述記事と同じことを8年前により克明に書いていた。

 

モウロクしたぜ!

 

氏はサンライズのガンダム以降を支えた功労者ではないかと思います。基本的に虫プロ出身者って特別な才能の持ち主が多い気がします。

これについては後日改めて。

 

ここでようやく話を戻して、

『空想特撮シリーズ 「ウルトラマン」ディスカバリー 浪漫のものがたり』

2024/10/4 イオンシネマ川口  スクリーン4 C列 6席


東宝配給

円谷プロのタイトルは「空想の力」

という布陣は、

上映期間:2023年12月1日(金)~12/14(木)  [2週間限定]
「円谷映画祭2023」 Part2にて上映された、

『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー 生命のものがたり』

使用作品

  • 『ウルトラ作戦第一号』
  • 『侵略者を撃て』
  • 『怪獣墓場』
  • 『さらばウルトラマン』

出演:石坂浩二(劇場支配人役) 浅沼みう(謎の少女役)

 
謎の少女(実はピグモン)役の浅沼みう

 

の第2弾で、「浪漫のものがたり」上映時間:102分
第3話「科特隊出撃せよ」ネロンガ
第19話「悪魔はふたたび」アボラス、バニラ
第26話「怪獣殿下 前篇」ゴモラ
第27話「怪獣殿下 後篇」ゴモラ

の4話構成というのも同じ。

 

石坂浩二の起用は、1966年の「ウルトラマン」でナレーターを務めたからだが、

私のうろ覚えの記憶だと、

彼は「ウルトラQ」のナレーターでこそあれ、「ウルトラマン」は浦野光(うらの ひかる)氏だったんじゃ?

 

まあ、浦野氏は6年前に他界された(1931年9月22日- 2018年5月2日)ため、石坂氏に頼るしかなかったんだろうぐらいに考えてたが、

ナレーター:石坂浩二(第1 - 19話)、浦野光(第20 - 39話)

ということでした。

 

「生命(いのち)のものがたり」未見のファンも多かろうと、

(たとえ鑑賞していても1年前なので記憶があいまい)

今年の円谷映画祭開催記念として、ツブイマ(TSUBURAYA IMAGINATION)で配信中。

 

それと今年の『空想特撮シリーズ 「ウルトラマン」ディスカバリー』からは、上映劇場の映写施設の都合から「4K」記述が抜けてるが、

※全上映回ともにブルーレイでの上映となります。

とのことで、画質的な差異は感じなかった。

 

以下に各話ごとの感想を述べてくが、

間もなく(10月11日)公開の『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

米本国での評価がすこぶる低調で、

鑑賞後の感想は異口同音に「なんでまたミュージカル仕立てなわけ?」らしい。

 

それと同じで、

「ウルトラマン」各話の感想となると、どうしても「それは他でも言ってるよ」になってしまうのはご容赦を。

 

第3話「科特隊出撃せよ」

  • ネロンガとウルトラマンの戦いは、「ウルトラマン前夜祭」でも挿入された、自分の見た初の「マン」本編特撮シーンだっただけに、今回58年ぶりに再見は実に感慨深かった。

↑ふくらはぎから下向きに伸びるV字型赤模様が、かかとギリギリまで食い込んでいる。現在のようにブーツ仕様ではとてもできない模様配置。

 

  • 科特隊に出入り自由なホシノ少年の行動が謎。アラシ隊員は出動時にスパイダーショットが手元にないことに気づかなかったのか??
  • ボタ山の向こう側からネロンガが放り投げる船舶(タンカー?)は、なんでそこにあったの?
ウルトラマンの赤色は本来は朱色だが、ネロンガ戦とその時の雑誌用特写で見られる色は真っ赤である。これは当時、まだ主流だったモノクロでの掲載を考慮してコントラストをハッキリさせるためのこの撮影時のみの処置で、後から拭き取れるように朱色の上からポスターカラーで赤く塗ったものだった。

↓スリムで華奢なウルトラマン(古谷敏)が、ネロンガの巨体を抱え上げるシーンでは、

↑Blu-rayの高画質映像だと、ネロンガの腹部に吊り下げ用のフックが確認できた。

 

第19話「悪魔はふたたび」

  • 出土したタイムカプセルは推定3億5千年の遺物らしい。3億5千万年じゃなく、ってところが各方面から長年にわたってツッコまれている。
  • タイムカプセルは表面にアンモナイトの化石が付着するがサビはなく、鉄製ではなくステンレス合金製らしい。
  • またカプセル内の金属板は反射光で古代文字が浮かび上がったりと、明らかに自然物ではなく文明の産物。
  • 恐竜時代より前の氷河期に、人類以外の何者がこれを製造し、バニラとアボラスを液化させて封入したのか?
カルー氷河時代
カルー氷河時代は、デボン紀の始まりに起きた陸上植物の進化により、長い期間にわたって地球上の酸素濃度が増加し、CO2濃度が減少した結果とされる。カルー氷河時代の名は南アフリカのカルー地方で見つかった氷河性漂礫土に因み、同地方でこの氷河時代の存在を示す証拠が初めてはっきりと同定された。石炭紀とペルム紀初期の間の3億6000万年前から2億6000万年前まで、ある程度の間隔を置きつつも極地の氷冠が南アフリカまで広がっていた。相互に関係する堆積物は、アルゼンチンから、また古代の超大陸ゴンドワナ大陸の中心にあったことがわかっている。
  • 福山博士は、どうやって3億5千年前の、人類以外が遺した古代文字を解読したのか?
  • 科特隊に同行した福山博士は、どさくさ紛れにスーパーガンを撃ってるが、民間人に武器を渡し怪獣に発砲させるなんてムチャクチャでは?
↓一応、こういう言いわけも!
↓「赤い怪獣」バニラは「紅(べに)ら」のもじり。そうとは知らず、バニラアイスが赤くないのが子供心に不思議だった。

↑「青い怪獣」アボラスは「青(あお)らす」のもじりかも。体色は青よりは青緑。

  • 第19話は円谷英二が撮影に参加しており、一部演出を円谷が担当したことから合成予算もあって、設定を無視してスペシウム光線を3連発で放っている。

 

第26話「怪獣殿下 前篇」

  • 8話「怪獣無法地帯」の多々良島に続き、ジョンスン島にも吸血植物スフランの触手が再登場。
  • 「ウルトラマン」の時代設定はエピソードごとに異なるが、第26話では昭和41(1967)年付の毎日新聞写真記事が登場。ゴモラは4年後の1970年の大阪万博の展示品に予定されていた。

2022/10/29

  • 冒頭のジョンスン島はともかく、後半は大阪が舞台となるのに、現地民は誰もが標準語で、関西弁が一切出てこない。
ガヴァドン回のムシバ役の川田勝明が怪獣殿下の学友役で再登場。
ギャンゴ回とメフィラス回のサトル君役の計4回登場。
  • 怪獣のことばかり考えている鈴木治少年/怪獣殿下は、その熱心さのあまり、とうてい民間人には知り得ないウルトラマンの秘密を知り尽くしており、まるでテレビ番組「ウルトラマン」の熱心な視聴者のようだ。
  • 彼の情報源は彼を取り巻く現実世界からでなく、テレビ番組や関連グッズ等の商材かららしく、そこらへんの線引きがあいまいである。
  • 中でも危機的状況で天に向かってウルトラマンを呼ぶ時、手に木の棒を握って高く掲げるポーズは、明らかにハヤタの変身ポーズを模しており、少年が知り得たことが不思議。
  • ロケ地は千里津雲台団地、NTT六甲天文通信館、国連本部ビル、大阪市北区中之島、大阪タワー、多摩川住宅

 

第27話「怪獣殿下 後篇」

↑マルサンソフビのゴローやゴメスが写っている。

 

 

 

↓ベーターカプセルを持ち帰った怪獣殿下の自宅には、マルサン製ブリキの歩行ウルトラマンが!

 

現在は壬生(みぶ)市のバンダイミュージアムに収蔵・展示されている。

  • 前回に続き、団地っ子の怪獣殿下は怪獣グッズに囲まれて生活している。
2024/10/04
 
となると27話(1967年1月15日放送)の時代設定は、1966年の冬となり、
ドラマ世界にもマルサン商店が存在し、ウルトラマン商品を発売していたことになる。
↓ペギラのお面と共に、
↓セブンのように六角目で、耳と顎下が赤いパチモンチックなセルロイド製ウルトラマンお面が登場。
高画質化で、顎下に©️円谷プロの版権刻印が確認できた。
 
つまり「怪獣殿下」の作品世界には、円谷プロとマルサン商店(+お面の製造メーカー)という、男児向けの怪獣ビジネスも併存しているわけである。
 
作品内世界と現実世界が混在しているカオスな状況に頭クラクラ。
少年はハヤタの名前まで知ってるが、それは「ウルトラマン」というテレビ番組を見てるからでしょ?
 
怪獣で金儲けをする企業を、命がけで市民を守っている科学特捜隊の隊員は、どう思っていたのか?
 
そんなビジネスのカモにされまくりの少年に、
機密情報ダダ漏れの流星バッジを渡すなんて、ハヤタは正気の沙汰ではない。
 
観客は自分を含めてたったの5人でした。
 
おしまい。