『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』IMAX-3D | アディクトリポート

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『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』IMAX-3D

2019/12/25 グランドシネマサンシャイン スクリーン12 M-15


 

 

『スカイウォーカーの夜明け』は、「てんでなってない」「全然ダメ」評がけっこうあるが、

私が2回見て気づいたことは、

  • 理路整然=理屈が通ることはそもそも期待できない。青い刃光のライトセーバーが、どうしてマズ・カナタの酒場の地下にあったのか。『最後のジェダイ』でカイロ・レンとレイが奪い合い空中分解したそのセーバーは、なぜ元通りに修理されてレイアが持っているのか。

  • スターキラーベースと共に散ったはずのカイロ・レンのマスク、ベイダーの焼け溶けたマスクなども都合良く復活しているがその経緯は説明されず、ただ話の都合上、そこにないと困るのでちゃっかり再登場している。
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  • 話を進めるための便利グッズ(=マクガフィン)がテキトーすぎる。皇帝の隠れ星エクサゴルに導くウェイファインダー(道標)は2つある。レイが所有していた1つはカイロが握りしめて壊してしまう。もう一つはレイが薪(たきぎ)で焼き尽くそうとしたカイロのタイ・ウィスパーから、燃え尽きずに取り出される。耐火素材でできてるはずの宇宙船が木で火をつけたくらいで燃えるのか?と勘ぐったら、ウェイファインダーを無事に取り出すためだったというご都合。
 

  • デス・スターの残骸までたどり着くための船(スキマー)も都合良く2隻あり、フィン(ジョン・ボイエガ)とジャンナ(ナオミ・ワッキー)はレイを追えるが、ゾーリ・ブリス(ケリー・ラッセル)がポー(オスカー・アイザック)に渡した、帝国艦船にフリーパスで着陸できるメダルと、シス文字が刻まれた短剣は一つしかない。
  • 地理的条件は相変わらずメチャクチャ。タイムリミットが示されるが、ジェダイ始祖の島(オク=トー/アクトゥ)やエグゼゴルは、そう短時間に行き着けるような便利な場所にはないはずでは?『フォースの覚醒』の時からそうだが、惑星ごとの景観の差が乏しく、どの星も同じに見える。砂漠惑星もジャクー、タトゥイーンに続き、パサーナまで出て来ると、もう少し工夫しろよと言いたくもなる。たとえば空は必ず青空というのから、意識改革をした方がいいんでは?

 

 

 

——と、ここまでを列挙すれば、

『スカイウォーカーの夜明け』は、およそ褒めるところなどない駄作にしか受け取られず、

「こんな作品のどこを評価し、どこを褒めるというのか?」

と勘ぐる方もおられるだろう。

 

そういう意見は理解はできるが、

そんな「様々に至らなかった」こと、きちんとやれたら、しっかりやっており、

やらなかったのはできなかったからに尽きる。

 

コリン・トレヴォロウが『エピソード9』の監督に決まっていた頃、

皇帝の復活は案になく、

ルーカスも「ヤツは完全にくたばった」と述べているし、

コミック『ダーク・エンパイア』ですでにクローン皇帝は復活しており、

ボバ・フェットを落下したカークーンの大穴から出て来させるように、

誰でも考えつく安直な策である。

 

なのにそうせざるを得なかったのは、

『最後のジェダイ』の独断専行を補修するためだった。

 

ライアン・ジョンソン監督が、あそこでラスボスのスノークを殺してしまったために、

彼に代わる強敵を出さねばならないが、

完全な新キャラをたった映画1本に新登場させても、

どれだけの強敵か観客には伝わりづらい。

 

皇帝パルパティーンではなく、

スノークのクローンを悪の主役とすれば、彼の出自も明らかになって良かっただろうが、

とにかく皇帝の復活と決めてしまった。

 

復活の理由説明には苦慮し、

  • 『エピソード6 ジェダイの帰還』でルークとベイダーが対峙した皇帝はクローンの影武者で、本作のホンモノの皇帝はことの成り行きを別の場所で監視していた。
——と言うリーク情報には、帝国支配体制が転覆する事態をみすみすと見逃していたって、どんだけバカ?と批判殺到。
このくだりは本編からカットされ、皇帝の復活が「なんで?」と疑問視されないように、目まぐるしい展開でごまかした。

 

「やっぱルーカスじゃないと」と言う意見には賛同できない。

彼の『エピソード7/8/9』原案は、

フォースやジェダイの始祖に関するプリ・プリクエル(前々史)で、

 

ベイダーの物語は「完結」しているため、

ディズニー体制のように、「さらにエピソード4/5/6の先」のつもりはなかった。

 

この時点で、

観客の見たいSWは期待できなかったので、

ルーカスはディズニーに見かぎられ、

JJエイブラムスが考える「観客はこういうSWがみたいだろう」がドラマの骨子にされた。

 

じゃあ、どういうSWなら観客に好意的に受け入れられるのか?

 

『フォースの覚醒』(2015)公開の際、

「毎度毎度、スカイウォーカー家の血筋だけが主人公はカンベン」

という頷ける意見があった。

 

ところが月刊ホビージャパン2016年2月号で、

ひょうし

「カイロ・レンとレイは兄妹」説が流布され、

情報源は販売戦略に作品のストーリーが必要な玩具会社だったらしい。

 

レイ役のデイジー・リドリーはイギリス人なので、

イギリス英語を話すオビ=ワン(ユアン・マクレガー/アレック・ギネス)や、

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皇帝パルパティーン(イアン・マクダーミド)の末裔じゃないかとウワサされたが、

この2人には跡継ぎがいるのか、

デイジー・リドリーはそこまで考えてイギリス英語をしゃべってるわけじゃなかろう。

と言う疑問がわいた。

 

やがて『ハン・ソロ』が公開されると、

レイの母はレイア(キャリー・フィッシャー)ではなく、

キーラ(エミリア・クラーク)で、

カイロ・レンとは、父親ハン・ソロだけ同じ異母兄妹ではないかとウワサされた。

 

そんなこんなで、「スカイウォーカー家にあらずばフォースも弱く、ジェダイにもなれない」

を覆(くつがえ)しながら、

しかもスカイウォーカーの家名を襲名したラストは、

きちんとシークエル(7/8/9)で果たすべきことをなしとげたので、

私は感動し、満足したわけよ。