「コンフィデンスマンJP」については、
これの続き。
第4話 映画マニア編
2018/4/30
1話「ゴッドファーザー編」は力作でアタリ。
2話「リゾート王編」は凡作でハズレ。
3話「美術商編」は力作でアタリ。
と、交互に波があったので、
その法則に従えば、
4話「映画マニア編」は凡作でハズレとなる。
果たして案の定(?)、
一部ではウケがいいみたいだけど、
私はさっぱりダメだった。
映画と映画マニアが題材なんだが、
その分析ぶりが何とも浅くてお粗末。
もちろん、ドラマが選んだ方便は理解する。
映画マニア(俵屋勤=佐野史郎)はしょせんはマニアで、
プロの映画屋ではないんで、
どこか方向性がズレている。
明らかに「キネマ旬報」をもじった、
「月刊キネマ新報」を愛読しているのも皮肉だし、
支離滅裂な素人の脚本でも、
ホンモノと信じてしまうのも、
いかにも底が浅い。
その脚本/企画書を、
役者の伊吹吾朗(本人)が、
最終的には「制作総指揮」の立場で来春公開予定などとぬかして、
自分の映画にしてしまうオチなんて、
俳優が映画脚本を見抜く目もあてにならないと示してるんだろう。
これはちょうど、3話で、
ダー子(長澤まさみ)が描いた
絵の価値がネットでグングン上がったように、
一般市民や映画観客は、
芸術の価値が見抜けないという皮肉なんだろう。
古沢良太が、
「そこまでやれとは言ってない」と評したらしい、
見た目は確かに派手な大合戦シーンだが、
どういう筋立てだと、こういう合戦シーンが出て来るのか、
まるでわからない。
「劇中劇の出来が最悪」という前例だと、
ウディ・アレンの
『さよなら、さよならハリウッド』(2002)
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『キング・コング』(2005)
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——等が思い浮かぶが、
その「ろくでもない駄作」の具体的な内容がきちんと描かれたのは、
覚えているかぎり、
『プロデューサーズ』(2005)
くらいのものである。
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3話の絵画の扱いも、
4話の映画の扱いも、
本職はもっと真剣にやってると思うんだけど。
まあ、おおむねその仕事の神髄をわからず取り組んでいる人は多いよね。
脚本家の脚本はすべて正解、
映画監督の演出はすべて正解
を前提にやるしかないが、
ホントに正解かは保証がないという件で、
忘れないうちに。
『レディ・プレイヤー1』の主旨は、
「新世紀エヴァンゲリオン」
を見たファンが、
庵野カントクの隠しメッセージとして捉えた
「引きこもらずに外に出て、広く実社会を知るべし」
にも通ずるが、
あんなのはファンが勝手に忖度(そんたく)しただけで、
庵野カントクがほんとに思っていたはずがない。
もしも思っていたら、
『レディ・プレイヤー1』のように、きちんと劇中で伝えるはずである。
——と書いたら、
アニメージュのインタビューのネット転載を見つけてくれて、
そこにこうあった。
庵野秀明:
第5話 スーパードクター編
2018/5/7
1話→アタリ
2話→ハズレ
3話→アタリ
4話→ハズレ
の法則だと、この第5話はアタリ。
ほんとにアタリだった。
詐欺師の話だけど、
だましだまされるのは劇中の人物ではなく、
実は視聴者という番組の構造=しかけにまんまとひっかかる。
第6話 古代遺跡編
2018/5/14
交互にアタリとハズレを繰り返す法則だと、
今回はハズレだが、
私的にはアタリだった。
内村光良は演技がうまい。
当初は、ダー子、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)を補佐する部下役は、
チョビ髭(瀧川英次)だったが、
第1話・第2話だけで姿を消し、
2話からは五十嵐(小手伸也=こて しんや)という部下が出続けている。
小手はこのドラマの次回予告や番組告知などのナレーションも担当している。
6話の秀逸さは、
考古学への見立てが
「学問ではなく、取り憑かれるもの」で、
「専門学者よりも在野=アマチュアが多い」
ところが、的を射ていること。
遺跡マニアと少し違うが、
化石マニアのことを思い出した。
私が講師として最初に赴任した中学校には、
生徒を叱る「バカヤロー」が「パロー」に聞こえるので、
パロー先生と呼ばれる理科の先生がいて、
ある日、
それは立派なアンモナイトの化石を採取してきた。
アンモナイトの化石で画像検索すると、
ヤギの角のように、
パロー先生が採取した物は、もっと表面がスベスベで、
宝石化したアンモライトというものだったらしい。
貴重な標本なので、
どこかにもらわれていくことになったらしく、
石こうで型取りし、同じ石膏製で白色のレプリカを複製。
着彩はホンモノをとなりにおいて、
見比べながら私が担当。
アクリル絵の具で各部を塗り、
仕上げに木工ボンドを水で薄めたものをコーティングして、
ビニール皮膜っぽく光沢を出した。
パロー先生によれば、
ここまでの逸品の採取は、
うんと早起きしなければできないとのこと。
???????
最初期のアンモナイトは、シルル紀のもので、
約4億4370万年前から約4億1600万年前のこと。
最も新しい白亜紀末は、6600万年前。
6600万年も手つかずだったのに、
たかだか1日の早起きで採れたり採れなかったりするのか。
パロー先生によれば、
化石採りには勤め人(在野)のマニアが、
休日に押しかけるので、
採掘できる場所取りの競争が激しいんだとか。
そうまでして、
という情熱、熱気がなければゲットできない化石。
子供の頃に、
学研の「科学」「学習」のマンガで読んだ、
ギデオン・マンテル伝記によれば、
イグアノドンの化石発見と命名で有名な彼も、
化石にいれこむあまり、
身を持ち崩した。
と言うことを知っているだけに、
「考古学は取り憑かれるもの」
とは、よくぞ言った、
よくぞ見抜いた、
これなら考古学ファンが番組を見てもガッカリしないんでは、
と感心したのであった。
※明日もブログは更新します。