『ブラックパンサー』IMAX 3D
ユナイテッドシネマ浦和 2018/3/7 スクリーン４ H-16
2015年末〜2016年初頭の撮影画像
2007年10月 開業
2010年10月 IMAXデジタルシアター 導入
通常館（左）からIMAX館（右）への改装までは、としまえんと同じだったのに、
なぜ浦和には、4DXは導入されないのか。
答は…わからない。
さいたま（大宮／浦和）、川口地区はシネコン激戦区だが、
（2018年３月現在）
ところで草加市民の私は、
なぜ日頃、IMAXは
わざわざTOHOシネマズ新宿か、
109シネマズ木場
で観ると決めているのか。
浦和は通常スクリーンからのIMAX改修のため、
前寄りの席だと、
さらに前方の席が、スクリーン下辺の視界をかすかに遮る。
音の迫力もイマイチで、人間の声が金属的に乾いているのも気になる。
ではなぜ、『ブラックパンサー』を浦和で見たかと言えば、
交通費節約のためで、
ひさしぶりに草加から自転車で行ったから。
前日の夜に、
かれこれ40年前に、
高校の美術の先生、
鈴木堅司先生のお宅（旧浦和市原山）に、
一度だけうかがった時の夢を見た。
映画館に向かう道中、
適当に自転車を乗り回していたら、
まさにズバリの原山通りを通過した。
鈴木先生は、私が社会人時代、
海外旅行中に亡くなられた。
母は、私がどれだけ先生にお世話になったか承知していたので、
卒業後も連絡を取っていたが、
私は千葉県民になってから、
すっかり疎遠で終わってしまった。
上野都美術館の展覧会（示現会）への招待状は毎年届き、
鈴木先生としては、
最後の弟子に考えておられたようだが、
私は鈴木先生のように、
絵を描き続けて生計を立てることができず、
英語で教職をしのいだことも、
なんとなく失礼で、後ろめたさがあった。
たしか南浦和駅でぱったり会って、
大宮行きの京浜東北線で見送られたのが、最後だった。
とにかく、当日の3/7は、
いかに前日に夢を見たとて、
もう何年も経っているので、
突然に恩師宅をうかがうような失礼はせず、
この近辺と思われるあたりで、
鈴木先生に、心の中で手を合わせた。
……。
どこが『ブラックパンサー』のハナシやねん？
いやいや、後でつながりますんで。
さて、ようやく映画の感想を。
自転車で気温８度の寒空を、
太ももをパンパンにしてたどりついたこともあり、
実はすっかり疲れ果て、鑑賞中も何回かウトウト。
しかしけっして映画がタイクツだったわけではなく、
アクビは全く出ずに、
最後まで興味関心が持続した。
主人公のヒーロー、
ブラックパンサーは、
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が初登場。
その印象は強烈だった。
チーム キャプテン・アメリカ（ソコヴィア協定への著名反対派）
チーム アイアンマン（ソコヴィア協定への署名賛成派）
これまでに例のない、
なにしろ異色な存在。
『シビル・ウォー』ではゲスト出演扱いだったが、
『ブラックパンサー』では彼こそが単独主役。
そして今回は、
これまでに観た、
どんな映画とも違っていた。
まずは主要キャストがほとんどアフリカ系、いわゆる黒人。
衣装、セット、色彩設計、音楽、ダンス、格闘の振り付け
——等の映画のすべての要素が、
ことごとくアフリカ風。
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だけど、どれだけ「ホントにアフリカ」してるのか？
アメリカは多民族国家なのに、
他国の言語や文化の再現度は、
かなりいいかげん。
『バイオハザード』（何作目か忘れた。たぶんバイオハザードII アポカリプス・2004）の
地下鉄渋谷駅の地上入口とか、
『コンタクト』（1997）の日本船の船内とか、北海道基地の人員とか、
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『インデペンデンス・デイ』（1996）の、非常口表示のある自衛隊基地とか、
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『新・猿の惑星』（1971）のニュース報道とそれを見る日本の家族とか、
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とにかく日本の描写はいいかげんだが、
他の国だって、けっこうテキトーだった。
『ダイ・ハード』（1988）のテロリストはドイツ人だが、
「窓ガラスを撃て」のドイツ語は、
「シート・ダス・フェンスタ」だった。
ところがドイツ人に訊くとこれは間違いで、
「アウフ」がどこかに入るんだとか。（※うろ覚えです）
なので、『ブラックパンサー』のアフリカ文化も、
ホンモノのアフリカ人が見ると、
「違うんだよなあ」
かも知れない。
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アフリカ系に精通と言えば、
他の映画の研究と反映にも余念がない。
片膝をつく、アフリカ流の最敬礼が出て来るが、
これを見て、久しぶりに、
『ジム・キャリーのエースにおまかせ！』（1995）を思い出した。
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アフリカにむかったエース（ジム・キャリー）は、
現地人と居合わせて、
どうやら、聖なる動物、
シカカ（大型シロコウモリ）の名が出たら、
敬意を示して、このポーズを取らないといけないらしい。
これを知ったエースは、
シカカをむやみに連発。
まんまと「シカ…」までで片膝をついてくれると、
最後だけ「（シカ）ゴ」と引っかけて、
相手はあわてて元の起立の姿勢に戻る。
こんなテレビのコント番組のノリを、
映画でやることにぶっ飛んだ。
『エースにおまかせ！』は、
ジム・キャリー主演映画で、
一番面白かった（くだらない）作品です。
１作目の『エース・ベンチュラ』（1994）は、
２作目を観た後でビデオ視聴したが、
くだらなさでは遠く及ばなかった。
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『ブラックパンサー』の他作品への気配りといえば、
『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』の、２作のSWも含まれる。
主人公ティ・チャラの幼なじみで元恋人、ナキアを演じたのは、
ルピタ・ニョンゴ。
目がケツ穴のオレンジヨーダこと、
マズ・カナタ役だった。
ズリ役のフォレスト・ウィテカーは、
『ローグ・ワン』のソウ・ゲレラだった。
黒人中心のキャスティングなら、
こうした有名どころが自然とそろうもの、
と考えた、そこのあなた！
だったら、ユリシーズ・クロウ / クロウ役の、アンディ・サーキスはどうですか？
めちゃくちゃクセの強い役でビックリ。
初出は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』だったそうですが、
そちらはまだ未見。
とにかくアンディ・サーキスと言えば、
スノークですよ。
つまり、せっかくSWに出られると喜んだら、
CGキャラ（スノークとマズ・カナタ）だったり、
よく存在意義のわからないキャラ（ソウ・ゲレラ）だったりでガッカリだった俳優たちが、
堂々と素顔をさらして、
生身の演技で勝負している。
さて、『ブラックパンサー』の本筋に話を戻すと、
世襲の国王である主人公ティ・チャラ（チャドウィック・ボーズマン）は公明正大で、
敵対するキルモンガー（マイケル・B・ジョーダン）は、
虐（しいた）げられた身からの成り上がりなのに、
他者の痛みを分かち合わない、
慈愛なき残忍な性格っていうのが、
イマイチご都合主義に感じ、
「ふつうは逆（国王が傲慢、庶民は善良）だろ」って気はした。
そこで主人公が正当化されるのが、
人生の艱難（かんなん）を乗り越えた、
苦労の軌跡が、あるかないか。
ここでようやく冒頭に戻るが、
私が美術教員を辞めたのも、
英語教員を辞めたのも、
もっと他に、自分のためでなく、より多くの人のためにできることがあるのでは、
という考えから。
もちろん、実現は容易ではなく、
その道はけわしいばかり。
『十戒』（1956）のモーゼの試練のごとく、
「いっそ死ねたらその方が楽」
という状況にまで追い込まれた。
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たかだか交通費節約のために、
50代の半ばを越えて、
草加から浦和まで自転車こぐかね、しかし。
あのまま、
浦和で中学校の美術教師を続けていたら、
あるいは、
千葉で高校の英語教師を続けていたら、
こんな苦労はしなかったろうに。
とはいえ、前途が多難だからといって、
後戻りもしなければ、
決めた進路の断念もなかった。
『ブラックパンサー』の主人公には、
国王としての彼の道が多難で、
一筋縄ではいかずとも、決して途中で投げ出さず、
まさに死ぬ間際まで追いつめられても、
父とは違う建設的な道を選び取ったことで、
指導者の資質が示されており、
キルモンガーにはこの資質が欠けている。
この映画制作中は、
トランプ就任直後だったため、
「正義は国の間に橋を架け、
悪は壁を築く」
と象徴してるが、
残忍非情な独裁者の恐ろしさは、
まさに今の日本を見通していて（キルモンガー／世襲悪＝アベネツゾー）、
普遍の真理を突いており秀逸だった。
映画を見たのは3/7でも、
このブログ記事3/14は１週後で、
朝日新聞が森友文書の「書き換え」を報じ（3/2）、
それが「改竄」と明らかになってから（3/8）の公開も、
何かの導きだろう。
ユナイテッド浦和のIMAX 3Dについて言っておくと、
チケット購入時に、３Ｄメガネの有無をきかれず、
その割には料金が高くなかった。
理由は、全員貸し出し用の、頑丈な作りの３Ｄメガネを使用しており、
鑑賞後に必ず返却だから。
今回は字幕版での鑑賞だったが、
「エムバク」表示のキャラ（M'Baku）は、「ムバク」もしくは「ンバク」の方が適切では？
主役のチャド・ボーズマンは、わざと時々、
カタカナ英語のようにたどたどしく発音していた。
星野悲鳴氏から、『ブラックパンサー』吹替版には、アイドルが一人参加という情報が。
主人公の妹で、天才科学者のシュリ（レティーシャ・ライト）役を、
百田夏菜子が演じているらしい。
映画鑑賞中に気づいたが、
岡田結実（おかだ・ゆい）の方が適役だったんでは？
「全世界の人間は、違っていることよりも、
同じこと、通じることの方が多いのです」
——劇中のセリフ