IMAX 3D『最後のジェダイ スター・ウォーズ』ネタバレビュー | アディクトリポート

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『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』IMAX 3D

109シネマズ木場 2017/12/31 シアター2 I-17

 

スター・ウォーズとIMAXと言えば、

Special Effects(1996)

スペフェ

スペシャル・エフェクト』(日本公開1999/7/19)

 

↓1作目の『スター・ウォーズ』(1977)版スター・デストロイヤーモデルは、

1作目

たったの90センチしかなく、

↓そのまま冒頭のシーンに使われた。

合体4

↑IMAX『スペシャル・エフェクト』では、

『帝国の逆襲』以降の2.6メートルモデルで撮り直した。

2作目

↓『スター・ウォーズ』(エピソード4 新たなる希望)

合体

↑IMAX作品『スペシャル・エフェクト』

 

現在は作品歴から抹消されているらしき、

『エピソード2』IMAX版(2002・日本未公開

の7年後、

『トランスフォーマー/リベンジ』(2009/6/19公開)
とらんす

からは、

日本にもIMAX(デジタルMPX版=シネコン仕様)が復活し、
ぬぬ
めでたく、

IMAX版スター・ウォーズを鑑賞可能な環境が整い、

『フォースの覚醒』(2015)は、
みにぽ

109シネマズ木場で、

『ローグ・ワン』(2016)は

成田HUMAXで、

どちらも3Dで観た。

 

なので、IMAX版『最後のジェダイ』も当然?

3D鑑賞のつもりだったが、

12/15の公開当初は、

2D上映のみだった。

 

大晦日に東京に買い物に出かけ、

映画のスケジュールをチェックしたら、

『最後のジェダイ』のIMAX上映が、

3Dになっとるやないか〜い!

 

木場で観たのはたまたまで、

『最後のジェダイ』はIMAXでも画面比率が通常ワイド版と同じで、ずっと上下に黒帯があるシネスコ版

だから、

それなら品川で見るのがベストでしょう。

 

いつから3Dなのか劇場で訊いたら、

前日の12/30(土)からだとか。

 

この機を逃すまいと、しっかり鑑賞。

 

これが意外と良かった!

 

まずは、ちっともタイクツせず、

眠くもならずに、アクビも出ない。

 

もっと後回しだと思っていたシーンが、

意外と早く登場したりと、

間延びもしていない手堅い構成。

 

世間は『最後のジェダイ』の公開たちまち、

観客の反発がどっと押し寄せ、

評価はくっきり二分。

 

賛否両論の「否」が増えつつあるが、

いやいや、かなりの力作でしたよ。

 

もちろん欠点もあるにはあるが、

叩く意見は、

まさに叩くことを前提に、

むりやり『最後のジェダイ』の不備をあげつらっている。

 

それと同時に、

同じ叩く意見にしても、

『フォースの覚醒』を高評価で、

『ローグ・ワン』を低評価の場合は、

そもそも観点が異なりすぎるので、

私と意見の一致を見ることはあり得ない。

 

↓この動画の感想が、自分には近いようです。

 

とにかく『最後のジェダイ』を2回観て、

1回だけではよくわからなかったり、

見過ごしていた場面を確かめると、

これはなるほど、大した作品なんだと気がつき、

それは見終わって日にちが経っても、

遅効性の薬のように、ジワジワと沁みるように効いてくる。

 

以下は完全ネタバレ、

読むのに労力もかかるため、

薄い感想がお好みの方は、

SKE48須田亜香里さんの、

 

数秒で読み終わる、この記事

をお読み下さい。

 

このTシャツの情報はこちら

 

『1』=『ファントム・メナス』(1999)

『2』=『クローンの攻撃』(2002)

『3』=『シスの復讐』(2005)

『4』=『新たなる希望』(1977)

『5』=『帝国の逆襲』(1980)

『6』=『ジェダイの帰還』(1983)

『7』=『フォースの覚醒』(2015)

『ロ』=『ローグ・ワン』(2016)

『8』=『最後のジェダイ』(2017)

 

1.『フォースの覚醒』の再定義

 

ポー・ダメロン

『7』

レイア将軍の信頼が厚いらしいが、2人の絆は描かれない。

『8』

脇役感がハンパなかった、半眼で冴えないポーを戦闘の中心に据え、

ようやくレイアとの関係が描かれる。

 

レイ

『7』

戦艦の残骸部品をアンカー・プラットに売って生活を維持し、

親が自分を迎えに来るのを待っている。

 

予告編では「おまえは誰だ?」の問いかけに、

「取るに足らぬもの=no one」と答えている。

 

『8』

カイロ・レンから、

レイの両親は「ガラクタあさりの無名の“ただの人=nothing”で、

飲み代として娘を取り残した」と言い当てられる。


娘を渡された廃品業者の元締めアンカー・プラットは、

レイに居場所と仕事を与え、親はそのうち戻って来るとウソをついた。
metto

↑Xウイングパイロットの人形やヘルメットは、“ひっかけ”だった。

 

しっかり辻褄が合っている。

 

『8』
レイはルークに、

「自分の中で何か(フォース)が目覚めたが、どう対処するか途方に暮れている」
と、『7』の大筋を伝えている。

 

カイロ・レン

『7』

ヘルメットに何の意味があるのか。

tenntenn

頻繁に被ったり外したりをくり返す。

 

『8』

スノークに失策をなじられ、

マスクはベイダーかぶれと揶揄されて激昂。

エレベーターの金属の壁面に、メットを何度も叩きつけて破壊。

以後は素顔をさらし続ける。

 

『8』は『7』のカイロ・レンの仮面の意味を問い詰めている。

 

ダルマ型ドロイドBB-8

『7』

外形に可動機構が見あたらず、

でやねん

どうやって走行しているのか謎なのも、
何となく好きになれない理由の一つ。

※あくまでも個人の感想です。

 

初期コンセプトでは可動機構が明確だった。

 

『8』

爆発のあおりで頭部が外れるが、

すぐに元通りにされ、頭部がボディに機構的に接続されず、

マグネット固定だと示される。

 

2.『ジェダイの帰還』の再定義

 

『6』

ルークは臨終間際のヨーダから、

$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-xz
●ジェダイになるためには、父ベイダーとの戦いは不可避

●ヨーダ亡き後、最後のジェダイとして技の伝承を
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-da

等々の難題をいきなり強いられて途方に暮れる。

はたして前人未踏の全ての使命を完遂できるのか…。

 

『8』

重責に負け、父の善への回帰以外は、

じゅきゅう

●レイアへと、

●弟子への

フォース伝授にしくじったルーク。

 

新星レイの修行をしぶしぶ始めて間もなく、

ベン・ソロがカイロ・レンに転じた原因は自分にあったことを見透かされ、

彼女の修行にも…

またしくじった。

 

レイを送り返したところで、

ヨーダが登場。

クレヨン描きのぬりえみたいなヨーダにガッカリ…。

CGかパペットかじゃなくて、造形の質が問題だ。

 

死んで何十年も経ったヨーダとの再会で、

ルーク自身も死期が迫っていることを悟り

「失敗こそ最高の師」との助言で、

失敗続きの自らの人生を肯定的に捉える。

 

最期ぐらいは、せめて意義ある死に方をしなければ!

自分のためでなく、誰かのためになることを。

 

そこで甥のカイロ・レンの前に、

ヤツの憎悪が最高潮に達する、

寝込みを襲った当時の姿(黒い短髪と黒髭)で現れる。

だったらライトセーバーの光刃もグリーンだろうって気もするが、

観客に幻影だと示すため、

わざと青刃のセーバーを握っている。

 

ちなみにルークがレイアに渡したソロの遺品、

黄金のダイスは、

カイロ・レンが基地内を探った時に消えたので、

投影像であり、実体はなかった。

 

『8』

爆撃機の重力問題が取り沙汰されるが、

SW宇宙は爆発で煙も炎も発生、

レーザー光線も視認でき、

エンジンが轟音を上げ、

磁力を重力代わりに使い、

サイコロはファルコンのコクピットからブラさがっている。

ゼロ・グラビティ』(2013)や
zaza

ライフ』(2017)のような、

CGを駆使した無重力表現が使えない時代からのSW宇宙を、

『8』は受け継いだだけのこと。

 

『6』

ヨーダが死んで自信喪失、

途方に暮れるルークの前にベン・ケノービの霊体が現れ、

具体的な長話が延々と続くため、

霊体のくせに座り込む

 

『8』

カイロ・レンとレイは、

意思の疎通が図れないと話を先に進められないため、

フォースをテレビ電話代わりに、

距離を隔てたままで、

かなりのやりとりをかわし、

互いの過去の因縁を知るようになる。

 

2人はこうして、

双方の最大の理解者に成長していき、

対話には断絶がほとんどなくなる。

 

『6』

極悪人に堕したダース・ベイダーを、

真人間に改心させたのは、

息子ルークの父への愛情だった。

 

『7』

レイがほのかに父性を感じたハン・ソロを、
yoio

非情に殺(あや)めた憎き敵のカイロ・レン。

 

『8』

しかしカイロ・レンの暗黒面への転向には、

彼なりのやむを得ぬ事情があったとわかる。

 

レイが「ただの人」の娘で、

スカイウォーカー家の血筋であるカイロ・レンと血縁がないのが大切。

2人をつなぐのは、

赤の他人なのに生じる、男女の愛情だけ。

 

『9』

カイロ・レンがベン・ソロに戻るのには、

レイの情けが必要なんじゃ?

 

『8』

というわけで、フィンのレイへの想いはどうせかなわないので、

かわりにお似合いの相手ローズ・ティコ(タイコ?)があてがわれ、

ほのかに『9』が先読みできる。

 

フィンとローズ2人のアサッテな方向への旅は、

ラストを“さらに名もなき”ホウキ少年につなぐためと、

宇宙戦争が再発したのは、

戦争で稼ぐ一味がいるからだったり、

『7』では出番がショボ過ぎた、

キャプテン・ファズマとフィンの決着をつけさせる等々、

「ついでに片付けちゃおう」な要素がてんこ盛り。

 

そろそろまとめに入れば、

『7』が過去作と同じことのくり返しで評判を落としたので、

今後は同じ展開を繰り返せないように仕向けるのが『8』だった。

 

ところがこれが、

既存作の否定や冒涜(侮辱)と受け取られ、

ファンやマニアから「SWをわかっちゃいない」と拒否反応を示された。

 

「わかっちゃいない」のは、

ファンやマニアの方じゃないかって気もするが。

 

「話が変わっとるやないかーい!」

という声には、

「いやいや、一貫性がなく、話が途中から変わってるのが、そもそもSWなんで」

と反論したい。

 

『4』がウケたのは、

ド田舎惑星でどん詰まりの生活を送っていた凡人が、

あれよあれよと表舞台にのし上がり、

およそ凡人にはなしえない偉業を達成するところ。

どんな凡人の人生にもチャンスがある。

 

ところが2作目の『5』で、さっそくドラマが変質。

●ベイダーがルークの父で、

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●レイアがルークの双子の妹

——という設定は、

この作品からの“でっちあげ発案”だった。

 

『6』でさらにドラマは変質。

緑の月エンドア軌道上では、帝国軍対反乱軍の大宇宙戦。

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ち

エンドア地上では、イウォークのゲリラ戦が展開。

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なのに、第2デス・スターの謁見室では、

ルークがシスの跡目を継ぐかが話題の中心で、

皇帝とルークのライトセーバーの位置関係から、

ライアン・ジョンソンは、

「もしもこの位置でセーバーをフォースで操ったら」との妄想を、

『8』のスノークで実現してしまう。

削除シーン以外では、活躍のないレッドガード(赤衛兵)の反省から、

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『8』のプレトリアン・ガードには、

派手な見せ場がある。

 

『6』で銀河の運命を決めたのは、

戦闘メカの戦力ではなく、

父子のチャンバラだった。

……。

 

話がズレまくっている。

 

これで「つきあいきれない」と、

SWを見かぎった人もいたほどである。

 

だから『8』でルークも、

「光る剣(=レーザーソード)を振り回しても、

事態は解決しない」

と冷静にふり返っている。

 

そういや『8』のルークは、

銀河皇帝を

「エンペラー・パルパティーン」

ではなく、

「ダース・シディアス」と呼んでおり、

帝国政府樹立以前の、

『1』〜『3』の歴史も研究し、

ダース(Darth)が、シスの暗黒卿(Dark Lord of the Sith)の略称

だとも突き止めている。

 

ついでに言うと、仲間の寝込みを襲うという手口も、

ダース・シディアスがダース・プレイガスにやった仕打ちをまねたのかも。

 

「SWに愛想を尽かせた人たち」に話を戻すと、

『6』でいったんシリーズ中断したから、

『1』からの16年ぶりの再開で、

また戻って来たかも知れない。

 

すると再開の『1』で、ミディクロリアンの設定が登場し、

フォースの強さは生まれついての血筋とされてしまい、

凡人がのしあがるチャンスが否定されたことに、

旧来ファンからの猛反発がわき起こった。

 

その反面、

ルークとベイダーが父子なだけでもカンベンなのに、

皇帝パルパティーンもベイダーの父だと信じる人まで出てきて、

もうめちゃくちゃ。

 

辻褄合わせもうまくいかず、

『6』で、ケノービは60〜65歳、アナキンは55〜60歳
(忘れた…)と5才の歳の差で、

オーウェン・ラーズは、ケノービの弟と言う設定だったが、

プリークエル(『1』『2』『3』)で変更。

 

『6』のレイアの母の話

(レイアの幼少期に亡くなり、美人で哀しげだった記憶しかない)

も辻褄が合わない。

 

それが今回の『8』で、

ライアン・ジョンソンが軌道修正して本来の方向性、

すなわち、

「フォースの強さは誰にでも宿る」に戻せばたちまち、

今度は『1』以降の新規マニアが、

ミディクロリアン説を抗議の盾に持ち出して、

「元の木阿弥」修正に動くと、

「どうせいっちゅーねん?

変えなきゃダメなのに、変えれば文句?」

と、ライアン・ジョンソン監督も当惑しているのではないか。

 

「同じにやらずに、変わった新しいやり方に文句」

と言えば音楽もそうで、

『7』では生彩を欠いたジョン・ウィリアムズが、

『8』でオペラよろしく最初から最後まで、ほぼ全編で鳴らしまくると、

「『7』の音楽は抑制が効いていたのに、『8』は無節操にダラ流し」

と言われてしまう。

 

このように、

SW過去作の客観的な分析には優れたジョンソンも、

なぜか自作の分析には手こずったらしい。

 

なにより、

1回見ただけでわかるように作らなかったのが問題。

 

『8』感想の中には「よくわからん(I don't get it.)」も多く、

これが作品への反発や拒絶反応につながった。

 

2回見ない人の評価は、当然ダメなままで変わらない。

 

『8』のダメなところと言えば、

ゴリラウォーカーの爆射で

真っ赤に染まった大地で戦うルークとカイロ・レン。

 

ルークが幻影と示すために足下がアップになると、

なぜか白い塩の地表に逆戻りしている。

 

『7』のピンチ切り抜けは「紐=ヒモ」で安直だったが、
itukara

『8』では、

ドア・壁突破

が、

①レイ(カイロ・レンにブラスターを撃つ)

②チューバッカ(扉を閉ざすルークに接触)

③レイア(ポーとホルドの対立を解く)

④BB−8(AT−STからの援護射撃)

⑤カジノを馬で突破

——の、ざっと5回、

蹴飛ばし

が、

①ペイジがコントローラーを落とす

②ホルドがガス(消火剤?)吹きつけで状況打破

——の2回と、

やはり安直で、感心できなかった。

 

そのほか、

◎ファルコンの脱出ポッドの搭載/射出位置がついに判明したり、

◎ルークの島(アクトー)の太陽は一つ。ワンカットだけ2つになるのは、ルークの心象風景

●ジェダイの古書をレイが持ち出したのを見のがしたり

——と、

人によって、『8』全編理解に必要な鑑賞回数はさまざまなので、

どなた様も最低2回は見ることをオススメします。