この回(スゴイ人に会った!/ふぞろいの怪獣たち41【総索引】 )で予告した、
ふぞろいの怪獣たち
強化計画の第一弾です。
タイトル「セブンとタロウ」に、「2017」を足したのは、
以前に同じタイトルで記事を書いたのと区別するためです。
(2013/6/21)
「その後のセブンとタロウ」という記事もありました。
(2010/7/12)
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セブンとタロウ2017
寄稿:特殊美術工房BD7 SAITOU
キャプション(画像の補足説明・青字表示)文責:アディクト
セブンとタロウはソックリさんです(笑)。
それについて考えてみましょう。
実際の製作事情の話
昭和46(1971)年に「帰ってきたウルトラマン」が放映され、
各放送局にウルトラセブンも帰って来る企画を提出します。
「戦え!ウルトラセブン」と題された企画書は、
地球に再来したウルトラセブンの活躍を描く内容でした。
紆余曲折の末、
新企画はフジテレビの「ミラーマン」(1971/12/5〜1972/11/26)として結実しますが、
放送局が異なれど、放送時期が重なるために、
学年誌の宣伝で共演?した円谷2大ヒーロー。
セブンの再びの活躍を望む声は多かったようです。
昭和47(1972)年の暮れに、ウルトラマンA(エース)の次も、
新しいウルトラマン(=ウルトラマン○○)の続投が決まると、
その姿は依然として人気のあったセブンに、
エースに登場して、
こちらも人気の高かったウルトラの父の角がプラスされて、
まさにセブンに角がついたタロウの姿が完成します。
父よりも、はるかにセブン寄りのタロウのデザイン。
デザイン、造型(造形)のお話
こうした経緯もあり、
実際のタロウのスーツも、セブンを改良した造型箇所が確認されます。
つまりタロウのデザイン考察では、
セブンのバリエーション、発展形と捉え、
原形のセブンとの比較が欠かせないわけです。
まず、頭部のアイスラッガーは一体化されて、
後頭部を覆う形状ではなくなります。
放送当時のセブンのアイスラッガーは別パーツだったのですが、
ビス止め固定式のために問題も多く、
放送終了後の
↑「怪奇大作戦」第11話(1968/11/24初放送)「ジャガーの眼は赤い」のサンドイッチマンとしてリサイクルされたセブン。
アトラクション用等では、かなり早い時期から、
当初より固定式で製作されたものも多かったようです。
↑「ウルトラファイト」に登場した、首の黒いセブン。
↑アトラクションやイベントに駆り出された首黒セブン。
また、回り込む形状が災いし、
顎がひっかかりやすく、かぶりにくかったため、
アイスラッガーのアール(取り付け角度)をゆるくするなどの工夫をしていたようです。
タロウでは頭頂部からのスーツと面の接着になったため、
脱着の容易さは格段に向上しました。
タロウの顔は、
セブンを型どりして、
石膏原型を起こして細部を改修したもの(当時の学年誌に掲載されているもの)ですが、
頬のあたりが若干広がったため、顎ラインが下ぶくれ気味に映り、
顔が若干大きくなった印象です。
左右上下兼用で使える眼の木型が新規製作されたため、
セブンとは若干形状が異なっており、より立体的です。
この時期より、セブンもこの眼の型を使用。
「レオ」第1話で有名になった、
耳なしセブンの初登場は、
「タロウ」第40話(1974/1/4)のタイラント戦。
本来はタロウの眼も初期タイプのみ、
現役時代のセブン同様に、
眼のフチだけクリヤーイエローで塗られていました。
しかし簡略化で全面的にクリヤーイエロー1色で塗られたものが多く、
もしかするとこれが、
現役時代のセブンとは印象が異なる一因かも知れません。
セブンは両眼の中央側の距離が近く、
タロウは距離が若干離れています。
タロウのボディラインは、
セブンの初期タイプを誇張した感じで、
やや下半身寄りに重心を下げた印象です。
さらにタロウは、
背の高い(181センチ)長沢寛氏がスーツアクターに選ばれたため、
抜群のプロポーションで、スリムでスタイリッシュ、
若々しい印象のキャラクターとして完成します。
タロウの設定のお話
ウルトラの父と母の実子で、
(ウルトラの母はセブンのお母さんの妹)、
〈家系図あれこれ〉
↑「小学二年生」1973年4月号(実際の発売は3月)。イラスト:内山まもる
この時点では、母の姿は未確定。
↑「小学三年生」1973年4月号。カット:みやぞえ郁雄(推定)
↑「小学四年生」1973年4月号。
↑「てれびくん」掲載年月不明。カット:古怒田健志
6兄弟(血縁はない義兄弟)の中でも、
(勇士階級=戦いに秀でた)レッド族のセブン系であることから、
タロウは最高の肉体とパワーを誇るキャラクターとされました。
学年誌の展開では、
光の国の会議で、エースの次に地球に派遣するのは誰にするかが話し合われ、
ジャック、スター、ガッツ、006、キング
の名前が候補に挙がるのですが、
これらの名称は、タロウに決定するまでのNGネームの数々をそのまま転用したものでしたから、私はこれに気づいて笑ってしまいました。
「小五」1973年4月号
SAITOU氏の読んだのは、「小五」以外の学年誌だったんだろう。
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いかがでしたか?
第一弾は概説なので、
「何を言ってるのか、全然わからない」
ということはなかったと思います。
ですがこれから、
どんどんディープな世界に入っていきますので、
次回の、
特殊美術工房BD7 SAITOU氏の寄稿も
おたのしみに!