Logan IMAX
2017/6/1 TOHOシネマズ新宿 スクリーン10 D列-10番
予告編からでも伝わって来る、作品の質や格。
ヒュー・ジャックマンが演ずる、
ウルヴァリンは、本作で見納め。
卒業・引退作にふさわしい、
見事な幕切れだった。
一応、西部劇とかロードムービーとか
『ターミネーター2』(1991)とか、
無意識か、
意識しているかを問わず、
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参考、踏襲している作品は数あれど、
これまで未見で、さっき(2017/6/9)テレビ放送されたのを初めて見たばかりの、
同じジェームズ・マンゴールド監督作、
『ウルヴァリン: SAMURAI』(The Wolverine 2013)とも、
となると恐らくは、たった一本未見のままの、
『デッドプール』(2016)とも、
とにかく、
いかなる『エックスメン』映画とも似ていなかった。
アメコミ映画という括(くく)りをせずとも、
映画としての出来が秀逸。
ネタバレ結論1(赤字表示)
何よりも倫理観と人生観が成熟しており、
不老不死だったローガンを絶対化せずに理想像から引きずり下ろし、
未来は常に若者のためにあり、
その世代交代のくり返しが人間の歴史を紡(つむ)ぐという、
至極当たり前の大前提が崩れていない。
また、たとえどのような過程を経たにせよ、
この世に生を受けたものには、
生きる意義と価値があり、
それは人為的な思惑とはまるで別のところにあるから、
作為ある者の思惑に従う必要なんか、これっぽっちもないんだと、
最後にしっかり宣言する。
ネタバレ結論2
(赤字表示)
最後のローラの言葉が、
「そんなセリフ、どこから出て来んねん?」
と白々しいものでなく、
劇中の経験を通して、彼女が聞き知ったものだけで構成されていたり、
ローガンを埋めた「墓」から十字架を外して、
X型に直すのが、
彼女の教典であるコミックス、
X-MENへのキリスト教からの宗旨替え
を示しており、
何とも秀逸なエンディングだった。
削除シーンに、
辻褄合わせとしては欠かせないものが含まれているが、
あえて本編に盛り込まなかったことで、
本作はシリーズ過去作に縛られすぎない自由を手に入れている。
たとえば、シリーズ直近作のタイトルロール、
デッドプールと言うキャラは、
自らの単独主演作(2016)の前に、
『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(X-Men Origins: Wolverine 2009)に、
同名(ウェイド・ウィルソン/デッドプール)とはいえ、ほとんど別キャラで登場していたように、
本作『LOGAN/ローガン』で、旧世代のミュータントの生き残り、
チャールズ(パトリック・スチュワート)、
ローガン(ヒュー・ジャックマン)に次ぐ3人目、
匂いでミュータントの居場所を特定する能力を持ち、太陽に当たると皮膚がただれてしまうため、昼間は全身を布などで覆って生活しているキャリバン(スティーヴン・マーチャント)は、
1983年の出来事を描いた、『X-MEN: アポカリプス』(2016)で、
ミュータントのパスポート手配など裏の仕事を受け持つ商人
として登場していた(トーマス・レマルキス)が、
この2人には、スキンヘッド以外にほとんど共通点がない。
このように、既存作に過剰に依存しない姿勢は、
原作コミックス群にもこだわらない自由さにも通じており、
これによって、昔はよくあった、
「アメコミ映画なんて、しょせんはマンガ原作だろ」と見下されるか、
反対に、最近よくある、
「映画の出来の良さは、マンガ原作の良さがあってこそ」
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と、単体での出来の良さをなかなか認めてもらえない、
偏見や不名誉からも脱却している。
あえて矛盾点を挙げると、
(どうやら原作から引き継いでいるにせよ)
もっぱらローラ(ダフネ・キーン)に集中するが、
(以下ネタバレ赤字文字)
たとえローガンが遺伝子提供者でも、性別が違うんだから、
ローラはクローンではなく、娘なのでは?
とか、
ローガンのアダマンチウム骨格は、成人後に人為的に移植されたんだから、
ローラだって、生物として受け継ぐ先天的な形質は普通の骨格のはず。
同様の移植手術を受けたのかも知れないが、
ウルヴァリンは成人だったからいいけど、子供に金属骨格を与えたら成長できないんじゃないの?
とかが腑に落ちなかった。
純正IMAX作品でもなく(単純なDMR=デジタル画像拡大)、3Dでもないが、
それでも通常版よりもIMAXがオススメなのは、
劇中で演じている子供が鑑賞できない、
掟破りのR指定(日本ではPG-13)のグロ画面が、
なかなか大映しにも、じっくりとも映らないので、
大画面なら判別しやすいことと、
なにしろ音響の重低音が、ズシン、ズシンとハンパない。
スパイダーマン系でよくある、
ブヨーーーーーーンっていう、
現実世界では耳にしない、白々しい大音響ではなく、
腹に響く打撃音の連続なので、
格闘の実感が格段に増す。
以上で『ローガン』評は終わりだが、
ヒュー・ジャックマンの演じたウルヴァリンについて、
今回を逃すと書く機会もないので、
気づいたことを。
そもそも
ウルヴァリンって背の低い設定で、5フィート3インチ(160センチ)しかない
小男のはずが、
演じるヒュー・ジャックマンの身長が188〜189センチもあったため、
2000年の1作目『X-メン』(X-Men)こそ、
バストショットを多用して切り抜けたが、
『X-MEN2』(X2 2003)で、ストームの背を抜き、
3作目『X-MEN: ファイナル ディシジョン』(X-Men: The Last Stand 2006)からは、
まったく調整しなくなり、
この時点で、アメコミの元キャラよりも、
演ずるヒュー・ジャックマンの、ウルヴァリンのイメージの方が優先するようになった。
スーパーマンの理想像が、
アメコミの絵柄から、
クリストファー・リーブに移行したのと同じようなものである。
↓これから、
↓これへ。
『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(X-Men Origins: Wolverine 2009)でも、
主要キャラの中で最も背が高く、
『ウルヴァリン: SAMURAI』(The Wolverine 2013)でも、
ひたすら巨漢ぶりが際立つ。
『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(X-Men: First Class 2011)
『X-MEN: フューチャー&パスト』 ( X-Men: Days of Future Past 2014)
『X-MEN: アポカリプス 』 (X-Men: Apocalypse 2016)
の3作からは、
ウルヴァリンと他のキャラの身長が比較できる画像が見つかりませんでした。
↓このちっこいオジサンは誰ですか?
人に歴史あり。