丸越訪問記【3】/35年を経て語る〈その4〉/場所の記憶(15) | アディクトリポート

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これ(マルコシ訪問記【2】/35年の時を経て語る〈その3〉)の続きで、
最終回。

20円(当時売価)サイズの消しゴムで、
miruko

ライダーマンと
500
ライダーマンマシン(=ただのバイク)があるのか?

思い込みの激しい私は、製造元の丸越(まるこし)に、
直接問い合わせてみることにした。

会社の所在地は、製品のラベルか、
poketto
同梱のミニミニブックに記載されていた。

〒111(当時は3ケタ) 東京都台東区今戸2-26-5

1980年の3~4月頃、
大学1年から2年にかけてのことだった。

パソコンどころか、ワープロも普及前。
なので当然、手書きの手紙。

「20円サイズ」で伝わるか疑問だったので、
自分で色を塗った、
ストロンガーとカブトロー(バイク)、
sikinn
ついでに
「消しゴムシリーズの出来の良さを、彩色して楽しんでます」
と示すため、
色を塗ったアストラも同封した。
あすとら
厳密にはアストラはポピー、
ストロンガーとバイクは丸越だが、
造形とサイズ、材質を見れば、
両方とも、どうせ同じところで作ってるだろうぐらいの見当はついた。

ほどなくして、丸越から自宅に電話がかかってきた。
(ケータイのない時代)
「お住まいは草加でしたら近いので、よかったら一度来て下さい」

たしか春休みだったので、
平日に浅草まで行ってみた。
(今は同じ草加からの距離をチャリだが、当時は電車)
2点間の直線距離:13.532 km(13532 m)
2点間の移動距離:約 18945 m

浅草と言えば、
蔵前や浅草橋方向に、
玩具問屋が集中してるのは知ってたが、
丸越は浅草駅から問屋街と逆方向で、
川沿いにけっこう歩き、茶色いビルに行き着いた。

事務所に案内されて、
児童向けの商品に律儀に色を塗って、わざわざ送って来た大学生は、
丸越の皆さんに、えらく歓迎された。

みたところ、40~50代の職人の方々は、
こども向けの廉価商品といえども、
手抜きなく造形していることを、
思いがけず、いい歳こいた大学生
(当時はオタクや「大きなお友達」と言う言葉はなかった)
に認められたことにいたく喜んで、
職人としてのこだわりや、
造形の工程をざっと教えてくれた。

たしか、こども向けだからとあなどって、
チープな製品にするつもりはなく、
意地と誇りを持って造形しており、
日々、ロウ原型をせっせと刻む作業のくり返しと教えてくれた。

ロウ(蝋)とは、ワックス原型のことで、
切削性と細密な可塑(かそ)性に優れ、
金型に型取りされると溶けてなくなるので、
原型は残らない。

歓待されたので、
こちらから申し出れば製造工場も見学させてもらえそうだったが、
わざわざ仕事の手を休めて、
おじさんたちが集まってくれたのに恐縮して、
そんな図々しいことはできなかった。

そもそもは、
ライダーマンと専用バイクの組み合わせがあるかどうかを訊くはずが、
実際に現場に行ってみると、
この造形職人の方々に、
それを確かめても、答はもらえそうもない感じだった。

造形職人はあくまでも原型師であって、
資料写真を与えられて、
「このサイズで、こういう造形で」という指示に従って、
コツコツと原型を刻む日々で、
自分が作ってるアイテムの名前なんか、
知ってるはずがなさそうだった。

それに、とにかく次から次へと新製品づくりに忙しく、
もはや半年前の製品のことなんか、
とても覚えてなさそうなムード。

「製品になにか意見や要望は?」
とたずねられたので、
ポケットパックで入手した、
仮面ライダー単体の立ちポーズ消しゴムは、

↓※ネットで拾った画像で、ポケットパックの消しゴムとは限りません(たぶんちがう)。
らいだー

眼球に刻み目が入っているために、
塗装しても目に光(ツヤ)が宿らないので、
やらない方がいいんじゃないか、ぐらいは提案しておいた。

「そろそろ、おいとまします」と、
色を塗ったフィギュアを返してもらおうと思ったら、
「かまわなければ、こちらで持っていたい。
かわりに好きなだけ商品を持ち帰って良いから」
と、めっそうもないお言葉をいただき、
ありがたくそれに従うことにした。

とはいえ、新製品にアストラもストロンガー+バイクもあろうはずはなく、
しかたなく、まだ未発売の新製品、
ウルトラマン80の拳バンザイポーズの特大をもらって帰ってきた。

そのものずばりの画像はないが、
↓これと同大のポーズ替えです。
くれすた
画像はこちらより

別にがめついわけじゃなく、
↓すでに16人の歴代ウルトラマンをこのポーズで揃えていて、
17
↑丸越訪問時には、たまたまこのサイズが見あたらなかっただけのこと。
(画像は木曜グランプリ氏のサイトより)

結局、この後も一般サイズを追いきれず、
我が家の17人のウルトラマン消しゴムは、
80だけ、バカでかいという不釣り合いに終わった。

それから35年。

9月21日、
DORO☆OFFにチャリで行くのに、
たまたま、たしか丸越のあったあたりの道を通ったが、
行き当たらなかった。

後日、ネットで丸越の所在地情報を探ると、
まだ文字データが中心だった、
2000年に開始された指人形リストに行き着き、
上記のアドレス検索すると……

おお、まだあるじゃないか!
おお
(撮影日2015年3月)

みたところシャッターもカーテンも閉まり、
もはや休眠状態らしいが、
なつかしいなあ。

訪問した日は、シャッター付近に、
消しゴム製品が所狭しと置かれていた。

そういえば、となりは学校(桜橋中学校)だったから、
misutio
全盛期には、ずいぶんと中坊の欲を煽ったに違いない。

以上で、マルコシ訪問記はおしまいですが、
丸越については、まだ続きます。