「珍劇の虚人」(進撃の巨人)問題を考える〈その1〉 | アディクトリポート

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今回は少しばかり唐突に、
8月1日の公開以来、
なにかと(悪い意味で)話題の
実写版「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」
きょじん
について。

というのも、
「進撃の巨人」については、
アニメシリーズ放送中(2013年4月から9月まで)も、
このブログで取り上げて欲しい
旨のご意見をいただき(※検索したが見つからず)、
途中まで見たけど、
あるエピソードで断念したため、
記事にしないままでスルーになった。

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そしたら、今回の実写版についても、
「このブログでレビューが出るなら、
それから見に行くかどうか決めたい」

というコメントをいただいた。

でもって、
絶賛上映中(笑)の前編も、いまだに見てないし、
となれば9月19日に続けて公開される後編
「エンド オブ ザ ワールド」も見ないだろうが、
思うことは多々あるので、
公開からだいぶ経ったこともあり、
書くことにした。

まずはうんとさかのぼって、
「リメイクアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』なんてどうでもいいから、
同じアニメでも完全新作『進撃の巨人』について書いてよ」
のリクエストを受けて、
アニメ版を見たところから。

なるほど、新しくて素晴らしい!

でもってスタートから数話は追いかけたが、
途中で急激に失速。

あるエピソードで先が見透かせて、
その先ガッカリしないためにも、
見るのをやめることにした。

何が見透かせたのかと言えば、
鮮烈な発想で勢いよくスタートしたのはいいが、
ヒットして延命がはかられた原作漫画が、どうやら守りの姿勢に入ってしまい、
話をダラダラと引き延ばし、
結論を先送りする体制に移行したため、
どう考えても、このシーズンだけでアニメが完結しないのが、
わかってしまったから。

作品(ドラマ)の真価を見極める一つのポイントは、
きちんと完結するかどうかで、
しかし「ジャンプ」以降のマンガは、
成功のバロメーターが長寿化になってしまい、
完結性が求められなくなって久しい。

〈事例その1〉

「ドラゴンボールってさあ、
題名が示すように、
ドラゴンボールを集める話じゃなかったの?」
「はじめはね」
……。
“はじめはね”、じゃねーんだよ!
タイトルの末尾に、Zをつけりゃ、
まったく別の話を展開していいってもんじゃねえだろ!


なので、原作どおりにやっても、
まともな映画にはなりようがないので、
どこかで見切りをつけて終わらせるしかないわけ。

こうした漫画のアニメ映画化の成功例は、
「銀河鉄道999」

「風の谷のナウシカ」
だと思われる。

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アニメ「進撃の巨人」を見透かせたポイントは、
この引き伸ばし路線に移行した弊害で、
ドラマの中身も変質して、語り始めと一貫性がなくなったこと。

巨人を倉庫(?)に誘い込んで、
一気に反撃する作戦を敢行した時に、
これまでうろたえるだけだった兵士たちが、
突然、練りに練った戦術で巨人に対抗し始めるに至り、
「キャラも話も、変わってるじゃん」
と一気に萎えた。

とはいえ、ここ数十年も出てこなかった、
まともな完全新作アニメであることはまちがいなく、
これさえ観られないと見限ったら、
それこそ何も観るものがなくなってしまう。
と感じてしまったのはたしか。

今の若者向けには、
若いクリエーターの作った、
手垢のついていない、
ピカピカの新品が必要なはずだし。

それから2年、
実写版「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」のウワサが聞こえてきたが、
不安材料しか耳に入ってこない。

まずは今さらだが、
ATTACK ON TITAN
って、なんやねん?

巨人は1体(Titan)しか出ないのか?
どうやら巨人をGiantとせず、Titanとしたところで安心し、
単複にこだわる前に、力尽きてしまった模様。
ぽすす

〈事例その2〉

アメリカ人夫妻を連れて、鎌倉大仏に観光に行った際、
隣の公園に、
「ハチに注意」の看板があり、
Watch out bee.
と言う英文が添えられていた。

これを見た夫妻は大笑い。
「この公園には、ハチは1匹しかいないのか?
ならばそれほど用心する必要ないだろ」
とツッコまれた。


それに“Attack on Titan”って、
巨人を襲撃=巨人に挑みかかる」って意味じゃないの?

“ATTACK ON TITAN”に、「進撃の巨人」という意味はかけらもなく、
「あの巨人を倒すんだ!」という意味なんじゃ?

本来なら、
TITANS ATTACK ON
(巨人たちの進撃は続く)
500
とか、
ATTACK OF(THE)TITANS
(巨人たちの進撃)
まじめ
が適題に思われる。

そもそも原作漫画の英語題名だから、
講談社の責任って言い訳はできるけど、
この映画には、アメリカ生活で不自由しない英語力の、
某映画評論家の大先生が、
脚本で参加してるんじゃないの?

「いや、それ(英題)は参加前から決まってたし、
自分の管轄外なんで」
ということなんだろうが、
そんなの責任逃れで、
だったら管轄の脚本だって、ホントにしっかり参加したのか?

聞こえて来た不安材料というのが、
まずはこの人の脚本参加で、
「どうして?」と感じた人は多かったらしく、
ある報道では、
原作者の諫山創(いさやま はじめ)と「親交が厚い」とされていた


もっとも、メインの脚本家は、
かの悪名高き渡辺雄介で、
デビューは2001年のテレビshin-D(日本テレビ)で、
2007年の凡作「ROBO☆ROCK」から映画にも進出してしまい、

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翌2008年の「20世紀少年」は、単独脚本ではなく、
ハットリ
福田靖・長崎尚志・浦沢直樹の3人も参加したので最後まで見通せたものの、

長崎尚志と共同の、
「20世紀少年 第2章 最後の希望」(2009)は、
きょうこ
まったく興味が持続せず、途中で爆睡。

渡辺が脚本協力にとどまった最終作「20世紀少年 最終章 ぼくらの旗」(2009)は寝なかったけど、
脅迫
呆れて笑ってしまう中身。


「GANTZ」2部作は、前半は設定の奇抜さで面白く観たものの、
きょぬ
↑というより、筋立て云々より、夏菜のナイスバディに釘付けだっただけかも。

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後編「PERFECT ANSWER」で思い切り失速。
ama

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どうやら、この渡辺雄介って人、
書き出しの気合いが最後まで持続せず、
ドラマが破綻するのを、自分でどうにもできないらしい。

これは一時期の深作健太監督作の、
冒頭だけ気合いの入ったビジュアル続きで、
結局は腰砕けだった時代を、ホウフツとさせる。

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それはすなわち、プロの脚本家として失格ということなんだが、
なぜか渡辺雄介の仕事は絶えず、
2013年に、あの「ガッチャマン」の脚本を手がけてしまう。
ごにん

これで映画脚本家としてのキャリアも終わりと思いきや、
★『MONSTERZ モンスターズ』(2014)
★『映画 ST 赤と白の捜査ファイル』(2015)
★『ジョーカー・ゲーム』(2015)
と、その後3本も仕事があったのは、なぜだろう。

そしていよいよ、『進撃』となったわけだが、
渡辺雄介の単独脚本でなく、
もう一人の「脚本家」ではなく、「映画評論家」が脚本に参加することで、
作品の質は担保されたのか?(反語)

「だから大丈夫」っぽい論調も見受けられたが、
私はむしろ不安だった。

もっと端的に言えば、
うまくいくわけがないと予測できていた。

というのも、この人、
渡辺雄介に負けず劣らず、
(創作上の)「前科」に満ちていたからである。

続く。