ゴジラ音楽の旅(後編) | アディクトリポート

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これの続き。

と、その前に。

前回、映画「ひろしま」について触れたら、
当時を現体験されている方から、
「劇中の内容は史実に正確でない」との、
予期せぬ貴重なコメントをいただきました


この件については、追って別記事を立てたいと思います。

あらためて、コメント、ありがとうございました。

さて、本題。

『ゴジラ』の伊福部昭に限らず、
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映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズだって、
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それより少しだけ前の世代の、ジェリー・ゴールドスミスだって、
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当世絶好調のハンス・ジマーだって、
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一つの曲やメロディを、複数の別タイトルで使い回すのはよくあることで、
それ自体が信用失墜行為とはならない。

映画音楽作曲家の本音は、
「渾身の作品を納品したのに、
やっつけ仕事の映画本編の道連れに、
その他大勢に埋没して終わってしまうのはまっぴらだ」
ということと、
「自分の音楽のファンは、タイトルにこだわらず、
自分の曲調にこそ期待してくれてるんだから、
別作品に同じ曲が流れたって、別にいいじゃないか」
あるいはそこまでいかずとも、
「自分に作曲依頼が来てる時点で、
そうなっても(=曲のリサイクルが発生しても)
発注側だって、文句を言ってきたりはしないでしょ」
だったと思う。

と・こ・ろ・が、
こういう常識を全く持ち合わせていない人たちが、
自分たちの未熟で身勝手な認識に、事実をケタ揃えさせようとした「事件」があったことを、最近知った。

中島晶也氏の、
Weblog on the Borderland
超自然的恐怖原理主義者の日常

と言うブログの、
2007年1月14日の記事で、
要約すると、以下のような経緯が記されている。

*2005年秋に、CSの衛星劇場で、『ゴジラ』(1954)と同曲のテンポ替えが使用されていた、『社長と女店員』(1948)が放映された。


*それをたまたま見ていた石上三登志は、友人の森卓也に早速電話をかけた。
*二人は「きっと気づいたのは、日本でわれわれ二人だけなんじゃないか」と大笑い。
*森卓也は、同じ旋律がサスペンス映画『蜘蛛の街』(1950)にも使われていることを発見。
*石上三登志はこの件を発表することについて、映画評論業界の大御所である双葉十三郎に相談した。
*双葉は石上の話を聞いて、「それは美談だね」とのたまい、その主旨は「ゴジラ」がなければ、せっかくの名曲が消えていたところを「ゴジラ」が救った、というものだった。


……。

これ、20年も30年も前じゃなくて、2005年とか2007年、
つまりネットがとっくに普及してる現代の話なんですよ!

まず、石上と森の、
「気づいてるのは日本で自分たち2人だけ」
と言う認識の身勝手さに呆れる。

次に双葉の、何を今さらな、映画音楽観…。

さらに続いて、石上と大林宣彦の、別の呆れる対談記事が続く。

石上 (前略)2002年が東宝の70周年で、引き出物が「ゴジラ」の限定ナンバー付きDVDでした。そこに収録されている特典映像が伊福部さんへのインタヴューです。当然のようにインタヴュアーはあの曲の創造の原典を聞きたがるんですが、本当に話しにくそうに回避していましたよ。
大林 ファンを傷つけたくなかったんでしょうね。日本の国の文化の貧しさですよ。「いやあ、あの曲は他の映画で二度も三度も試みていましてね」と話が自由にできたときに「ゴジラ」の映画の価値も増しますよ。
(中略)
石上 ファンにいいたいんだけど、伊福部昭さんを「ゴジラ」にだけ閉じこめていたらいけませんよ。


はぁ?
こいつら、何言ってくれちゃってんの?

「ゴジラの曲が使い回し」だって話は、とっくに自由にできてるし、
石上自身が、あやうく伊福部をゴジラだけに閉じ込めようとした(※他の使用例があったことを公表するのをためらった)張本人じゃんか!

揃いも揃って、
いったん手に入れた地位にあぐらをかいてるだけで、
本当の意味のプロじゃないね。

石上は、ついこの前の、2012年11月6日没。

双葉氏は、2009年12月12日没。

森と大林も、このまま「誰のためにも、何のためにもならない人生」のまま、死んでいくのだろうか。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-430


おしまい。