11/22で終映のところが多く、その日にあわてて。
見逃さないで、ホントによかった!
サスペンスの盛り上げ方が極上で、題材が最大限に生きている。
上映はデジタルだったが、時代色を再現するために、
*劇中で描かれる1980年1月末当時のワーナーのそっけないタイトルロゴに、
↑「ダーティー・ハリー」シリーズとかでよく見かけたこのワーナーのタイトル画面。二番館上映だと褪色とフィルム傷が盛大な上に、ソール・バスによる本タイトルの素っ気なさも手伝って、「ワーナーって、商売って割り切ってるよな」と感じずにはいられなかった。
わざとフィルム傷を残したままだったり、
撮影にコダックのフィルムを使用して、
↑スチルはサイズも小さく、本編からの抜き焼きかも不明なので、それで本編の画質や画調の判断はつきません。
当時の映画の雰囲気、色調から、なんとなくピンが甘い感じまで再現している。
大切な時代考証も正確無比で、
*作戦のヒントとなるテレビ放映の映画が、
↓1作目の『猿の惑星』(1968)でもよさそうなのに、
↑しっかり『最後の猿の惑星』(1973)だったり、
子供部屋に置かれたケナー社のタイ・ファイターが、
白い初期モデル
ブルーグレー成形は、1983年の『ジェダイ』のバトルダメージ版から
だったり、
まだ公開まで4ヶ月あった『帝国の逆襲』のトイは登場せず、
それなのに出てくるボバ・フェットのラージサイズフィギュアは、
1979年の秋には、すでにSTAR WARS箱で発売されていたことが、しっかり押さえられているなど、なかなか抜かりがない。
とはいえ、エンドクレジットで、
「この映画は実話を元に構成していますが、劇的効果のために事実と異なる脚色があります」
と言う旨の断り書きがあるように、再現ドキュメンタリーではないからこその改変がそこここにあり、ビジュアル面で最たるものは、架空の映画企画『アルゴ』にまつわる、あれこれである。
この『アルゴ』に関わるビジュアルの一切と、景気づけのためのプレス発表イベントは、本作向けの完全なでっちあげ。
まあ、それは、チューバッカのパーティー用マスクを青く染めただけのコスチュームを見れば一目瞭然だけど。
実際のニセの企画書や、製作会社のプロップ(小道具)が、これだ!
↑コンセプトアート集の表紙
↑アーティストは、ジャック・カービー。
↑実在しない製作会社、スタジオ6のカバン。
↑脚本。
↑業界紙バラエティの『アルゴ』関連記事。
↑スタジオ6の事務用品各種。
↑スタジオ6のニセの手紙。
※右端の表示が切れている画像は、つまんでデスクトップに移せば、全画面をゲットできます。(Macの場合)
主演、監督のベン・アフレックの映画の才能はホンモノで、
「せっかくここまでやっておきながら、どうして…」
という、ありがちなやり残しや、画竜点睛を欠くところが全くない。
日本の俳優、岸谷五朗(『キラー・ヴァージンロード』2009)や、
役所広司(『ガマの油』2009)の監督作品とは、雲泥の差である。
のみならず、アメリカの一流映画監督でも時たまやらかす、「私は映画を良く知っています」という大自慢大会に、
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愚の骨頂にも陥っていない。
エンディングでは、実在のモデルと、本作での再現度の比較画像も示され、
尻尾まで、あんこの詰まったタイ焼きのように、おいしい映画でした。
まだ続映中の映画館を見つけて、
必ず見るべし!