『ベルばら』という特異点/追悼・荒木伸吾〈その6〉 | アディクトリポート

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これの続きで、荒木伸吾氏の追悼連載も、今回で6回目。

※今年中に、次回の7回目で終了予定です。

後から振り返れば、他の誰よりも適任に思われる、荒木伸吾(と姫野美智の荒木プロ)のアニメ『ベルばら』のキャラデザと作監への起用だが、当初は戸惑いと試行錯誤があったようだ。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-raki

前回に引き続き、
この雑誌より転載。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-めーふ
アニメージュ 1979年9月号

ついでにオスカルのキャラデザの変遷を見ていくと、
↓これが原作を単に模写したもの。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-menihi

これが第1稿。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-568

決定稿のキャラ表と、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-たち

ほとんど違いがないですが、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kudari

それなりに紆余曲折はあったらしく、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-dokoga

↑「どこが池田理代子キャラやねん?」の、おなじみの荒木キャラ寄りに思い切り振られた第2稿や、
↓けだるいオトナの雰囲気の第3稿を経て、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ぷるま
↓そこそこ無難な、第4稿に落ち着く。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-きゃらひょう

この時点での、原作と各キャラ表の比較がこれ。

オスカル
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-おす

アンドレ
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-heimaku

フェルゼン
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ettei

マリー・アントワネット
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-あんと

ところが手間暇かけた、このキャラ表や、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-kyarahyou
当初のイメージイラストは、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-hyou
結局ほとんど使われず終いで、本編には反映されなかった。

なぜなら番組開始当初は、登場キャラはみな未成年。
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-plus
そのためのきなみ、丸顔に童顔。
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-まま

しかも番組途中から、監督が長浜忠夫から出崎統に交代して、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-osukaru
それにともない、いつもの荒木プロ調の絵柄も動きも取りやめとなり、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-anndore
よりダイナミックで大胆な、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-akushonn
杉野昭夫調に変更されたからだ。

前期と後期であまりにも雰囲気が異なるので、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-すか
監督だけでなく、作画陣も荒木プロから杉野昭夫に変更したが、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-どれ
それは表沙汰にはできないので、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ふぇる
クレジットは荒木伸吾と姫野美智のままだったんだと、
作家集団Addictoe オフィシャルブログ-まり
長年勝手に思い込んでいたが、
アニメ評論家の氷川竜介氏から、
作画陣は荒木プロが続投し、絵柄と動きの変更は、出崎監督の指示によるものだったと教えていただいた。

というわけで、『ベルばら』は荒木プロの仕事では頂点を極めていると思うが、
それはあくまでも出崎統の功績であって、
荒木伸吾自身の手腕とは言えないと思う。

だったら荒木伸吾の真の代表作は、というところで、つづく。