「奥さまは魔女」映画版（2005）のキャスティングは、
「ほぼ」完璧と書いたが、では「完璧」でないなら、どこが欠けていたのか。
それは相手役の男性キャスト。
オリジナルのテレビ版で、ダーリン・スティーブンスを演じたのは、ディック・ヨーク。
ダーリンは、「あなた」の darling ではなく、Darrinという個人名だが、もちろんdarlingのもじり。
おとぎ話のチャーミング王子Prince Charmingとか、昔は「まんま」なネーミングが多かった。
ただしヨークは、持病で背中に慢性的な痛みがあり、鎮痛剤の服用量が次第に増えていき、撮影中の事故を契機に降板。
1969年の84話から最終105話まで、ディック・サージェントに交代した。
どうして二人そろって「ディック」？
近年はディックは男性器の隠語として、あまり名誉な名前ではなくなった。
その経緯、詳細はこちらで（英文）。
で、映画版はジャック・ワイアットが役名で、怪優ウィル・フェレルが演じるという変化球。
これがテレビ版から映画版への、最大の改変と思われる。
ディック・ヨークのダーリンの「奥目でギョロ目」の後継者なら、
たとえば昔なら、ロディ・マクドウォールとか、
そう、素顔より、『猿の惑星』シリーズ（1968～1974）のチンパンジー役（コーネリアス、シーザー、ゲイラン）が有名な。
↑ところでアメリカ人は、「マクドウォール」とは呼ばない気がしますが？
2:22あたりからを聴いてみて。
最近なら、ジム・キャリーとか、適役には事欠かないだろうに……。
まさか、ウィル・フェレルとはねえ。
ダーリン（だんな）の人選については、
2005年の映画版より、オリジナルのディック・ヨークに忠実なものが一つある。
それは米倉涼子主演の日本版「奥さまは魔女」（2004）の、原田泰造。
主演の米倉涼子の方は、勝ち気の美女という以外は、
ことさらにオリジナルのエリザベス・モンゴメリーと通ずるところが見つからないのとは正反対で、
はからずも映画版とは、真逆の手法に落ち着いた。
↓こんなの、出てたんですね。
奥さまは魔女 プレミアムDVDボックス
ちょっと欲しいかも……。
〈おまけ〉
「奥さまは魔女」つながりで（演じたのは米倉の方が１年早い）、2009年に映画『オーストラリア』のプロモで来日したニコール・キッドマンと対面した米倉涼子。
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