この話題は、今回の〈その3〉でおしまいです。
〈その1〉
〈その2〉
なんで同じ人(加藤優介氏)が、同じ題材(AT-AT)を手がけておきながら、
キャラクター・エイジ Vol.03での、
↑全高30センチのレベル社プラキットの作例は、あまりピンと来なかったのに、
↓Vol.05の全高63センチのハスブロトイの改造には、
えらく感心したかというと、
単にサイズに圧倒されたわけでもなければ、
↑同じMPC版との比較。
↓高さ約3倍!
↓実際の撮影用モデルと、
↓実物大セットにはあった、
足の付け根の内側の、補助クランクの有無を云々しているわけでもない。
↑どっちの作例にもないし。
そうではなくて、設計者のジョー・ジョンストンの理念に、きわめて忠実な造形と感じたから。
ジョンストンのAT-AT設計の出発点は、シド・ミードの1950年代のイラストだったため、
↑上がベンチ状になっていることから察するに、スキーリフト代わりの乗物のつもりで、デザインされたのではないでしょーか?
元ネタ隠しの意図もあって、プロポーションを大幅に変更。
横方向に圧縮され、脚の幅は、思いっきり薄っぺら。
この脚幅の薄さにこだわったジョンストンはだから、フロリダディズニーワールドの、ぶっとい脚の巨大AT-ATが、大キライだとか。(ドン・ビーズから聞きました)
↑お前、誰やねん!
森三中のキャッツ・アイばりの、
↓これが、どうしてどうなると、
↑こうなるの?
↑原作の北条司のイラストにも、肉感的なのがないわけじゃないが、
↓やっぱりこの映画版『CAT'S EYE キャッツ・アイ』(1997・稲森いずみ/内田有紀/藤原紀香)みたいに、
↓原作(マンガ)にも、影響を与えるぐらいじゃないとね。
↑「月刊コミックゼノン」創刊号で、2010年10月25日から連載開始の「キャッツ・愛」
原作・北条司 作画・阿佐維 シナリオ・中目黒さくら(原作・脚本制作集団)
↓「なんちゃってメタボAT-AT」君。
で、『帝国』スケッチブック(デザインイラスト集)の表紙にまでなった、このAT-ATのデザイン。
一見完成に見えるのに、ジョンストンは頭部のデザインを何度もやり直し。
↑スケッチブック表紙と同デザイン。これでも暫定。
1978年11月16日の日付あり。
こちらは3日後の、1978年11月19日の日付。
周囲は「もういいんじゃないの?」と思っても、
「もう、いいじゃないですか!」by 日景忠男
※写真・動画と本文は関係ありません(笑)。
ジョンストン本人は、突き詰めをやめず、
ようやくこの最終デザインを完成させた。
もちろん立体モデルは、完全にデザインと同形ではないが、
空前の忠実度で、画稿に肉薄!
そして加藤氏の↓Vol.05版頭部は、↑これをホウフツとさせた一方、
↓Vol.03版頭部は、まったくその限りではなかった。
Vol.03版(組写真上)不振、Vol.05版(組写真下)快調の原因の一つは、
Vol.03版の頭部が、キットを芯に、小改造にとどめたのに対し、
Vol.05版の頭部は、完全新造だったこともあげられよう。
とはいえ記事によれば、Vol.05版頭部造形の基本になったのは、MPCのキットだったとか。
はからずも、30年前のキットの優秀さが証明される形となったが、
資料が乏しく、当てずっぽうが横行していた当時と異なり、
テレビランド・ワンパック㉝
スター・ウォーズ帝国の逆襲図鑑:徳間書店
詳細で確かな資料に事欠かない昨今、
今回の改造の芯になったトイ、ハスブロ社のメガAT-ATのギミックの参考にもなった、近年の内部図解。
誰もが、「ここが違う、あそこが違う」と、ふみとどまる理由ばかりを思いついて、何もしないのをよしとしがちなところ、「こうやってみました」を力業で実現した、今回の作例には素直に感動しました。
加藤優介氏の、次回作にも期待します!
人気ブログランキングに参加中。気に入ったらポチしてね。