砲台(その2)/蒼きヤマトへの憧憬〈19〉 | アディクトリポート

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さて今回は、砲台付近が設定図面どおりに立体化されたヤマトを挙げていくのだが、純然たる図面どおりのヤマト立体(製品)というのは、存在しない。

特に上から見た時に、前列のパルスレーザーを通過するラインが、艦の前方に向かうにつれて幅が狭くなっていく、いわゆる〈先すぼまり〉を立体で再現した例には、なかなか行き当たらない。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-さきぼそり
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-みやたけ
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-あっぷ

そうなると図面からの再現ポイントは、
*砲台の前が狭く、後ろが広くなっているかどうか。
*それに伴い、前後で砲台が並ぶ崖の傾斜角に差がつけられているか。
*横から見た時に、砲台と機銃群の境目が垂直でなく、かすかに角度がついているかどうか。

オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きそく
ということになる。

この観点からすると、バンダイのプラモは、歴代、合格点とはいかずとも及第点は与えられる。

まずはゼンマイヤマト。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zennmai
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-280
↑角度が急すぎたり、先すぼまりの位置が異なってはいるが、最初の立体化にしてはまともな方。
ゼンマイヤマトは、その俗称どおり「ゼンマイ」つきなことで笑いもの扱いされがちだが、形状はかなり「男前」だと思う。

バンダイの次のヤマトがいわゆるイメージモデルで、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-2901
その中央部分(司令塔や第三艦橋)は、1/500に
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1/500
↑この1/500、通称コズミックモデルの初版は78年末に発売。
引き継がれる。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-bouhatei
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sekuga
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sususu
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sutairy
↓前後の幅は、ほとんど同じ。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1/500

そしてこの1/500の改良スケールダウンのような1/700
(初版はメカニックモデルとして、1978年に発売)でも、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1/700full
やはり前後の幅は、ほとんど同じ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1/700000
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-05
↓側面の線は垂直でないのが、肉眼でもわかる。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-04

こと、この2点、
*砲台の前後幅の区別
*側面の境界線が垂直でない
----の両方に限れば、さしもの決定版たる最新のDVD付属新1/700キット(2008年2月発売)でさえが、どちらの要件も満たしていない。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-よこひな
↑真横から見たときに、境界線がほぼ垂直↓
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-dodai1

↓土台の後ろの幅が狭いため、
艦載機射出口(本当は展望窓であるべき)や
パルスレーザー等の構造物がぎっしりと建て込んでしまっている。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-dodai2
↑グリーンの線は、
設定側面図↓ではなく、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-293
↓内部透視図と、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sokumenn
↓「大図鑑」の「大図解」に即したもの。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zukai
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-doa2

第二副砲脇のヒレ部分は、狭い幅に合わせて、図面よりうんと急角度で狭まっている。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-doa1
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-doa3

DVDヤマトのこの部分の形状はしかし、基本的な船体構造からして、なるべくしてこうなっている。

というのも、従来のヤマト模型の断面が、角形もしくは椀形だったのを、初期テレビシリーズ本編どおりに円形にしたのがこのキットの画期的なところだったわけだが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kakugata

それに伴う必然として、甲板の幅はうんと狭くなっている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ふぁrご
砲台の幅は前後でほぼ同じだから、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-さきすぼまり
↑歴代のバンダイヤマトで唯一、砲台前部の先すぼまりが表現されている。
当然甲板の幅も、前と後ろでほぼ同じ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kannpann

DVDヤマトは、スリムなプロポーションと全体形のまとまりに重点を置いたため、あえて設定どおりに造形されていないのだろうが、
いかに不格好になろうとも、あくまでも設定上は、後部甲板は目一杯張り出していて、司令塔後方の砲台は、思い切り怒り肩なのが正解ではある。

というのも、
この↓宮武一貫作図の、通路、区画、基本レイアウト図にあるように、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-huger
各区画が船体の基本構造に収まる形状になっているのに、
上部の戦闘機格納庫だけが箱形にせり出していて、そこだけ船体からはみ出して、プロポーションを大きく崩してしまっている。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-box
↓加藤直之による、上部戦闘機格納庫の設定。
4層式の格納スペースが縦に長いビル状にそびえたち、その周囲を出入口等が取り囲んで、全体で箱形の区画を形成している。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kakunouko

と、バンダイプラモの砲台周辺の再現について分析を終えたところで、次回はバンダイ以外の立体製品について。

幻の、あのプラモについても分析予定なので、お楽しみに!


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