LFL訴訟の行方(7)SDSとの戦い〈前編〉 | アディクトリポート

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2005年には、実写映画最終作『シスの復讐』があった。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-シスポスター

2007年には、SWC4(セレブレーション4)とSWCE(セレブレーションヨーロッパ)があった。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-C4+CE

2008年には、SWCJ(セレブレーションジャパン)とCGアニメ『クローン・ウォーズ』があった。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-clonecj

2009年も、引き続きテレビ『クローン・ウォーズ』が堅調だ。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-テレビクローン

第2シーズン用のミュージックビデオも発表された。


映画六部作完結で、その後の動向を注視していたSWウォッチャーの私としては、
2006年が欠けているのが気になった。

この2006年の後半には、LFLのHPに、同社がある裁判に勝訴した記事が載っていた。
これが思いつく限り、この年のSWやLFLがらみの最大のトピックだった。

裁判の相手は、シェパートンデザインスタジオ(SDS)。
ここがLFLに無許可で販売している、ストームトルーパーやタイファイター・パイロットのマスクやコスチューム一式の販売を差し止めると共に、これまでSDS社が勝手に販売して得た利益を賠償するようにとの判決で、その賠償額は膨大(2000万ドル)だった。

この手の裁判だと、いわゆるパチモン=粗悪品撲滅が目的だろうと思われがちだが、ことSDSに関しては、事情が全く異なる。

たとえば、
↓これはLFLが公認で、ドンポスト社が1997年頃に公式に発売した、ストームトルーパーのマネキンである。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ドンポスト

↓で、こっちがSDSが現在も(判決にかまわず)継続販売中の、アーマーやヘルメットである。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-DSD

マネキンと実際に人間が着こんでいるというハンデを抜きにしても、どちらが造形的にすぐれているかは、誰の目にも明らかだろう。

念のために、1作目『新たなる希望』劇中から、類似ショットを抜き出して比較するとーーーー
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-実際

ーーーードンポスト社のクオリティの低さと、SDS社の実物への忠実性が際だつと思う。

この3つを見ても違いがピンと来ない人は、このブログには向いてないので、ここから先は読まなくてかまいません。=読んでも意味がない・読むだけ時間のムダ。

一応、ドンポストの名誉?のために断っておくと、ストームトルーパーのマスクは、3作目の『ジェダイ』で形状が変更されて、縦に幅つめされて小型になっている。
↓これが実際に映画『ジェダイ』に使用されたコスチュームとマスク。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ジェダイ版

マネキンはこの小顔版トルーパーの造形に基づくもの……ではあるんだが、それにしても割り切りが激しすぎる。
そのうえプレートには、「ANH『新たなる希望』からのプロップレプリカ」となってるし……

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-プラーク

なんで、LFL「公認」のドンポスト社のトルーパーの方が、劇中のものと似ても似つかず、なのに堂々と1作目のプロップレプリカと銘打たれてしまったのか。

そして形状的には、明らかによほど正当なSDSのマスクやアーマーが、なんで販売差し止め訴訟の憂き目にあったのか。

実は本家LFLのスカイウォーカーランチには、1作目『新たなる希望』と2作目『帝国の逆襲』のストームトルーパーはほとんど残っておらず、あっても2~3個。
状態も満足に展示公開できるものじゃなく、お目見えされたのは、ようやく2007年のC4で、目の部分がくりぬかれていた。
↓右のマスクが黄ばんでるのは撮影条件のため、ホントは左の写真のように白い。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-マスク2

このように、1997年の〈特別篇〉あたりまでは、LFL内部には『ジェダイ』版のストームトルーパーばかりが大量に残され、しかも当時の社員で、1・2作目と3作目でトルーパーが違うという事実を知らない者が多く、だからマネキンは『ジェダイ』版になってしまったし、
『新たなる希望』〈特別篇〉(1997)で新撮されたトルーパーも、『ジェダイ』版に準じている。
↓卓上の若干変色した『ジェダイ』版マスクをもとに、〈特別篇〉のトルーパーが量産された。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-製作中
↓オリジナルのサンドトルーパー(中央)に比して、新撮版のマスク(左・右)の造形はダルく、いかにも簡易版。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ダルダル
↓〈特別篇〉で足された、後ろに整列しているトルーパーは、幅つめされた小顔の『ジェダイ』版に準ずるもの。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-集合

1997年の夏に、ILMのネルソン・ホール(『ジェダイ』〈特別篇〉で複数のマスクキャラを演じた、R2オペレーターの一人)が、「君は色んなことに詳しいね。だけど社内はそんなじゃなくてさ。そういや最近、ようやくイギリスでストームトルーパーを作った場所を突きとめたんだよ」と言っていた。

こうしてLFLが、消費者にまがいものをあてがって「実際の映画に使用されたものに忠実なレプリカです」と宣言しても、仕事やビジネスとしてやってる社員よりも熱心に、常日頃からホンモノを追求しているファンやマニアはごまかされなかった。

一番にそれを感じたのは、2002年のSWC2(セレブレーション2)と、2005年のSWC3(セレブレーション3)に集った、501部隊の出で立ちの変化である。
↓上が2002年。下が2005年。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-C2
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-C3

集合写真ではよくわからないが、C2では手作り感覚で、個体ごとにバラツキのあったストームトルーパーの造形が、C3ではきれいに統一されていた。

↓みなさん、「同じ顔」に、きっちり良くお揃いです!(2005年のC3より)
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-群れ

C3終了後のホテルのロビーで、部隊の一人にマスクを見せてもらったが、とても良くできており、彼が言うには「実際の劇中に出てきたものから型どりしている」と言う触れ込みだった。

シェパートンデザインスタジオ(SDS)は、C2とC3の間の2004年から、映画に使用した同じモールド(量産用の元型)から生産したストームトルーパーやタイファイターのマスクを、自社サイトで売り始めた。

501部隊は、映画に出てきたそのままのスタイルを身にまといたい。
それも、あちこちが整理されて、造形の味がすっかり抜け切ってしまった『ジェダイ』版なんかじゃなくて、できれば『新たなる希望(1作目)』版、むりならせめて『帝国の逆襲』版を。
そんな彼らにとって、SDSのストームトルーパーのマスクは、見ればたちまちホンモノとわかるものだった。

↓どの角度から見ても、まごう事なきホンモノ! これと比べると、97年のドンポスト版はゴミに等しい。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-マスクの技

比較的安価だったこともあり、501部隊のコスチュームは、2005年のC3までにはほとんど全て、SDSの製品もしくはその改造版に取って代わられた。

ではどうして、本家(のはずの)ルーカスフィルム(LFL)にできないことが、イギリスの無名の工房でしかないSDSにできたのだろうか。

答えは次回!!