処女作の構想 | アディクトリポート

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2005年の夏。
大学の同窓生と、人によっては21年ぶりに再会。

で、当然「何やってんの?」と訊かれる。
そりゃそうだ。
高校教員最後のサイクルでは、生徒の母親が自分と同い年だったりした。

高校生の子供がいても、おかしくない歳なのに、いまだ独身。
そのため同性愛疑惑までささやかれてたし。おいっ!

で、「これこれこういう作品を考えてるんだよ」と打ち明けると、
「その話の中身を知りたい」といってくれた人がいた。
ぐれーすさん。

彼女は大学時代から、たゆたうような音楽や小説が好きで、村上春樹がお気に入りだった。
その影響?で『ノルウェイの森』だけは当時読んだが、さっぱり良さがわからず。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ノルウェイ

当時から、つくづく私の好きな物語は「映画的」だったんだと思う。

そういえば、あれこれと自分なりの作品構想は練っていても、それを人に示せる形にできていないことを、あらためて思い知る。

自分なりの物語を構想するきっかけは、2003~2004年のルーカスフィルムアニメーションの募集告知。
くまなく網羅された職種の中に、ストーリー、つまり原作とか原案、脚本ってやつもあった。
自分の考えたストーリーが映像化されるなんてサイコー、と思ったね。

で、シノプシス、いわゆるあらすじって言うのを途中まで英語で書き、
自分の物語には膨大な解説、もしくは補足ビジュアルが必要になることが判明。
結局、満足に形にならないうちに、時間切れになった。


それで後日ぐれーすさんに連絡をとって、私の物語を読んでもらうことになった。
脚本というのはやめた。
台詞とト書きだけでは、意味不明な部分がやまほどあるため。

しかし、書き方がわからず、電車移動中心の暮らしもしていて、ケータイで2000字ほど書いては送ると言う有様。
よくぞ辛抱強くつきあっていただきましたよ。

で、肝心の話の中身は、
当初は追いつけ追い越せSWだったし、ルーカスよろしく、これで一発当てて安泰をはかりたかったので、宇宙戦争三部作と、これまた大きくでることにした。

『スター・トレック』、『スター・ウォーズ』につづく、タイトルに「スター」を冠するヒットシリーズの第3弾で、同時に21世紀デビューで初の成功作としたかった。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-3

それともちろん、SWへのアンチテーゼ。
『スター・トレックⅡ』の脚本・監督、『同Ⅳ』の脚本、『同Ⅵ』の脚本・監督のニコラス・メイヤー(ホントは「マイヤー」と読む)が、
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-Nick
なにか(たしか『カーンの逆襲』のDVD副音声)のコメントで、
「そろそろ2001年の9・11を題材にした作品が出てきてもいいのではないか」と言ってたのが、ひっかかってた。

オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-911

当時はまだ、オリバー・ストーン監督、ニコラス・ケイジ主演の『ワールド・トレード・センター』(2006)も、
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ワトセ
ポール・グリーングラス脚本・監督の『ユナイテッド93』(やはり2006)も
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-93
製作中だなんて知らなかったが、マイヤーが言ってるのは、事件そのものを描くってことじゃないって気がしてた。

じゃあ、マイヤー本人がやるのかと思ったら、久方ぶりに見かけた彼のクレジットは『白いカラス』(2003)の脚本。
『アイズ・ワイド・シャット』(1999)以来のニコール・キッドマンの裸くらいしか印象に残らない映画だった。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-白いカラス

それからもう一つひかかかるのは、アメリカ帝国主義が当たり前だと考えてて、その延長で展開したSWのストーリー。
特に、「強大な外敵の侵略には、こちらも軍隊をもってあたるのが当然」という思想。

もちろん、ルーカスはもう少し賢いから、このアメリカの欺瞞は見抜いていて、
「侵略や外敵の脅威なんてものは実在せず、自分の中の脅えが、侵略者という幻想を作りだしている」
ってことは承知の上で、それをストーリーに盛り込んだわけだけど、結局その脅えのままに、合議制だった銀河共和国が、独裁者の絶対主義の銀河帝国に成り代わっていくって図式は、さすがに時代遅れじゃないかって気もしてきた。

だって、地球の、それもアメリカの身勝手な理屈が、そのまま銀河でもまかり通っちゃってる。

たとえばアフリカからアメリカへの奴隷貿易。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-奴隷制度

それから、西部開拓時代のインディアン迫害や虐殺。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-インディアン

新しいところではベトナム戦争。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ベト

これらでアメリカが正しかったなんて、今では誰も思ってなくて、野蛮で身勝手な行為だったと認識してる。

SWの世界は、光速を超えた旅が可能で、多種多様な知的生命体が銀河共和国を形成してる。
そう言う銀河市民になれる資格は、まずは野蛮な力による侵略という考えや行動から脱することが最低限の条件なんじゃないだろうか。

ということを、自分の物語には含めることにした。