気になっていたレンズ Sigma 45mm f/2.8 DN DG Sony E-mount | 空と風と川の流れを.

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 空と風と川の流れを求め,素の自分を表現できたら良いなと.

 『レンズ沼』という言葉がある。この言葉、よく言ったものだと思う。レンズにこだわり出すと抜け出せなくなるという行動を指したものである。

 YouTubeを観ていると、写真や動画のプロの人たちがカメラやレンズの製品紹介や比較なんかをよくやっている。そういった動画を参考にしているのだが、そりゃ高いレンズは写りもええやろうなとは思う。しかし、中にはそれほど高価なレンズではないけれども高品質なレンズも紹介されている。その一つがSigma 45mm f/2.8 DN DGである。

 当初はふーんって感じでそれほど気にかけてはいなかったのだが、このレンズ、同じレンズでも異なる二種類のマウントが製品として売られていることを知った。一つはソニーEマウント、もう一つはライカLマウントである。ライカ?

  ライカLマウントのカメラはLeica SL, SL2といったオートフォーカスで動画も撮影できる現代的なカメラ。しかしソニーと比べたらカメラ本体の価格が倍ほど違うし、レンズも新品のレンズであるがライカのレンズは50万円くらいするものばかり。買えるかっちゅうねん。

 自分自身もライカのフィルムカメラはM3やMinilux、一眼レフではR5やLeicaflex SL2なんかを所有していた。ライカレンズの写りはどういう特徴なんて語れるほど知識は深くない。ただ一つ言えることは、見たままをシャープに写すことができ、暗い部分もつぶれず、明るい部分でも色飛びしない。同じレンズ構成の他社のレンズと比べるとやはりどこか違うなと思うし期待は裏切らない。

 しかし、このライカSLに使えるSigmaのレンズに対して、高性能であり(あえて高機能とはいわない)高級機に用いるためのレンズを妥協して作るだろうか。技術者ならそこはコストパフォーマンスを追求しできる限りのものを作るだろうと。そして、Sigma 45mm f/1.8はシグマがミラーレス用のレンズを最初に作ったものだそうだ。それなら挑戦的な意味で採算を度外視したものかもしれない、と。

 気に入らんかったら売ればいいや、ということで買ってみた。中古で3万円($250)程度だった。

 

 外装は金属製。レンズフードも金属製。なるほど、質感としてはかなり高いレベルにあると思う。

 

 写りは?

 写りはね、YouTubeで紹介されていたレビューの通り、ひと昔前のレンズの写りという感は確かにある。難しい言葉でいうと収差があるという感じ。特に開放f2.8で撮影した時、フォーカスの合っているところからなだらかにボケてくれるって感じ。専門家が言ってる通りである。なるほど。

 ただ、自分自身が気に入ったところとしては、45mmという焦点距離で、その焦点距離が作りだす画角がとても自然なのである。元々私自身、写真に対しては50mmを基準に考える。50mmという画角は左右45°の範囲で、人間がある一つの部分を『視る』、見て物体を認識時の範囲が45°とされる。いわゆる標準レンズと言われるものがこれに相当する。一方、広角とされるのはそれ以下の焦点距離のレンズが作り出す画角で、例えば35mmレンズであると、「漠然と見ている」、28mmかそれ以下の焦点距離になると『眺める』という具合に印象が変わってくる。

 この45mmという焦点距離とその画角は、35mmという漠然とした視野ではなく、また逆に50mmという意識して『視る』というものでもない。そういう意味で、45mmは、うまく言葉で表現できないけど、「あ、これか」という感じで注視しているわけではないけれども見てるって感じになる。なるほどなーって思う。

 

 写真の表現では、写す対象、つまり被写体と、周囲の空間、背景との関係性がけっこう大事で、45mmと50mmと比べて、たった5mmの差で、被写体周囲の空間が映り込んでくる部分が独特の優しさというか「視る」と「観る」の間を作り出されるというか。

 極端な話、釣りに行った場合、釣った魚、木や花、落ち葉を撮るなど、具体的な対象を撮影するならこれ一本で十分じゃないかと思う。強いて言うなら、これ以外に広角をカバーするズームレンズを一本をさらに持っていれば、動画撮影の場合のほとんどの場面をカバーできる、と思う。

 実際、撮影してみると、なんというか、開放で撮ってみると、フォーカスが合っているところが浮き出てくるような描写。シャープすぎず優しい写りするなぁって思う。『シャープ過ぎず優しい写り』という点について、よく安物のレンズやオールドレンズの写りを表現するときに言われるが、このレンズは少し意味が違って、意図的にというかあえてシャープすぎず優しい写りで、あえて収差を残し『ボケ味』を追求した結果なのだろうというのがなんとなくわかる。さらに、このレンズ、四隅の光量の落ちがかなり抑えられてる。それはそれで好みのうちなのだが。

 一つ言えることは、このような写りのレンズは自分が過去に使ってきたレンズには無かったように思う。

 ただ問題は。このレンズはソニーのフルフレームミラーレスに対応している。私はα7R2を使っているのだが、これは重いので釣りに持っていくことはあまりない。どう使おうか思案しているところではある。