最近、こんな本を買いました。
「老いの幸福論」
戦後最後の評論家と評されている方らしく、
亡くなられた時に、様々なメディアで取り上げられ、
追悼番組で、2008年の講演をテレビで放映されていたので、
少し気になって、見てみることにしました。
先の戦争に於いては、今まで文学によって構築されてきた教養や、
精神的で誠実な考えは、結局何の役にも立たなかったということから、
自分にとって何が足りなかったのか?
世界をもっとよく知るためにどうしたらいいのかを考えた末に、
まずは、世界の古典経済を学ぶことから始められたということです。
アダムスミスからマルクスまでを読み、検証し、そして考える・・・。
私は専門的なことは、わかりませんが、
字幕があることによって、知識のない私でも多少は理解することができました。
その中で印象的だったのは、アダムスミスの「国富論」の中で、
「価値」というものを説明するために、りんごを使って解説しているくだりで、
複雑な要素が含まれているのにもかかわらず、だれにでも理解することができ、
簡単でやさしい表現をしていることが、素晴らしいとおっしゃっていたところです。
そして、この日の講演内容は「芸術言語論~沈黙から芸術まで」というもので、
吉本氏は、独自に作られた言葉や表現を含めて、熱心に語られていました。
自分とは異なった思想や芸術・文学も、受け入れるようになると、
幅広い意味で、物事を見ることができたり、
一方では、違いを認識し、取捨選択しながら自身の価値観の純度を高め、
見識を身につけていくことができるのではないかなと思います。
また、このような番組では字幕というものが、思わぬ効果を発揮します。
難しい内容でも、文字を追っていくことによって理解できますし、
聞きとるのと字を読むのとでは、脳を使っている場所が違うのか、
字幕で見た文字や言葉が頭の中で、映像として記憶されていたり、
普通に見ている時よりも、より理解できるような気がします。
なので、私は気になったものは、字幕付きで録画しておいて、
ある程度内容が理解できたら、字幕をはずし、
今度は、音や映像に集中して見るようにします。
TVのデジタル化において、字幕の功績は意外に凄いもので、
これからも、理解を深めるために活用していきたいと思います。
歴史や文化・芸術など、日本の番組こそ、字幕をつけて見てはいかがでしょうか?
≪番外~本のチョイス≫
とりあえず、吉本隆明氏の本の中で、日常生活にちかく、
わかりやすそうな題材のものを選んでみました・・・。
「老いの幸福論」
そして、この方の本も・・・。
「女40代 今始める」
下重暁子著
同じようなテーマも、違うタイプの人のものを同時に読むというのは、
私の好きな読み方のひとつです。
下重暁子さんは、
もう30年以上前に熱心に見ていた、「想い出づくり」というドラマの原作、
「ゆれる24歳」という本を書かれた方です。
24歳の女性3人が、もがきながら、時には時代特有の固定概念や、
常識などと戦い、自分で人生を勝ち取っていくという内容です。
今の24歳と当時の24歳では、自由度が全く異なっており、
「自分らしく生きる」というのが、とても難しい時代だったようで、
他にも「女50代~」 「女60代~」 「持たないくらし」など、
様々な本を出版されています。
本は、他人や昔の人の暮らしや人生、過去・現在・未来、歴史。
または想像の世界へといざなってくれます。
このタイプの違う2冊の本は、どんな世界観をもっているのか・・・。
新しい本を手にすると、いつも新鮮な気持ちになります・・・
やはり私は、読むということが好きなんだろうな・・・