関節リウマチ
30代~50代の女性によく見られる病気です。
全国に60万人の患者がいると推測されています。
原因は今のところ分かっていませんが、自分の免疫が自分の細胞を攻撃する「免疫異常の病気(自己免疫疾患)」であることが知られています。免疫細胞が自分の関節を攻撃してしまうのです。
症状は関節が腫れたり、痛くなったりするなどの関節症状がメイン。なかでも朝起きたときに関節がこわばって動かせなかったり(朝のこわばり)、症状が左右対称に現れたりするという特徴があります。
関節症状のほかには、微熱、筋肉痛、疲労感、食欲不振といった、風邪に似た症状が現れます。
関節リウマチの治療は、大きく「薬」と「手術」「リハビリ」に分けられます。
①薬物治療
関節リウマチと診断された場合は、「抗リウマチ薬」という免疫を抑えたり、調整したりする薬を使って治療をしていきます。 痛みが和らがないときは、痛み止めやステロイド薬を用いることもあります。 最近の研究では、早期に抗リウマチ薬を使った治療を始めると治療効果がよく現れて、症状がなくなる(寛解)ことが分かっています。
さらに2003年からは関節リウマチに劇的に効く「生物学的製剤」という治療が保険の適応になっています。 費用が高いうえ、感染症を起こしやすいなどの問題などもありますが、 抗リウマチ薬だけでは症状や関節の破壊を抑えられないときは、これらを用いた治療を行うこともあります。
②手術
日常生活に支障をきたしてしまうことがあるその場合は、壊れた関節を人工の関節と取り替える「人工関節置換術」などの手術が行われることがあります。
③リハビリテーション
関節リウマチの症状があると、つい関節をかばってしまいがちですが、 動かさないでいると、次第に関節が硬く、動かなくなってしまいます。 また関節を動かす筋肉も落ちてしまいます。 そこでゆっくり関節を回す運動や等尺運動を、体が温まっているお風呂上がりなどに行うことが大切です。
さて東洋医学的にリウマチをみてみましょう。
関節リウマチは、気や血や津液の不足によるからだの働きの衰えという内因を前提条件にして、病邪の侵入という外因が引き金をひくためにおこるものとされています。
慢性関節リウマチは、中医学では「痺証」という病気のひとつと考えられています。痺は、阻まれたり閉じられて通らないという意味です。
痺証は、からだが活動するために欠かせない基本物質である「気」や「血」や「津液」が、何らかの原因で不足したり、からだがおとろえた状態につけこんで、病気の原因となる「風」「寒」「湿」「熱」と呼ばれる「病邪」が侵入し、気や血や津液の流れをさまたげるために、関節や筋肉の痛みや運動障害がおこり、しびれや麻痺、重だるい感じなどの症状をともなう病気をいいます。
関節リウマチは、気や血や津液の不足によるからだの働きの衰えという内因を前提条件にして、病邪の侵入という外因が引き金をひくためにおこるものとされています。
関節リウマチは、湿邪が寒邪や風邪をともなって侵入することが多く、熱は、直後侵入するよりも、侵入した寒邪がからだの中で熱に生まれ変わることが多いといえます。
・・・大きな病気や慢性病にかかる人はリウマチになりやすい
生まれつきからだの弱い人や、大きな病気あるいは慢性病にかかってからだが弱っている人は、気や血が不足した「気血不足」の状態にあります。皮膚の抵抗力が弱く、気候や環境の影響を受けやすいため、わずかな変化にも対応することができません。そのため、病邪が簡単に侵入して、関節リウマチを発病しやすいといえます。
さらに、生命の源である「精」や、からだを温める「陽気」をつくり、全身の水分代謝をコントロールする「腎」や、血をたくわえ、血の流れを調節する「肝」の働きにまで衰えがおよんだ人が、病邪の侵入をきっかけに発病すると、治りにくい慢性関節リウマチとなるそうです。
漢方だと
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「気虚」という状態になっていることが多く、それによって疲労感や冷えなどの諸症状が出ていることがあります。そこでそれらの症状をとるために、気を補う漢方薬が用いられるそうです。
関節リウマチのその他の症状に用いられる漢方薬の一例
大防風湯(だいぼうふうとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、ヨク苡仁湯(よくいにんとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)など