年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話 | 歯科衛生士(DH)の求人・転職・募集情報【常勤・非常勤・アルバイト・スポット】アクター株式会社

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NEWS  年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話 NEWS

大増税時代:
 前回「増税は消費税だけじゃない。大増税時代の税金を理解しよう」は、間近に迫った消費税、所得税、住民税などの増税に関する話をお伝えした。その中で出てきた課税所得、給与所得控除などといった言葉は普段あまり縁がない人もいたと思う。前回は細かな計算のプロセスを省略したところもあるので、今回は皆さんが自身の税金を計算できるよう詳細を解説したい。


 サラリーマンは毎月の給与明細に記載してある所得税、住民税の金額をどうやって計算しているか理解しているだろうか。前回も書いたが、筆者は23年間のサラリーマン時代、税金に対して興味も知識もなかった。よって自分が毎月の税金をいくら払って(納めて)いたのかまったく知らなかった。ましてその金額の根拠となる計算方法を調べようと思ったことなどなかった。筆者と同じようにじっくりと税金に向き合ったことのない人はそこそこいるだろう。


 先日50代の知人と飲んだ際に「1980年代は就職ができることが当たり前だった」「1990年代に互いに転職したが、バブル崩壊後とはいえ特に苦労することもなかった」「2000年代にはそれぞれ独立し現在に至るが高いハードルを越えたという意識もなかった」と、「いい時代だった」という話をした。だがこれから先のことを考えると、景気、税金、年金……と先行きの不安材料は多々ある。なんとなく会社が成長し、なんとなく役職が上がり、なんとなく給料が増え、なんとなく裕福な暮らしができ、何の心配もなく老後を迎えた時代は終わったように感じられる。昔のサラリーマンは税金や年金の知識がなくても何も問題なく過ごせたような気がするが、これからは知っておいた方が何かと安心、安全だろう。


 税金を少し理解すると一生と通じて得をする可能性がある。PC好きな誠
Biz.ID読者は、PCに詳しくなるとPC関係のコストダウンができると感じたことはないだろうか。例えばタイ洪水を聞き、慌ててデスクトップPCに2Tバイトの内蔵HDDを6000円で増設したとか、光学ドライブが壊れたのでオークションでDVDマルチドライブを買って1000円で修理完了した、といったことで知識はコストとして帰ってくることが多い。


 税金も同じで、入籍は年末にした方が年始より11万円お得、子作りを今月したら来月より20万円お得、退職日を来月に延期すると7万円お得、同じマンションで2008年入居の人より2009年に入居した自分は190万円お得――と、知識があれば得をする(=節税できる)可能性がある。会社の若い女性にチラッと税金の説明をすると「スゴ~イ」と言ってもらえる副産物があるかもしれないのが税金の知識だ。


 増税のニュースなどで「年収500万円、奥さんと小学生の子供が2人いる場合は900円の増税になります」といった説明を聞くことが多い。年収が異なれば税金の金額に差が付くし、同じ年収でも独身の人と子供がいる人では税金の金額が異なるため、このようにモデルケースを使って増税額を提示するのが一般的だ。だが、例となるモデルケースに当てはまらない「我が家は子供が1人だぞ」「俺は年収1000万円以上もらってるぞ」という人は自分自身の増税額が分からないままだ。


 税金を計算するプロセスを理解すれば自分の税金を計算できるようになる。子ども手当のための増税で2011年はどれくらい税額が増えたのか、復興増税で2012年の税金はどれだけ増えるのか、といったことが把握できるはずだ。


 まずは税金の金額を決める仕組みを解説しよう。税金を決める期間は1月から12月の1年間。サラリーマンも個人事業主もパートの主婦もアルバイトの学生も全て同じだ。サラリーマンは4月に入社し4月に昇給する人が多いが、年収は1月~12月の収入となる。パートの主婦が収入を103万円以下に抑えたいという場合も、1月から12月が対象期間となる。個人事業主は1月から12月の売り上げ、経費、利益などを計算し、3月までに確定申告をして納税する。


 税金の金額が個人個人で異なるのは、年収、家族構成などを反映するためだ。大学生の子供がいたり、祖父母と同居していると出費が多くなりがちなので、独身の人より税金を少なくしましょうという仕組みになっている。サラリーマンを例に挙げると以下のようになる。


 (1)給与の収入金額(年収)-給与所得控除=給与所得
 (2)給与所得-各種控除=課税所得
 (3)課税所得×税率=所得税

●給与所得控除って何?

 (1)の年収は手取りではなく税金、保険などを天引きする前の毎月の給与とボーナス。交通費は基本的に年収に入らない。給与所得控除はサラリーマンの年収から一定額を税金の対象から控除するもので、サラリーマン生活に必要な経費といわれている。給与所得控除の額は年収により下記の表から求められる。


表:給与などの収入金額(年収)と 給与所得控除額(http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1202/06/news045.html


 計算してみると、

・年収400万円の場合:400万円×20%+54万円=134万円(年収の34%)
・年収800万円の場合:800万円×10%+120万円=200万円(年収の25%)

 のように、かなりの額となる。一般的にスーツ代やスキルアップの費用(書籍、研修など)、自宅で仕事をするためのPC購入費用など示すが、年収400万円、手取り20万円の人が134万円=毎月11万円を仕事に使っているとは思えない。筆者は23年のサラリーマン時代はその存在を知らなかったが、独立してみるとうらやましい制度だ。前回の記事の高額所得者に対する増税はこの給与所得控除の上限を245万円にするというもので、年収1500万円以上の人が対象となる。


 給与所得控除は必要経費という側面以外に、翌年2月から3月の確定申告後に納税する自営業に対し、毎月納税するサラリーマンは早期納税となるため金利の調整という意味合い、さらに自営業者に比べて所得が正確に把握できるサラリーマンの不公平感をなくすためとも言われている。思わずそれって自営業者は所得をごまかすのが普通だと解釈していいのか、とつぶやいてしまう。


●各種控除は節税の最重要ポイント

 (2)給与所得-各種控除=課税所得の各種控除が、家族構成などの差を税金で補う部分だ。専業主婦や年収が103万円以下の妻がいると配偶者控除、高校生の子供がいると扶養控除、生命保険に入っていると生命保険料控除といった形で税金が少なくなる仕組みだ。平成23年(2011年)の主な控除は以下の通り。


表:控除名と金額、その概要(http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1202/06/news045.html


 実際の控除の例を独身の人と妻子持ちの人で比べてみよう。独身で生命保険に入っていない人が受ける控除は基礎控除の38万円のみ。これに対し、専業主婦の奥さん(控除額=38万円)と高校生の息子(同38万円)、65歳の母親(同38万円)がいて、生命保険を10万円以上支払って(同5万円)いると基礎控除(同38万円)を加えた157万円の控除が受けられる。所得により税率は異なるが、仮に税率が10%の場合、控除額に119万円の差があるので納税額は11万9000円の差となる。毎月1万円手取りが増える計算だ。それぞれの控除の内容も確認しておこう。


●配偶者控除が抱える「パートの年収103万円の壁」

 配偶者は一般的に妻を指すが、妻が稼いで旦那が専業主夫をしている場合は旦那が配偶者控除の対象となる。控除対象となる配偶者の条件は稼いで納税する人(納税者)と「生計を一にしている」こと、年間の所得が38万円以下であることなどがある。


 控除の要件でよく出てくる言葉が「生計を一にしている」だ。同居している場合はもちろん、自分自身が単身赴任している場合や地方の大学にいる息子も「生計を一にしている」として扱われる。要するに同じ財布で生活していれば、離れて住んでいても要件を満たしていることになる。


 年間の所得が38万円以下というのは、先ほどの式(1):給与の収入金額(年収)-給与所得控除=給与所得に出てきた給与所得控除後の金額が38万円以下という意味で、給与所得控除は最低65万円なので年収にすると103万円以下となる。


・103万円(年収)-65万円(給与所得控除)=38万円(年間の所得)


 よく言われる「103万円の壁」がこのことだ。パートの年収が103万円以下なら、まったく働いていない専業主婦と同じ扱いとなり、旦那は配偶者控除の38万円を受けられる。


●年収141万円までは対象となる配偶者特別控除

 一方、妻の収入が103万円(所得で38万円)を越えると配偶者控除がなくなり、旦那の税金が増えて実質はマイナスになるかというとそうでもない。103万円を越えると配偶者控除がなくなった代わりに配偶者特別控除という制度がある。妻の収入が103万円を越え徐々に増えても、141万円までは旦那の控除が徐々に減る仕組みだ。配偶者特別控除は旦那(控除を受ける納税者)の所得が1000万円以下(年収で約1230万円以下)という条件が新たに加わる。収入、所得、控除額は以下の表となる。


表:配偶者の収入と所得、控除額(年収141万円までは対象となる配偶者特別控除

 例えば妻の収入が113万円になった場合、配偶者特別控除は31万円。旦那の控除額が7万円減るので税率10%の旦那なら所得税は7000円増えることとなる。住民税の増税分を加えても9000円なので、妻の10万円分の働きがマイナスになることはない。妻の収入にも税金が掛かるようになるが、それでもマイナスになることはない。


 旦那の所得が1000万円を超えると話は別で、妻の年収が103万円を越えると38万円の控除がゼロになる。高額所得者である旦那は税率も23%となり所得税は9万円近く増えることとなる。


●子ども手当とは別にもらえる扶養控除

 扶養控除は配偶者以外の家族が対象となる。一般的には子供と親がいると受けられる控除で、生計を一にしていて所得が38万円以下(年収103万円以下)という条件が付く。控除額は38万円。平成23年(2011年)から条件が加わり12月31日の年齢が16歳以上(高校生以上)となった。2010年までは中学生以下も扶養控除の対象だったが、中学生以下は子ども手当を支給することとなったため、その財源として中学生以下の子供を持つ家庭(納税者)の扶養控除が廃止となり、増税している。


 大学生の子供がいる場合(19歳以上23歳未満)は特定扶養親族として25万加算され63万円の控除が受けられる。大学生がいるとお金が掛かるから税金をさらに減らしましょうということだ。これも2010年までは高校生、大学生が対象だったが、公立高校の授業料無償化の財源として高校生は対象外となり増税している。


 70歳以上は老人扶養親族として同居していると58万円の控除、別居だと48万円の控除となっている。これも高齢者の面倒をみるのは大変だろうということで控除額が上乗せしている。


●寡フ控除を受けられる2つの条件

 寡婦控除、寡夫控除はどちらも読み方が同じ「カフ」なので、まとめて寡フ控除と記載することもある。寡婦控除は夫と死別、離婚し再婚していない働く女性を支えるための控除で、控除額は27万円。対象は以下2つの条件のどちらかを満たしていること。


1.
夫と死別または離婚し、再婚をしていなくて所得38万円以下の扶養親族がいること。要するに旦那がいなくなって子供がいれば収入に関係なく控除対象となる。
2.
夫と死別し、再婚していなくて所得が500万円以下(年収で約690万円以下)。こちらは死別した場合は子供がいなくても所得が500万円以下であれば控除対象となる。さらに夫と死別、離婚した女性で子供がいる、所得が500万円以下の両方の条件を満たすと特定寡婦として35万円の控除が受けられる。


 寡夫控除は妻と死別、離婚し再婚していない男性が対象となるが条件はやや厳しくなる。(1)所得が500万円以下(2)所得38万円以下の子供がいること、の条件を満たしていると27万円の控除が受けられる。


●いろいろ天引きされている社会保険料の控除は?

 サラリーマンは税金以外に厚生年金、健康保険(40歳以上は介護保険も)、雇用保険も天引きされている。これらはまとめて社会保険と呼ばれ、支払った全額が控除の対象となる。自営業者が払う国民年金や国民健康保険も同じく社会保険だ。サラリーマンの社会保険は基本的には収入の一定の率で金額が決まるので年収の多い人ほど多くの社会保険を支払うことになる。


 厚生年金は4月~6月の給料を平均し、標準報酬月額表に当てはめて9月から翌年の8月まで同じ金額を支払う方式だ。4月~6月に残業が多い人は毎月天引きの厚生年金の額が多くなり、将来もらえる年金も多くなるということだ。厚生年金は毎年掛け率が上がり、2011年の8月までは16.058%で会社が半分負担するので、個人の負担は8.029%、2011年の9月から2012年の8月までは16.412%で個人負担は8.206%となっている。掛け率は2017年まで毎年上がり18.3%になることが今のところ決まっているが変更になる可能性もある。厚生年金基金に加入している場合や、坑内員・船員の場合は掛け率が少しことなっている。


 健康保険も4月~6月の給料を平均して保険料が決まる仕組みだが、都道府県ごとに保険料率は異なり東京都は9.48%、一番高いのは北海道の9.60%。一番低いのは長野県の9.39%となっている。これも会社が半分負担するので個人の負担は半分となる。40歳以上65歳未満の人は1.51%の介護保険料を加え折半した額を負担する。


 自営業者等が払う国民年金は年齢、収入に関係なく一定額となっている。逆に国民健康保険は住む市区町村で計算方式がまちまちで、実際の金額も市区町村で大きく異なり、同じモデルケースで計算すると50万円を越えるところもあれば、20万円以下のところもあり3倍以上の差があるといわれている。国民健康保険というより市民健康保険、村民健康保険と呼んだ方が正しいのが現状だ。


 雇用保険は毎月の給料に対し計算するので給料が変化すると保険料も変化する仕組みとなっている。保険料率の個人負担分は0.6%、会社の負担分は0.95%と低くなっている。業種により率は異なり農林水産、清酒製造、建設業はやや高めとなる。


 一般企業に勤めている人は厚生年金8.206%、健康保険4.74%(東京の場合)、雇用保険0.6%で合計13.546%が社会保険として天引きされている。年収500万円で約68万円と大きな負担となっている。大企業や業界団体に属している会社は独自運営の○○自動車健保組合などに属していることが多い。その場合は保険料率が独自のものとなっているので各自で調べていただきたい。


●生命保険料控除は最大5万円

 生命保険や個人年金保険を支払った場合は、控除対象となる。サラリーマンは年末調整で生命保険の支払証明を添付して書類を提出したはずだ。生命保険で最大5万円、個人年金保険でも最大5万円となっている。


 年に3万円の生命保険料を支払っていれば、3万÷2+1万2500円=2万7500円が控除額となり、税率10%なら所得税は2750円減る。自分の生命保険、医療保険、子供2人の学資保険など35万円の保険に入っていれば、10万円超なので5万円の控除となる。税率が20%なら所得税は1万円減る。


 生命保険控除は2012年から改正となり、平成24年(2012年)1月1日以降に契約した保険は新しいルールで控除を受けることとなる。従来は死亡保険などの生命保険と入院給付金などの医療保険は合算で計算しているが、新たに契約した保険は介護医療保険として別枠の控除対象となる。


 それぞれの上限額が5万円から4万円に引き下がり、合計額の上限は10万円から12万円に引き上がった。それぞれの計算式も下記の通り変更している。


 2012年新たに3万円の生命保険を契約すると、3万円÷2+1万円=2万5000円と控除額はやや少なくなる。自分の生命保険、子供の学資保険で計27万円、医療保険で8万円の合計35万円を新たに契約すると生命保険で4万円、医療保険で4万円の合計8万円の控除が付き、3万円控除額が増えることになる。


 2011年まで加入中の保険はそのまま従来の控除が継続するが、10年更新などで更新した場合は新しい控除方式に変更となる。


●控除の目安は年間医療費10万円以上

 その年の生計を一とする家族の医療費が合計で10万円を越えた場合、超えた金額が控除の対象となる。例えば自分の医療費が6万円、妻が3万円、子供が2万円で計11万円を支払っていれば、1万円の控除が受けられる。入院などがあると10万円を越えそうな気がするが、実際にはそうでもない。


 入院などで高額な医療費を支払った場合、健康保険の高額療養費や生命保険の入院給付金で支払われた金額を差し引く必要がある。例えば2週間の入院で15万円を支払ったとしよう。健康保険の高額療養費で6万8000円、日額5000円の医療保険で7万円を穴埋めすると、15万円の入院費からそれらを引いて残った1万2000円が対象となり、年間の医療費が一気に増大することはない。


 控除額は最高で200万円、所得が200万未満の人は医療費から引く10万円の部分が所得の5%となるので、年収300万円以下の人はややハードルが低くなる。


●課税所得と税率で決まる所得税

 年収から給与所得控除、各種控除を引いた課税所得に対し税率を掛けると実際に払う(納める)所得税の金額が決まる。それが課税所得×税率=所得税だ。所得税は累進課税方式となっていて、課税所得の金額に応じて6段階に分かれている。


 課税所得が増えると税率が上がる仕組みだが、各段階の税率は下の段階を超えた部分にのみ適用となる。例えば課税所得が200万円の場合、200万円全てに10%の税率が掛かるのではなく195万円は5%の税率、残りの5万円は10%の税率が掛かる仕組みだ。


 課税所得200万円の場合は、

・195万円×5%=9万7500円
・5万円×10%=5000円
・所得税=9万7500円+5000円=10万2500円

 課税所得400万円の場合は、

・195万円×5%=9万7500円
・(330-195=135万円)×10%=13万5000円
・(400-330=70万円)×20%=14万円
・所得税=9万7500円+13万5000円+14万円=372万5000円

 先ほど紹介した6段階の税率表の控除額は、簡単に計算するための金額で下記の式で税額を計算できる。


・課税所得×税率-控除額=所得税

 課税所得200万円の場合は200万円×10%-9万7500円=10万2500円。課税所得400万円の場合は400万円×20%-42万7500円=372万5000円だ。


 もう一度、冒頭に紹介した3つの式を確認してみよう。

 (1)給与の収入金額(年収)-給与所得控除=給与所得
 (2)給与所得-各種控除=課税所得
 (3)課税所得×税率=所得税

 この中で(1)の給与所得控除と(3)の税率は誰でも共通だ。異なる部分の年収と控除が分かれば税額を正確に把握できる。


 では実際の例で計算してみよう。対象は平成23年(2011年)の1年間。計算の中で本来は厚生年金、健康保険は実際には4月から6月の平均給与から導き出すが、ここでは年収に料率を掛けている。各料率は1月から9月と天引きする期間の長い平成22年の料率を使用し、1000円単位で数値はまるめている。


●年収440万円、独身、生命保険なしの場合

 年収440万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

・440万円×20%+54万円=142万円

 次は各種控除だが、社会保険は約58万5000円。独身で生命保険に入っていなければ他には基礎控除の38万円だけとなる。(1)(2)に当てはめると、


 (1)年収440万円-給与所得控除142万円=給与所得298万円
 (2)給与所得298万円-各種控除(社会保険控除58万5000円+基礎控除38万円)=課税所得201万5000円


 課税所得が201万5000円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。


・201万5000円×10%-9万7500円=10万4000円


 となる。この所得税は2011年の1月から毎月天引きとなり、12月の給料が決まり、年収が確定するので年末調整により正しい所得税の納税が完了する。1年間の結果は給与封筒に入っていた源泉徴収票という小さな紙に記載してある。


 このケースの源泉徴収票を見てみよう。「支払金額」の覧が年収の440万円。源泉徴収票は分かりにくく作られていて青字の給与所得控除を理解していないと「給与所得控除後の金額」298万円が導き出せない。同様にどこにも記載していない基礎控除の38万円と「社会保険料等の金額」58万5000円を足した金額が「所得控除の額の合計額」96万5000円となる。さらに不親切なことに298万円から96万5000円を引いた課税所得201万5000円(赤字)も記載がない。課税所得に税率を掛けた金額が10万4000円となる。


●年収520万円、専業主婦の妻と小学生の子供1人、生命保険料3万5000円の場合


 年収520万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

・520万円×20%+54万円=158万円

 各種控除は社会保険が約69万円。基礎控除の38万円と妻がいるので配偶者控除が38万円、子供は中学生以下なので扶養控除が廃止され控除なし、生命保険を3万5000円支払ったので以下の式から3万円となる。


 これらの金額を(1)(2)に当てはめると、

 (1)年収520万円-給与所得控除158万円=給与所得362万円
 (2)給与所得362万円-各種控除(社会保険控除69万円+基礎控除38万円+配偶者控除38万円+生命保険料控除3万円)=課税所得214万円


 課税所得が214万円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。


・214万円×10%-9万7500円=11万6500円

 結婚して配偶者控除が受けられることで、先ほどの独身の人より年収は60万円多いが、所得税は1万円弱しか増えていない。さらに子供がいることで子ども手当が支給となる。ちなみに同じ条件で平成22年(2010年)の所得税を計算すると、小学生の子供の扶養控除38万円が加わるので課税所得は176万円に減り、所得税は8万8000円となる。


 このケースも源泉徴収票を見てみよう。大きな違いは「控除対象配偶者の有無等」の有の欄に*が記されたことと、「生命保険料の控除額」に3万円と記載している個所だ。それ以外は基本的に同じで「支払金額」の覧が年収の520万円。「給与所得控除後の金額」に362万円。基礎控除の38万円、配偶者控除の38万円、社会保険控除の69万円、生命保険料控除の3万円を足した148万円が「所得控除の額の合計額」に記載してある。


●年収850万円、妻の年収120万円、高校生と大学生の子供、生命保険料10万円以上の場合


 年収850万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

・850万円×10%+12万円=205万円

 各種控除は社会保険が約113万円。基礎控除の38万円と妻の年収が120万円なので以下の表から配偶者特別控除が21万円、高校生の38万円と大学生の63万円、生命保険料は10万円以上なので5万円となる。


 これらの金額を(1)(2)に当てはめると、

 (1)年収850万円-給与所得控除205万円=給与所得645万円

 (2)給与所得645万円-各種控除(社会保険控除113万円+基礎控除38万円+配偶者特別控除21万円+扶養控除38万円+特定扶養控除63万円+生命保険料控除5万円)=課税所得367万円


 課税所得が367万円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。


・367万円×20%-42万7500円=30万6500円

 源泉徴収票を見ると「配偶者特別控除の額」が記入され、「扶養親族の数」の特定に1、その他に1が加わっている。


 以上の例を参考に自身の源泉徴収票を確認し、順番に計算していけば所得税の仕組みが理解できると思う。



新聞 誠 Biz.IDより
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1202/06/news045.html