「病があったり、不運のときには、より一層、心を積極的にするように努力しなさい」ーー中村天風は、常に積極的に思考・行動することを弟子たちに教えていました。
「たとえどんなに宝の充満している金庫があっても、これを開く鍵がなければ、中の宝は結局ないのと同じことである。
つまり、心一つの置きどころ、積極か消極かというだけで、人生の幸福の宝庫が開かれるかどうかが決まってしまう」(『運命を拓く』講談社文庫)
しかし天風は、積極だけを良しとして、消極を一切認めていないかというと、決してそうではありません。
積極思考やプラス思考は、一般的な成功哲学でもよく提示されるキーワードですが、天風は「積極」という言葉に、次のようにより深い意味を込めています。
「絶対積極」とはどういうことか。たとえば「負けるものか」「よしやってやろう」という積極とはひと味違っている。マイナスになりがちな心を、プラスにしようと鼓舞する積極はもちろん必要だ。
だが、まだまだ本物の積極ではない。相対的な積極である。
本当に心が積極的になると、プラス・マイナスを超えた泰然自若の境地に至る。これが絶対積極だ。(『中村天風 怒らない 恐れない 悲しまない』池田光著 三笠書房)
最初の段階では、消極に陥らないように、常に積極思考を心がけるという意識的な努力が必要なのでしょう。
しかしいずれは、そうした努力さえ不必要になり、心が自然のままで積極的な状態になるということ。
つまり目標・到達点としての絶対積極と、そこに至る過程での方法論としての積極思考と、天風のいう「積極」には大きく2つの意味があるようです。
マイナスを否定するプラスではなく、マイナスをも包み込むようなプラスというコンセプトは、まさに陽転思考と共通する考え方です。
生きている限り私たちはいろいろな問題に遭遇しますが、一見マイナスに思えることも、より大きなプラスに至るためのプロセスの一つであると受け止めるのが陽転思考です。
天風の教えに従えば、そもそも生きているということが宇宙に肯定されている証明であり、プラスであり、希望にあふれているということです。
絶対積極とは、何があろうと、とにかく自分の存在を肯定すること、なのかもしれません。
┌────────────┤おすすめ├┐
□書籍のご紹介
『中村天風 怒らない 恐れない 悲しまない』
池田光著
└──────────────────┘
