アップルを創業し、たった一代で世界最高の企業へと育て上げた天才経営者・スティーブジョブズ。
しかし、部下の気持ちを理解し、励まし、モチベーションを高めて、目標に向かわせるーーそういった模範的な経営者像とは、ジョブズは対極にありました。
実際、彼の強引なまでのリーダーシップは、たくさんの人を傷つけ、悩ませてきました。
結果が思わしくなければ、部下を慰労するどころか、努力を認めず、逆に度を越したひどい言葉を浴びせて罵るということが、ジョブズの常でした。
「他人を傷つける言葉を抑えるフィルターがジョブズにはないのか、それとも、フィルターを外しているのか、どちらなのか家族さえもはかりかねている。
本人にぶつけてみたところ、前者だとの回答が返ってきた。『僕はそういう人間なんだ。違う人間になれと言われても無理だよ』」(『スティーブ・ジョブズ』ウォルター・アイザックソン著 より)
しかし同時に、ジョブズは、部下の力を最大限に引き出すことのできる稀有なリーダーでもありました。
「他人を傷つけないように気を使う優しくて礼儀正しいリーダーは、無理やり変化させる力が弱い。
ジョブズがさんざんひどい目に合わせた何十人もの同僚に話を聞いたが、彼のおかげで、それまでできると考えもしなかったことができたと、皆、判で押したように、悲惨な体験談を締めくくるのだ」(同)
経営者としては数々の問題を抱えていたジョブズが、なぜあれほどまでに成功できたのか。これまでさまざまな分析がなされていますが、陽転思考的観点からは、少なくとも次の2点が挙げられます。
まず、並はずれたイメージ力の強さと、それを周囲の人に伝達し、浸透させる力です。
ジョブズの頭の中では、新しい製品と、それによって引き起こされるであろうイノベーションが「こうあるべき形」として強烈にイメージされていました。
そしてそれは組織内において共有され、向かうべきビジョンとなるのです。
その浸透力、伝播力は、一般消費者をも同じ夢の中に巻き込んでしまうほど、強力なものでした。「MACフリーク」「アップル信者」という言葉が、それを象徴しています。
ジョブズが描いた夢は、まるで感染力が極めて強いウイルスのようです。
次回は、もう一つのポイントである「自己肯定感」について考えてみましょう。
┌────────────┤おすすめ├┐
□書籍のご紹介
『スティーブ・ジョブズ I』
『スティーブ・ジョブズ II』
ウォルター・アイザックソン著
└──────────────────┘
