先回紹介したように孫正義はアメリカの高校を飛び級で進級し、さらに卒業前でも大学を受験する資格の取得に挑戦しています。
「検定試験は1日2科目、3日間にわたって行われた。孫は配られた問題を見て愕然となった。日本とはまるっきり違う。机の上にドサッと問題が置かれた。
ふつうの学生なら、この量だけでもおじけづくだろう。枚数だけで数十ページもある」(『志高く 孫正義正伝』)
それはアメリカ人が受ける試験と同じもので、問題の難しさ以上に孫には語学上の大きなハンデがありました。
それで孫は試験官に辞書の使用と時間の延長を申し出ます。試験官としては当然そんな突然の例外措置を認めることはできません。
普通の人なら、そこで諦めてしまうことでしょう。いや、そもそもそういう要求をすることさえしないかもしれません。
しかし孫は自ら職員室に赴き、直談判を始めます。
もとより「国語」としての読解力は問われても、英語力を試す試験ではありません。英語の単語を知っているかどうかではなく、真の学力や思考力を評価すべきである
ーーおそらくそんな感じのことを、職員室の教員たちに向かって堂々と主張したのでしょう。
そしてその言葉は、フェアであることを重視するアメリカ人の心を動かしたのです。
教育委員会に電話で確認すると、その電話先の相手にも孫の熱意は伝わり、ついに特例が許可されたのでした。
スティーブ・ジョブズと同じように、孫もプレゼンの巧みさには定評がありますが、その能力は既にこの時にも発揮されていたようです。
既存の制度に熱意と理論で立ち向かい、なんとかして改革させてしまうということも、やはりこの頃から培われてきたのでしょう。
一般の学生が午後3時で試験を終えて帰るなか、孫はなんと3日間続けて深夜に至るまで朦朧(もうろう)とする頭で問題と格闘します。そして見事、合格を勝ち取ったのです。
その結果、何もアピールせずに状況をそのまま受け入れていたら3年かかるところを、ハードルを一気に上げて挑戦することで、孫のアメリカでの高校生活はたった3週間で終わることになるのです。
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□書籍のご紹介
『孫正義名語録 情熱篇』
志を実現させるための心得50
三木雄信著
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