[コレステロール薬「スタチン」飲むと、糖尿病1.5倍に増加、
フィンランドの研究報告]
(Medエッジ 2015年5月2日)
<年齢、BMI、運動、喫煙などの条件で調整して関連を確認>
コレステロールの薬として幅広く飲まれている薬「スタチン」を飲むと、
糖尿病になるリスクが1.5倍近くに高まるという結果が出ている。
フィンランドの研究グループが、糖尿病の専門誌であるダイアベトロジア誌
2015年5月号で報告した。
<もともと関係には指摘あり>
スタチンは血液中の「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールを下げるために
使われる薬。
研究グループによると、これまでも糖尿病発症リスクの上昇はスタチン服用と
関係があるという指摘があった。
指摘の内容としては、心臓や血管の病気のリスクの高い人を対象として調べて
糖尿病が増えたというもの、あるいは自己報告による糖尿病が増えた、空腹の
ときの血糖値が高まったといったものだった。
「糖尿病になった人を確実にとらえきれていない可能性があり、過小評価が
生じているかもしれない」と説明している。
今回の研究は、8749人の糖尿病でない45~73歳の男性を対象として、
メタボリックシンドロームの発症について6年間追跡調査したもの。
2型糖尿病のリスクと血糖値コントロールの低下とスタチンと関係についても
検証している。
<血糖値の下がりやすさに影響>
結果として、対象者のうち新たに糖尿病と診断されたのは625人だった。
スタチン服用者は服用していない人に比べ、糖尿病発症の可能性が46%高く
なっていた。
スタチンを服用すると、食後2時間の血糖値、空腹時の血糖値の実測値の
平均が上昇していた。
統計学的に分析したところ、意味のある差であると判定できた。
血糖値の下がりやすさ「インスリン感受性」は24%低下し、インスリン分泌に
ついては12%低下していた。
研究グループは、スタチンを飲むと糖尿病のリスクが高まる結果について、
インスリン感受性とインスリン分泌が低下するためと指摘している。
脂質異常症でスタチンを飲む人は日本にも多く、気をつけると良いかも
しれない。
http://www.mededge.jp/a/hcgo/12461