[ストックホルム症候群]
(Wikipedia)
ストックホルム症候群とは、精神医学用語の1つで、誘拐事件や監禁事件
などの犯罪被害者が、犯人と長時間過ごすことで、犯人に対して過度の同情や
好意等を抱くことをいう。
<概要>
1973年8月、ストックホルムにおいて発生した銀行強盗人質立てこもり事件
(ノルマルム広場強盗事件)において、人質解放後の捜査で、犯人が寝ている
間に人質が警察に銃を向けるなど、人質が犯人に協力して警察に敵対する
行動を取っていたことが判明した。
また、解放後も人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行ったことなど
から名付けられた。
この問題を調査したフランク・オックバーグ 博士は、FBIとイギリス警察に、
次のように報告した。
「人は、突然に事件に巻き込まれて人質となる。そして、死ぬかもしれないと
覚悟する。犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態に
なる。犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可をもらったりする。
そして、犯人の小さな親切に対して、感謝の念が生じる。犯人に対して、
好意的な印象を持つようになる。犯人も、人質に対する見方を変える」
犯人と人質が閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより高い
レベルで共感し、犯人達の心情や事件を起こさざるを得ない理由を聞くと
それに同情したりして、人質が犯人に信頼や愛情を感じるようになる。
また「警察が突入すれば人質は全員殺害する」となれば、人質は警察が突入
すると身の危険が生じるので突入を望まない。ゆえに人質を保護する側にある
警察を敵視する心理に陥る。
オーストリア少女監禁事件の被害者ナターシャ・カンプッシュは、2010年の
『ガーディアン』のインタビューで次のように述べている。
「被害者に、ストックホルム症候群という病名を付けることには反対する。
これは病気ではなく、特殊な状況に陥った時の合理的な判断に由来する状態で
ある。自分を誘拐した犯人の主張に、自分を適合させるのは、むしろ当然で
ある。共感やコミュニケーションを行って、犯罪行為に正当性を見い出そうと
するのは、病気ではなく、生き残るための当然の戦略である」