アルツハイマー病と料理の味付けの関係 | アクティブエイジング アンチエイジング

[アルツハイマー病と料理の味付けの関係 ・・・ひょっとして認知症?]

(朝日新聞  2011年7月28日)(笠間 睦 先生)


<料理の段取りは難しい>


<「コンバート率」と「リバート率」(その2)>
この問題に関して、実行機能障害(遂行機能障害)を例にとって具体的に
説明してみましょう。

実行機能障害(遂行機能障害)が生じてくると、目的をもった行動や動作の
遂行が困難な状態となり、料理・掃除・仕事・後片付けなどの「段取り」が
悪くなります。

八千代病院(愛知県安城市)神経内科部長の川畑信也医師が軽度アルツ
ハイマー病患者さん72名(MMSEが20点以上に該当)で調査した結果に
よれば、「軽度アルツハイマー病患者さんにみられる実行機能障害」
ベスト5は以下のものでした。
     (物忘れ外来ハンドブック 中外医学社, 東京, 2007, pp44-46)

(1)伝言を正確に書いて伝えられない        : 74.6%
(2)余暇活動や趣味に関心がなくなってきた        : 63.8%
(3)適切な交通手段をきちんととれない        : 57.4%
(4)適切な品物を買って店から戻れない        : 51.5%
(5)薬を自分から飲もうとしない            : 50.0%
(6)以前行っていた家事をきちんとこなせなくなった : 50.0%

(6)の「家事」の中で、料理に関する話は、ご家族がよく訴える症状です。

料理という実行機能は、献立を考え、必要な食材を考え買い物し、調理して
味付けを吟味し盛りつけるという多くの過程を必要とします。

アルツハイマー病患者さんにおいて料理の味付けが変化することは、シリーズ
第9回『認知症に4つの危険因子』でもご紹介しております。


川畑信也医師は、「認知症に罹患している患者さんが作る料理は、以前に
比べて味が濃くなってくる、辛くなってくることが多い。これは、患者さんの
味覚が鈍麻してくることと記憶障害のために不必要に調味料を加えたり煮込み
すぎる傾向からと思われる。以前は多くの種類の料理ができたのにできる
料理の数が減ってきたときも危険信号である。この料理の問題は比較的
早期から家族が気づく行動の変化といえる。」と指摘しています。






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