柑橘類で味覚変わる? 紀伊のサル、苦味OK | アクティブエイジング アンチエイジング

[かんきつ類で味覚変わる?紀伊のサル、苦味OK]

(読売新聞  2011年7月27日)


紀伊のサルは苦い食べ物も大丈夫——。

和歌山県や三重県など紀伊半島に生息するニホンザルの一部は、苦味を感じる
遺伝子が変異し、かんきつ類などの苦味を感じないことを、京都大霊長類
研究所の今井啓雄准教授と大学院生鈴木南美さんらが発見した。
周囲の食べ物が味覚に地域差をもたらした可能性があるという。

30日に京都市で開かれる日本進化学会で発表する。


動物の苦味感覚は、毒物に対する防御機構として備わり、人間やサルでは
約25種類の遺伝子が様々な苦味のセンサーになっている。


研究グループは、苦味感覚の進化を探るため、宮城県から鹿児島県まで全国
約20地域に生息するサル計約400匹の遺伝子を調査。
その結果、紀伊半島にすむサル集団の約3割から「TAS2R38」という
遺伝子の機能変異が見つかった。

他の地域のサルにはこのような変異が全くなかった。


この遺伝子には、かんきつ類やアブラナ(菜の花)などに含まれる特定の
苦味物質を検知する機能がある。
餌にこの苦味物質を塗って与える実験をしたところ、普通のサルは一切
食べなかったが、変異があるサルは完食した。


今井准教授は、変異によって、自生するタチバナなどのかんきつ類の苦い実を
食べられるサルが100年以上前に現れたと推測。
栄養価が高い実を餌にすることで、子孫が増えた可能性があるという。






http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110727-00000657-yom-sci