[ピロリ菌にぜんそく予防効果=幼少期の投与で—筑波大]
(時事通信 2010年12月14日)
ピロリ菌が作り出すコレステロールを幼少期に投与すれば、気管支ぜんそくの
予防に効果があることを、筑波大の島村道夫研究員らのグループがマウスの
実験で発見した。
花粉症やアトピー性皮膚炎など、発症メカニズムが同じアレルギー性疾患
全般に効果が期待できるという。
米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に
14日掲載された。
研究グループは、幼少期に感染症の原因となる細菌やウイルスにさらされる
機会が少ないと、成長後にアレルギー性疾患にかかりやすいという「衛生
仮説」に着目。
実験では、新生マウスにピロリ菌が作るコレステロール「コレステリルアシル
グルコシド(ChAcG)」を投与。
成長後、ぜんそくを起こす物質に触れさせ、気道の炎症をみたところ、
ChAcGを投与しなかったマウスだけが重症化した。
投与したマウスは、炎症の原因となる白血球の値が、投与しなかったマウスの
約4分の1だった。
島村研究員によると、ChAcGの投与で免疫細胞「NKT細胞」が活性化。
幼少期にウイルスや菌に触れることで免疫細胞が正常に発達し、成長後
アレルギーになりにくい免疫系が形成されると考えられるという。
島村研究員は「大人になると免疫系が固まって改善が見込まれないが、幼少期
での投与は効果的。近い将来、実用的な予防薬を作ることが可能だ」として
いる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101214-00000008-jij-soci