[心筋梗塞、マグネシウムでリスク減]
(家庭の医学 2017年12月11日)
<大豆や海藻を意識してとろう>
国立がん研究センターなどの研究発表によると、マグネシウムを多く摂取した
グループのほうが摂取しないグループよりも心臓病を起こすリスクが約3割
低いことがわかりました。
しかし、1日の摂取量は減少傾向にあります。
大豆製品や魚、海藻など多くの食材に含まれるマグネシウムを上手に食卓に
採り入れるには?
国立がん研究センターや国立循環器病研究センターが発表したこの研究
結果は、1995年と1998年に45~74歳だった男女8万5000人を、約15年に
わたって大規模に追跡調査したものです。
日々の食事を調べてマグネシウムの摂取量をもとに5つのグループに分けて
比較したところ、男性では、食事からのマグネシウム摂取量が最も多い
グループが最も少ないグループに比べて狭心症や心筋梗塞などの「虚血性
心疾患」の発症リスクが34%低いという結果になりました。
女性では中間~多い群ではリスクが低くなり、3番目に多く摂取している
グループが最も少ないグループに比べて39%低いという結果でした。
同時にマグネシウム摂取量と「脳血管障害」との関係を調べたところ、
関連性は見いだせなかったとのことです。
マグネシウムはミネラルの一種で、多くは(60~65%)骨に存在して
います。
300種類以上の酵素反応の補助をしているので、ほぼすべての代謝反応や合成
などに関与しています。
また、カルシウムと密接につながり、骨の弾性維持など骨の健康にも
かかわり、神経伝達や筋収縮などにも必要な物質です。
「日本人の食事摂取基準 2015年版」では1日の推奨量は、30~40代男性で
370mg、30~40代女性で290mgとされています。
それに対して推定摂取量は2016年の国民健康・栄養調査では40代男性で
240mg、40代女性で210mgと、男女とも、不足気味といわざるを得ない状況
です。
マグネシウムの摂取量は年々減少傾向にあって、2001年の国民健康・栄養
調査の結果と比べると男性も女性も約40mg減になっています。
マグネシウムの不足は、血圧を上げ、血糖の代謝を低下させて、動脈硬化を
促進してしまいます。
動脈硬化は、心臓をはじめ全身の血管障害のリスクを高めてしまいます。
骨粗しょう症の誘因にもなります。
マグネシウムは、魚介類(さくらえび、丸干しイワシ、牡蠣など)、野菜
(ホウレンソウ、モロヘイヤなど)、大豆製品(納豆、豆腐など)、種実類
(落花生、アーモンドなど)、海藻類(ひじき、わかめなど)といった、
さまざまな食材に含まれています。
バランスよくメニューに取り入れれば、摂取しやすい栄養素のはずです。
早速今日から、野菜、大豆製品、海藻類などを少し意識して、増やしてみては
いかがでしょうか。
食事以外のサプリメントなどで摂取する場合は、成人350mg/日を上限量と
設定されています。
過剰にとり過ぎると下痢などを起こす可能性もあるので、毎日の食事での
補充を中心に考えてください。
(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳)
http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/124877/