ドーパミンのスイッチをオフにすると、記憶がうまく定着される | アクティブエイジング アンチエイジング

[覚えたければいったん寝よう!?
        深い睡眠は遠回りのようで早道、ある一つの仕組みを特定]

(Medエッジ  2015年6月28日)


<「記憶」と「忘却」は背中合わせ>
眠ると記憶が定着すると言われることがあるが、そのメカニズムの背景にある
重要な仕組みが確認されたようだ。

世界トップクラスの科学誌でこのたび報告されたものだ。



<スイッチのオンとオフ>
米国有力研究所スクリプス研究所のロン・デイビス氏らの研究グループが、
有力医学誌であるセル誌において2015年6月11日に報告している。

ある重要な仕組みとして浮上したのは、脳内麻薬と呼ばれる「ドーパミン」の
働きだ。
記憶とも関係すると知られていた。
忘却との関わりも知られているようだ。


研究グループのこのたびの検証によると、このドーパミンに関係して、
ドーパミンの働きの強弱が記憶や忘却に関係していると分かった。
例えば、ドーパミンの働きのスイッチのオフにすると、記憶がうまく定着
されるようなのだ。



<記憶を保つ仕組み>
より具体的には、ドーパミンと記憶と忘却との関係を調べるために、まず、
睡眠薬や神経の睡眠に関係した遺伝子を活発にして睡眠時間を増やしている。この場合に、ドーパミンによる信号伝達の働きが低くなった。
働きが低下することで、記憶が保たれると分かった。

逆に、覚せいした状態になると、ドーパミンの信号伝達が刺激されて働きが
高まった。
この場合はむしろ物事を忘れるような働きが加速していた。



<覚えるときには神経細胞の反応が弱く>
さらに、睡眠がより深いレベルになると、刺激に対するドーパミンの神経
細胞の反応が低くなっていき、記憶がより安定するとも分かった。
いったん神経細胞の反応を弱めることが、新しい物事を記憶していくのは
重要というわけだ。

「睡眠が新しい記憶を守る方法は、記憶を忘れさせる働きがあるドーパミンの
神経細胞の働きを抑えること」と研究グループは指摘する。


今回の報告でなくとも、人は物事を記憶すると同時に忘れているという報告も
出ている。
記憶と忘却は背中合わせで働いていると見られる。
つなぐものは脳内麻薬ドーパミンなのかもしれない。

何かを覚えようとするときには、いったん寝るというのが遠回りのようで
早道なのかもしれない。





http://www.mededge.jp/b/heal/15081