[一般的な胃薬で脳卒中リスクが上昇する可能性]
(HealthDay News 2016年11月15日)
プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃薬により、脳卒中リスクが高まる
可能性があるとの研究結果が、米ニューオーリンズで開催された米国心臓協会
(AHA)年次集会で発表された。
デンマーク心臓財団(コペンハーゲン)のThomas Sehested氏らの研究。
研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなさ
れる。
Sehested氏らは、平均年齢57歳のデンマーク人患者約24万5,000人の記録を
分析。
全ての対象者が、胃痛と消化不良の原因を特定するための内視鏡検査を受けて
いた。
約6年間の追跡期間中、約9,500人に初回の脳梗塞が発生した。
オメプラゾール、エソメプラゾール、 ランソプラゾール、pantoprazoleの
いずれかを服用時に、脳卒中が起こるかどうかを調べた。
ファモチジンなどのH2拮抗薬という制酸剤の服用についても確認した。
研究の結果、PPIにより全体的な脳卒中リスクが21%高まったが、低用量の
PPIを服用した人の脳卒中リスクは高くなく、最大用量の場合はリスクが最大
だった。
リスクの上昇度はPPIの種類にも左右され、最大用量での脳卒中リスクは
ランプラゾールの30%からpantoprazoleの94%まで幅があった。
PPIではリスクが上昇したがH2拮抗薬では上昇せず、他のリスク因子で
調整後も変わらなかった。
ただし、今回の研究ではそのデザインから、これらの薬剤と脳卒中リスク
上昇との直接的な因果関係は確立できず、関連性を示したに過ぎない。
Sehested氏は「PPIは血管維持に重要な生化学物質の濃度を低減する可能性が
ある」と述べている。
http://healthdayjapan.com/2016/11/24/14254/