[精子の機能を左右するミネラル「亜鉛」]
(Medエッジ 2014年8月8日)
<男性の生殖能との関係をイタリアの研究グループが解析>
亜鉛はトタンのメッキに使われる金属だが、体にとっても大切な役割を持って
いる。
精子の機能と深く関わると、イタリアの研究グループが解析して報告した。
この6月に生殖医療の国際的医学誌であるヒューマン・リプロダクション誌で
発表している。
<「オタマジャクシ」になるための亜鉛>
イタリア・パドバ大学の研究グループは、オタマジャクシのような形をした
精子に成熟するまでの過程で亜鉛がどのような役割を果たしているかを
調べた。
精子は精巣で作られて、精巣上体と呼ばれる場所で成熟して、射精される。
精子は、成熟する間に亜鉛を取り込んだり、亜鉛を排出したりしており、
その状況から亜鉛の必要度を推定した。
調べたのは、亜鉛を精子の内部と外部から出し入れするタンパク質だ。
精子の内部から外部への亜鉛排出に関係するタンパク質「ZnT」と、精子の
外部から内部への亜鉛取り込みに関係するタンパク質「Zip」だ。
この結果、精巣で精子に成熟する前の段階では、精子に亜鉛取り込みに関わる
タンパク質であるZipが多く、成熟が進んだ精巣上体の段階では亜鉛排出に
関わるZnTが多くなっていた。
亜鉛の含有量を調べると、精巣と精巣上体の中の精子は、射精した後の
精液内の亜鉛と比べると20分の1~3分の1となっていた。
射精した後の精液内の精子の動きの良さと卵子と接触した時に融合を始める
先体反応は亜鉛が減っていると起こりやすいと分かった。
妊娠のしやすさに亜鉛がどのように関わるか今後さらに検証する必要はある
ものの、精子の機能と亜鉛が密接に関わることは確かでありそうだ。
http://www.mededge.jp/a/xyst/673