魚油(DHA)は加齢黄斑変性や脳梗塞を防止 | アクティブエイジング アンチエイジング

[魚の油から作られる成分、失明や脳梗塞を防止、遺伝子の相互作用を解明]

(Medエッジ  2015年2月24日)


<細胞の生死を決定する「ニューロプロテクチンD1」>
なにげなく食べている寿司や刺身にも関係するかもしれない話だ。

魚の油は、頭を良くするなどと言われることもあるが、実際、魚の油から
生まれる成分が脳のダメージを抑え込むようだ。
視力低下や脳の血管が詰まる脳梗塞に効果を発揮すると見られている。



<魚の油から作られるもの>
米国ルイジアナ州立大学医学部の研究グループが、細胞および分子生物学の
専門誌セル・デス&ディファレンシエーション誌のオンライン版で2015年
1月30日に報告した。

研究グループが注目したのは、魚の油に含まれている「ドコサヘキサエン酸
(DHA)」。
体内で「ニューロプロテクチンD1(NPD1)」という物質に変えられる。

研究グループはニューロプロテクチンD1が神経細胞の変化、脳梗塞といった
病気で細胞保護の効果があるという基礎的な研究結果を得ていた。

今回は2つの遺伝子に働きかけて、ダメージを抑え込むというメカニズムまで
解明した。



<加齢黄斑変性と脳梗塞でどう働く?>
研究グループは、失明と脳梗塞の状態を人工的に作り出して検証している。

失明については、加齢黄斑変性という病気で検証している。
加齢に伴って目の内部にある「黄斑部」と呼ばれる場所で「網膜色素上皮」を
構成する細胞が壊される病気だ。
失明の主な原因になっている。

研究グループは、人間の網膜色素上皮の細胞と脳梗塞の影響を受けた細胞を
対象として、ニューロプロテクチンD1の機能を調べていった。



<細胞死を防ぐ>
ニューロプロテクチンD1は、2つの遺伝子の相互作用を促して、細胞の
生死に影響を及ぼしていた。

ニューロプロテクチンD1は「cREL」と呼ばれる転写因子の合成を促し、
「BIRC3」という細胞死を防ぐ「抗アポトーシス(細胞死)関連遺伝子」の
発現を増やしていた。

細胞では、遺伝子の遺伝情報に基づいてタンパク質が作られている。
ニューロプロテクチンD1を起点として、細胞死を防ぐ作用のあるタンパク
質が作られていたわけだ。

網膜と脳では必要に応じてニューロプロテクチンD1が作られるようになって
いた。



<DHAから神経の回復につながる>
病気やけがで必要に応じてこのネットワークが起動する。



今回の研究では、動物実験で人工的に脳梗塞を起こしたときに、DHAから
ニューロプロテクチンD1が作られると、神経の回復が促進される減少を確認
している。
加齢による視力喪失、脳梗塞からの回復を助ける薬への可能性が開けるかも
しれない。

 




http://www.mededge.jp/b/tech/9293