知的障害、神経が早く発達し過ぎる 遺伝子「Syngap1」の突然変異 | アクティブエイジング アンチエイジング

[知的障害、神経が早く発達し過ぎる、
        背景には遺伝子の突然変異と脳の特定のタンパク質不足]

(Medエッジ  2015年2月14日)


<遺伝子「Syngap1」の突然変異による影響を解明>
知的障害は、親からの遺伝ではなく、遺伝子の突然変異が原因である場合が
多い。

このたびその異常の背景に神経細胞が早く発達しすぎるという問題があると
分かった。
薬によって解消できる可能性もあるようだ。



<タンパク質が足りなくなる>
世界的に有名な生物化学研究所である米国のスクリプス研究所を含む研究
グループが、精神分野ではトップクラスの医学誌であるバイオロジカル・
サイカイアトリーのオンライン版で2014年8月13日に報告したものだ。

知的障害は、親が必ずしも知的障害の遺伝子を持っているというわけでは
ない。

背景にある最も多い原因の1つが「Syngap1」という遺伝子の突然変異。
発達の過程で遺伝子に変化が起きるものだ。
結果として、この遺伝子に基づいて作られるはずのタンパク質の量が不足する
のが問題になる。

研究グループによると、世界的には数万人で問題になっているという。

今回、研究グループは、Syngap1遺伝子の突然変異があると脳の発達にどの
ような影響が及ぶかを検証している。
ネズミによる動物実験だ。



<神経細胞が早く発達しすぎる>
その結果、突然変異があると、神経細胞(ニューロン)の成長の重要な
時期に、脳の表面にあって神経細胞の多い皮質という場所で神経細胞が早く
発達しすぎると分かった。
結果的に特定のニューロン回路の形成が早くなり過ぎてしまう。
脳内のネットワークを作る上でエラーが発生しやすくなっていた。

さらに、逆にSyngap1の遺伝子に基づいて作られるタンパク質を増やした
ところ、神経細胞の発達の重要な期間より前にタンパク質を増やした場合に、
脳の異常を阻止できると分かった。
早期に「Syngap1」が作るタンパク質の量を回復させると有効かもしれず、
これは薬につながるかもしれない。

 



http://www.mededge.jp/a/psyc/8736