脳卒中後の貧血は死亡リスクを高める | アクティブエイジング アンチエイジング

[脳卒中後の貧血は死亡リスクを高める]

(HealthDay News  2012年2月2日)


脳卒中後の貧血により男性の死亡リスクが3倍以上になることが、新しい
研究によって示唆され、米ニューオーリンズで開催された米国脳卒中協会
(ASA)主催の国際脳卒中学会(ISC2012)で発表された。


貧血は、心疾患や癌(がん)、重度の脳卒中における以上に脳卒中後の死亡
予測因子となり、死亡リスクは軽度の貧血であっても認められることが判明
したという。


米エール大学医学部神経学助教授のJason Sico氏らは、2007年に米国退役
軍人(VA)病院(131施設)の1つを受診した男性虚血性脳卒中患者
3,750人の医療記録をレビューした。

貧血患者と非貧血患者を比較した結果、重度の貧血により死亡リスクは3.5倍
増大し、入院中の1年以内の死亡リスクは2.5倍になることが判明した。
中等度の貧血患者では、脳卒中後半年から1年後に死亡するリスクが非貧血
患者の2倍、軽度貧血患者では1.5倍であった。

同氏らは貧血のほか、年齢、脳卒中の重症度、脳卒中の危険因子、バイタル
サイン、臨床検査結果、脳卒中前後の患者の健康全般などの因子も考慮した。


Sico氏は「脳卒中生存者における重度の貧血は、脳卒中後1年以内に死亡する
リスクを高め、脳への酸素供給の効率も変化させる。脳卒中患者の大多数が
発症時に非常に血圧が高いが、これは身体が特に脳卒中が生じた部分により
多くの血液を送ろうとしているということを意味する。“脳自動調節能”と
呼ばれるこのプロセスは長期の貧血患者では損なわれていることが多い。
今回の研究は、貧血を有する脳卒中後患者は、入院時から死亡リスクが増大
しており、脳卒中後1年間、注意深く監視する必要のあることを示している」
と述べている。


米マイアミ大学ミラー医学部のRalph Sacco博士は、「脳卒中と貧血の
危険性を指摘した研究はあるが、今回の研究は急性脳卒中の入院時での貧血と
死亡リスクの関連性を初めて示したものである。貧血により脳への酸素供給が
損なわれる可能性があり、脳卒中患者の貧血を治療することは重要である。
これは女性にも当てはまる可能性が高い」と述べている。


なお、この研究は学会発表されたものであるため、ピアレビューを受けて
医学誌に掲載されるまでは、そのデータおよび結論は予備的なものとみなす
必要がある。




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