[陰茎で男性ホルモンが産生されている可能性]
(HealthDay News 2011年10月21日)
「男性ホルモンが産生されるのは主に精巣および副腎である」と長年教科書に
記載されてきたが、新しい研究によって陰茎でホルモンが産生されている
可能性が示された。
これが事実ならば、教科書を改訂する必要があるかもしれない。
「この観察所見はマウスとヒトの組織の分析に基づくもので、テストステロン
などのホルモンの産生に不可欠な酵素の受容体が陰茎組織内に存在することが
初めて明らかにされた」と、研究の筆頭著者である米ブラウン大学助教授の
Kathleen Hwang氏は説明している。
「このことは、実際にホルモン産生に関与している男性性器内の組織がほかに
存在することを示唆するものである」と同氏はいう。
この知見は、米オーランドで開催された米国生殖医学会(ASRM)年次集会で
報告された。
研究者らの間では長年、副腎および精巣が男性ホルモンを分泌するツイン
エンジンであると考えられてきたが、Hwang氏らは他の器官や組織が関与
している可能性の有無を明らかにするために、まず3カ月齢のマウス2匹から
精巣、前立腺、陰茎および副腎の組織を採取し、ハイテク顕微鏡で分析した。
次に、ヒトの前立腺および陰茎の組織についても分析を行った。
その結果、予想通りマウスおよびヒトの副腎および精巣の組織内で、男性
ホルモン産生への関与が知られる3種類の蛋白(たんぱく)の活性が認め
られた。
しかし予想外に、前立腺および陰茎の組織でも同じ蛋白の活性が認められた。
Hwang氏は「この領域で何かが産生されているとしても、男性のテスト
ステロン値を正常レベルに維持するには不十分であることはわかっているが、
男性ホルモンの産生プロセスにおいてこのような組織が重要な構成要素と
なっている可能性がある」と指摘している。
男性生殖・泌尿器学会(SMRU)会長である米テネシー大学のEdward Kim
氏はこの知見について、テストステロンの産生に関する現在の考えを覆す
ものであり、新たな研究への道となる可能性があると述べる一方、「当然の
ことながら、ヒトを対象にさらに研究を重ねる必要がある」と付け加えて
いる。
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